オマケシリーズ 第十三弾
『ショート十三話 高町円』
―これは、高町円が高校時代の時だった。
円は、少々お転婆なところがあったが、時には戸惑うこともあった。そんな彼女は、クラスメイトの女子三人に呼ばれていた。
「アンタさ、ムカつくんだよね。調子乗ってんじゃないよ」
「調子だなんて、私は普通に勉学して……」
「聞いたよ、先公から! お前たちはもう少し高町を見習えって! おかげで怒られたじゃない!」
「そんな……、そんなの逆恨みじゃあ……」
「ちょっと、痛い目に合ってもらうわよ」
女子が出したのは、ハサミだった。おそらくは、円の髪を切るつもりだろう。
「これで、アンタの髪をダサくしてやるよ」
その時だった。
「全然来ないと思ったら、何やってんだよ?」
「元春」
「御子柴!」
そこに、学生時代の御子柴元春が来た。
「いじめか? そういうのよくないな」
「うるせえ! こいつの髪を切ってやろうかと思ったまで!」
「……」
元春はため息をして、女子からハサミを奪い取った。捨てるつもりだろうと思ったら、元春は意外な行動をした。
「⁉」
なんと、元春が自ら髪を切ったのだ。
「これでいいか?」
「こ、この……」
「俺が代わりに髪を切ったんだ、その辺で勘弁してくれ」
「……」
さすがに言えない女子たちは、この場を退いた。
「元春、大丈夫なの?」
「大丈夫。……丁度、髪の毛が長くなったから、散髪に行こうかと思った。けど、行かずに済んだな」
元春は笑っていた。彼とは幼馴染、彼の事情は知っていても、表は隠さず、裏は舞台に出さなかった。
そして現在、ハトバにて―。
「元春って、色々あったけど、大変だね」
「まぁ、面倒ごとは素早く片付けるけど?」
今も、同じ仕事をしている。元春だからこそ、安心できる。円はそう思った。