クジを引くために勝負師がやって来ました
ハトバのイベント、それは運試しのくじである。余ったティッシュや洗剤など、多くの商品を運試しにて当選することになる。
元春達は、イベントのためにやっていた。
「はい、残念賞です! ポケットティッシュです!」
元春、エリーゼ、セレナの三人はテントの中にて、運試しのくじをしていた。
「それにしても、この世界にはこういうのもあるんですね」
セレナは感心していた。
「人それぞれだから、毎年恒例のクジ引きだからね」
「しかし、本当に当たりますかね? 一等が温泉旅行二泊三日のチケット」
「勝負は時の運っていうから、ラッキーな人は当たるかもね」
「それならいいのですが……」
そう話していると、何やらざわめいているお客が誰かを見た。
「? 何ですか? 何やらざわめいていますが……」
「確かに……、何かあったのかな?」
するとそこに、一人の男がいた。
「…………」
ひげを生やした中年男性のようだ。
「元春さん、何でしょうか? あの人は……?」
「ホームレスっぽい感じの男だね」
男は近づいてきた。
「…………」
「!」
男は口を開いた。
「ここがクジ引きか?」
「は、はい。ハトバの毎年恒例のクジ引きをしています」
「そうか、今度こそ勝ってやる」
これに元春達は思った。
「一体何が言いたのでしょうか、あの人は?」
「さ、さぁ……?」
すると、近くにいたお客の声が聞こえた。
「ねぇ、あの人また来たわよ」
「本当にギャンブル好きねぇ」
「……?」
さらに聞いてみると、とんでもない人物だった。
「あの人、たしかここら辺で有名なホームレスらしいわよ」
「たしか、勝田金三という……」
「勝田……金三?」
元春は数日前、義子にある注意事項のことを思い出した。
数日前……。
「ふらついている勝負師?」
「その男が来たら、追い払うようにしろって言われてるらしい。顔は分からないが、気を付けたほうがいい。しつこく来る奴だから」
「…………」
その言葉に、元春はまさかと思った。
だが……。
「クジ十三回、頼む」
「じゅ、十三回ですか?」
「わしの勝負師にてかけているからな」
金三は本気の目をしていた。
(まさか、本人なのか? これは言っておかないと! でもその話、俺しか聞いてないんだっけ?)
金三はクジ箱を手首に突っ込んだ。
しかし……。
「て、ティッシュです。ポケットティッシュです」
「く……! まだだ!」
何度もやる金三。
そして、ポケットティッシュだけじゃなく、ラーメンや洗剤を引いた。
「……今度こそだ」
ラストの十三回目、クジ引きを引くと……。
「残念賞です、ポケットティッシュになります」
「くそ! 今回はツキがない!」
「…………」
金三は言った。
「おい、次回も来るからな」
そう言うと、金三は言った。
「何だったのでしょうか? あの人は?」
「分かりませんが、やっかいな人というのは分かりました」
「…………」
元春は言った。
(あの人、ブラックリストに入れとこう……)
後に、彼がブラックリストに入れることになるが、それはまた別の話。