やっぱりあれは本物なのか勇気を出して質問しました
彼女は気になっていた。ある薬剤師が腰につけているものを。それは、普通の一般人でもさすがに唖然するほどである。もし、着けていたとすれば通報されるレベルだった。
そんな気になっている従業員の一人、久本桜子は薬剤師である倉木雪子が腰につけている刀、日本刀を見ていた。
「…………」
それを見ていた彼女に、横から誰か来た。
「桜子、どうしたの?」
ソルト・シールスだった。
「う~ん、前から気になっていたの。どうして、雪子さんは腰に刀を着けているんだろうって」
これにソルトは言った。
「私も実は気になっていました。あの人の腰に、どうして刀があるのかと……。ソルフィルスの世界では普通でしたけど、ここの世界ではどうですか?」
「銃刀法違反になるよぉ」
「……それって、すでに違反しているじゃないですか! 大丈夫ですか!?」
「確かにそうかも……」
二人は流石に心配だった。
そこへ……。
「? お二人とも、何しているのですか?」
「エリーゼさん」
エリーゼが来た。
「エリーゼさんは、雪子さんのことどう思う?」
桜子の質問に、エリーゼは言った。
「そうですね……、セレナ団長の次に尊敬します」
「え? 尊敬してるの? 雪子さんに?」
「どうしてなの?」
エリーゼはその理由を言った。
「あの刀はまさしく騎士らしい感じであり、守りとしての刀だからです」
「そっちなんだ……」
二人はポカーンとした。
「といっても、違うような気が……」
「本人に聞いてみようよぉ、そしたらわかるかも」
桜子とソルトは頷き、雪子に尋ねる。
「雪子さん、質問があるのですか……」
二人は雪子に尋ねる。
「あら、どうしたの二人共?」
「気になっていたのですが、その腰につけている刀は何ですか?」
雪子は言った。
「日本刀よ?」
「本物じゃ……ないですよね」
雪子はニコニコとほほ笑んだ。
「…………」
これに察した二人は……。
「し、失礼しました!」
と、そそくさに逃げた。
「? 一体どうしたのかしら?」
首を傾げる雪子。
その頃、二人は逃げて来た。
「やっぱり怖いよ~、質問しにくいよぉ~」
「分かります」
するとそこへ……。
「久本さん、ソルトさん? 何してるの?」
元春が来た。
「店長、いやその……」
桜子は、元春に話した。
「あ~……、そのこと分かるかも。確かに気になるよね……」
「何か知ってるのですか?」
「確か、実家が刃物屋さんだったな」
「刃物? 鍛冶屋ですか?」
ソルトは言うと、元春は答えた。
「惜しいぐらい、かな。料理に使っている包丁を作っているところかな?」
「じゃあ、日本刀のあれは何ですかぁ?」
「……そこまでは分からないな」
元春はそう言うと、そこに……。
「何やってるんだよ、アンタら」
桐島義子が来た。
「桐島さん」
「あの、雪子さんの腰についているアレって何ですか?」
「日本刀のことか?」
義子は言った。
「あいつ本人に言うには、あれに腰をつけとかないと落ち着かないそうだ。まぁ、本人がつけている日本刀は模造刀らしいが、そこまでわからん」
「模造刀だったんだぁ」
桜子とソルトはホッとした。
が……。
「まぁ、もしかしたら本物の可能性もあるからな」
「…………」
義子が行くと、二人は青ざめた。
「き、聞かなかったことにしよう……」
模造刀で信じてほしい、そう心から思った桜子とソルトであった。