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おっとりな従業員が天然発言を言いました

かつて、一人の英雄がいた。その憧れは、まさに女神だった。そんな彼女は今、現世に吸い込まれたのだった。心配だった兵士達だったが、そんな彼女に尊敬していた少女がいた。

 だが、彼女も英雄同様、時空に吸い込まれ、現世へとやってきたのだった。しかし、彼女にも不幸中の幸いが訪れていた。あの尊敬する英雄と再会したのだっだ。

 現世の人間と出会って、しばらくは元の世界に帰る方法を探していたのだが……。


「というわけで、セレナ・ガーネット団長の後輩のエリーゼ・ルドベキアです! よろしくお願いします」

 エリーゼは、皆に挨拶をした。

「まさか、セレナと同じ世界からやってきた奴を雇うとはな」

 桐島義子は腕組んで驚いた。

「真面目な女の子ねぇ」

 倉木雪子はエリーゼを見て、頼もしいと思っていた。

「店長、なんでいきなり別世界からやってきた人をいきなり雇ったんですかいな?」

 山城龍一は御子柴元春を尋ねた。元春は、納得する答えを言った。

「それが、本人の希望でやるつもりだったんだ」

「まずは面接じゃないのか?」

 確かに現世では、仕事に入るにはまずは面接を受けるのが常識である。

 しかし、元春は……。

「それが、強制希望入社したんだ」

「いやいや、店長! それでええんですかいな?」

「確かにそれは……」

 強制希望は流石にダメだろう、そう思っていたら、セレナが言った。

「すみません、私が言ったんです。エリーゼさんはこの世界に来たばかりなので、仕方なく一緒に働くしかなかったんです」

 セレナの説得に、皆は……。

「まぁ、現世の人間はこういうのは常識だけど、別の世界の人間は仕方ないね」

「セレナがそういうなら、ここは受け入れるしかないな」

 納得するしかなかった。

(さすが、団長! 戦場で兵士のみんなを鼓舞したことだけはわかる!)

 エリーゼは尊敬のまなざしをした。

 すると、ある人物がまだ来ていなかった。

「そういえば、桜子ちゃんは?」

 雪子は彼女を見回した。

 久本桜子の姿がなかったのだ。

「誰ですか、その人は?」

 エリーゼは、桜子のことを言った。

「昨日、エリーゼさんが倉庫で会った人だよ」

 元春が言うと、エリーゼは思い出した。

「あの女か」

 そこへ……。

「すみませ~ん、遅れました!」

「あ、来た」

 桜子がやってきた。

「遅かったな、久本。寝坊か?」

「ふぇ~、すみません店長~」

「あいからわず、おっちょこちょいねぇ」

 雪子は心配そうで言った。

「おい久本、髪がはねてるぞ」

 義子が指をさすと、桜子の髪がはねていた。

「あわわ~、すぐ着替えて直してきます~!」

 桜子は更衣室に行った。

「……」

 その時、エリーゼは桜子を見て思った。

「エリーゼさん、どうしましたか?」

 セレナはエリーゼに尋ねる。

「あの女、少し鍛えたほうがいいですね」

「なんで?」

 元春が呆然に言う。

「ドジすぎる」

 エリーゼはそう思うが、皆はこれに桜子のことを言った。

「そんなことないわよ、エリーゼちゃん。確かに、桜子ちゃんはおっとりしてドジるけど、元々ああいう女の子なのよ」

「ま、マイペースな従業員だからな」

 そう思っているが、エリーゼはあまり納得いかなかった。


 その頃、桜子は髪を整えていた。

「うぅ、寝坊のついでに髪がはねているなんてぇ」

 泣きそうになる桜子。そこに……。

「なるほど。確かにおっちょこちょいですね」

「はにゃあ!? え、エリーゼちゃん!」

 エリーゼがいた。

「私のこと、覚えていましたか」

「ええっと、あの時はごめんね」

「何の話ですか? まぁいいです」

 エリーゼは言った。

「元春さん達から聞いたのですが、ドジらしいですね」

 これに桜子は、グサッと来た。

「そう言われると、たしかにそうだね」

 桜子本人も、自分の性格に納得している。

「でも、何とか働かないといけないし、わたし学生だから授業料稼がないと」

「……、ならいいです」

 エリーゼはそう言うと、桜子は口を開いた。

「そういえば、セレナさんのこと尊敬しているの?」

「もちろんです。あの人は、私にとっての尊敬の英雄ですから」

 すると……。

「セレナさんを尊敬するなんて、エリーゼちゃんって、可愛いね」

「!?」

 エリーゼは、桜子の褒め言葉に赤面した。

「な、な、何言ってるんですか! 私が可愛いだなんて、そんな……」

「これからもよろしくね、エリーゼちゃん」

「は、はい……」

 エリーゼは赤面しながら、俯いていた。


 これに見た、セレナと元春は……。

「桜子さんって、褒め言葉上手ですね」

「いや、彼女は正直に言ってるだけなんだ」

「それってつまり、天然ですか?」

 元春は頷いた。

「そうなるかな」

 セレナはエリーゼの照れ顔を見て、微笑んでいたのだった。




 


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