再会した同級生は業界人でした
―お店では、俳優や女優、お笑い芸人スポーツ選手など、数々の店でモデルとなっている。その理由の例では、売れっ子になる前は実家に出てバイトを稼ぎながら、目指しているなどが例えである。
売れたおかげで、人気者になった。そのため、バイトしていた所にモデルとして恩返しをする。業界の人にとっては当たり前の話。
そんなハトバに、朗報が来たのだった。
「明日、このハトバにモデルさんが来ることになった」
朝の挨拶のお知らせに、長脇茂チーフが来ていた。それは、本部からの伝言であり小樽店にやって来たのだった。彼が口に言う朗報、モデルさんが小樽店にやってくるのである。
「モデルさんですか?」
「そうなんだ。なんでも、化粧品のモデルの依頼を自ら立候補したらしく、この店にやってくるそうだ」
「へぇ~、どんな人ですか?」
「名前は聞いてないが、女性の方だ」
「女性さんのモデルさんか……」
これにセレナとエリーゼは、「モデル」という言葉を知らなかった。
「モデルさん?」
「なんですかそれは?」
元春は説明した。
「簡単に言えば、業界の世界の一つで写真を撮らせる人かな。といっても、俺が言っても難しいからな」
「難しいのはともかく、よく立候補しましたね」
確かにハトバ小樽市はできたばかりの店。この店に縁がある業界人はいるのだろうか。そのことについて、長脇チーフはモデルさんの事について言った。
「なんでも、御子柴君の知り合いとか」
「え? 俺ですか?」
これに皆は元春に問いだす。
「元春さん、モデルさんに知り合いいました?」
「いや、心当たりがない」
そのモデルさんは、元春とは関係がある人物だった。だが、元春は心当たりは全くない。
そして、帰宅中の事。元春は首を傾けながら考えていた。
「俺の知り合いにいたかなぁ?」
「もしかしたら、元春さんの同級生とか?」
元春は心当たりがある学生時代の生徒を思い出そうとした。しかし、思い浮かんでも、やはり心当たりがなかった。
「だめだ、全くわからない」
「まぁ、明日会えばわかるかもしれないですよ」
「それもそうだな」
とりあえず、明日直接会えばいい。そう思って考えるのを止めた元春。
すると―。
「何するんですか⁉」
何かの嫌がってる声がした。
「?」
そこには、一人の女性が男二人にナンパされていた。
「いいじゃん、俺たちと遊ぼうぜ」
「面白いところに案内してやるよ」
「嫌です!」
嫌がってる女性に、これに元春達は放ってはおけなかった。
「あの~、嫌がってるので離してください」
「なんだてめぇは? 折角この女に声かけているのに」
「いや、ナンパはよくないですって」
「なんだと? この野郎!」
ナンパ男は元春を殴ろうとした。だが―。
バキッ! ドカッ! ベキッ!
「フン」
元春は一瞬でナンパ男を倒した。
「す、すみませんっでした~!」
ナンパ男は逃げていくと、女性はお礼を言う。
「ありがとうございます」
「気を付けてくださいね」
「はい。……、って、え?」
女性は元春を見て驚いていた。
「ん?」
「もしかして、その顔……御子柴君?」
「なんで俺の苗字を知ってるんだ?」
「……もしかして、御子柴元春君⁉」
「本名まで知ってるなんてって、……?」
この時、元春は気付いた。
「そのツラ……、もしかして、仙石?」
仙石という女性は、元春がいる小樽アパートに入った。
「まさか、久しぶりの再会だなんて」
「……」
これに皆は、仙石について元春に尋ねる。
「元春さん、この方はもしや……」
「俺や村上達と同じ同級生時代の一人さ。仙石巴、昔は内気な性格だったはずが、まさか成人になって変わるとは……」
「内気だったのですか?」
巴は言う。
「昔の話だよ。こうして今もここいるのは御子柴君のおかげだから」
「……、まぁ別にいいけど」
元春は再会した同級生にフッと微笑んだ。
「そういえば、仙石。お前今は何やってるんだ?」
巴は答えた。
「モデルをしてるよ」
「そうか。モデルか……。……、え?」
元春たちは巴の一言でキョトンとした。
「今、なんて言った?」
「モデル」
巴が現在、働いている場所がモデル。つまりは、業界人である。
(ウソだろ、マジか!)
元春たちは驚愕した。
「お前、卒業後にモデルの世界に入ってたのか?」
「うん。おかげで、今はグラビアアイドルの仲間入り。恥ずかしいけど、この仕事に生きがいがあるんだ」
「ぐらびあ?」
また分からない言葉にセレナたちはキョトンとした。
「知らないの? 見せてあげる」
巴が出したのは、雑誌だった。
「雑誌?」
「ヤングジャンプとかヤングマガジンの表紙にグラビア集が載ってるの」
その雑誌は、水着姿の巴だった。
「な、なるほど。これはずごいな」
タイトルは『癒しのアイドル 仙石巴』と書いてあった。
(これがモデル……、破廉恥だけど、さすがにやりますね)
エリーゼは複雑そうだが認めるしかなかった。
「それに明日、御子柴君のところで仕事をしないといけないから」
「俺のところ? ……って、ちょっと待て! まさか、ウチの店に自らモデル役になるって依頼したのは……」
「私です」
これではっきりした。元春とは関係ある、だから小樽店でモデルになる。完全に一致したのだ。
「……こんな偶然、ある?」
「大丈夫、元春?」
キャロルは元春の事を心配した。
「ちょっと、微妙」
頭痛を覚えるほどだった。その翌日に、巴がハトバ小樽店のモデルになるための一日店員になるのだった。先が思いやられる、そう思った元春であった。
つづく