魔王軍の幹部は現世の世界に馴染みました
翌日。山城龍一のオフの日にて、昨日であった魔王軍幹部の一人であるライア・エミルは龍一と一緒に街へ向かった。
そこには、人が多く賑やかだった。
「…………」
ライアは町の人を見て驚いていた。
「こんなに人間がいっぱいいたのか?」
「この街である小樽市は賑やかで、人か多いんや」
「人間はこんなに歩いてて、もしかして敵がいるのか!」
ライアはそう思っていた。これに龍一は否定する。
「おらへんから、そういうのは」
「なら、ここで我が……」
ライアの指から白い光の物がでる。
「ちょっ、何してんねん!」
「ビームを……」
「アカンアカン!そんなことしたら、天変地異が起こるで!」
龍一は何とか止めた。ビームをやめ、仕方なく辺りを見回すライア。
すると……。
「龍一、あれは何だ?」
ライアが指をさしたところには、グレープ屋だった。
「あれはグレープやな」
「ぐれーぷ? なんだそれは?」
「美味しいスイーツやで」
ライアはグレープを見て、気になっていた。
「あの食べ物、美味しいのか?」
「だからそういってるやないか。もしかして、食べたいんか?」
これにライアは言った。
「……! そ、そんなわけなかろう! 我は魔王様の幹部としてやっていたものだぞ! 決して食べたいわけじゃないんだぞ!」
否定するも、ライアの口からよだれが出ていた。
「よだれ出てるやないか!」
龍一はツッコんだ。
「食べたいんやったらそういえばええんやろうに」
龍一はグレープを買うことにした。
そして、二人はベンチに座って食べた。
「……美味しい! こんな美味があるとは思わなかった!」
「せやろ? 人生にはこういう美味いもんや楽しいもんがあるんやで?」
「…………」
この時、龍一は思った。
(魔王軍幹部とか言ってるけど、異世界から来た一人やし、嘘は言ってへんわな。余程珍しいものが好きなのかもしれないわな。ここは現世やから、エスコートせんとあかんわな)
「? どうした龍一?」
「! 何でもあらへん!」
龍一は首を振った。
「……?」
さらに、ライアはあるものを見つけた。
「あれは何だ?」
「キーホルダーか、気になるんかいな?」
「…………」
これにライアは嘘は言えない。
「否定はせぬ」
(さすがにグレープの時はボーカーフェイスできんかったからな)
二人は小物屋へと入った。
その頃……。
「今日はいい天気だな、快晴日和だな」
元春はそういった。
「……なんだか、嫌な予感がします」
エリーゼは不吉な言い方をする。
「一体何が嫌な予感がするの? こんないい天気なのに」
「……いえ、昨日は月を見て、凶兆が出たんです。一体何が起こるのか……」
「…………」
エリーゼは険しい顔をして、さらにセレナも思った。
「確かに、この違和感は何でしょうか?」
「一ついいかな? 例えるなら、ソルフィルスの住人が来るとかありえるんじゃないかな?」
「そう思えばいいのですが……」
だが、元春達はこの後知らなかった。近くに魔王軍の幹部がいることを。
一方、龍一とライアは……。
「…………」
小物屋に入り、ライアはあるものをうっとりしていた。
「それ気に入ったんかいな?」
「! こ、これは、その……」
「顔に書いてあるで、そのクマさんのキーホルダーに萌えてるんやろ?」
「うぅ……」
わかりやすい、そう思った龍一。するとこれに……。
「おごってやるで」
「べ、別にいい! 我のことであって……」
「大丈夫や、そのキーホルダーが俺と初めて会った証として買うんや」
「…………」
この時、ライアには何か思った。
(こんな人間は、今まで見たことない。魔王様が健在の時は、人々を恐怖に入れたのに……。なぜそう我をかまうのだろうか……)
こうして、龍一はクマのキーホルダーを買った。
そして二人はあちこち見回り、ついにはおなかが減った。
「おなかすいたわ、お昼何か食うか?」
「我はそうだな……」
その時、龍一から電話が来ていた。
「こんな時なんやねん、すまんちょっと一回外すで」
龍一はそう言うと、トイレに入った。
「…………」
そこへ……。
「! お前は!」
「……! き、貴様らはソルフィルスの騎士団……!」
元春達と会った。
「エリーゼさん、知っているのか?」
「やはり、あの凶兆は当たっていましたね」
「どういうこと?」
セレナは言った。
「あの方は、私たちの敵だった魔王軍の幹部、ライア・エミル……!」
「やはりここにいたのか……! 貴様等のせいで、我はさまよっていた。だがここに来て、ようやく仇が討てそうだ! 人間、お前たちだけでも殺す!」
恨みの力にて、ライアは本気になっていた。
つづく