騎士団長がラーメンを早食いします
それは、正に勝負時だった。
「むがっ! が……! じゅるるる!」
元春たちはある店にやってきたのだ。それは―ラーメン屋である。
「おい、大丈夫か? 村上、あんまり無理するな」
元春は休日に、友人の村上、車坂、美作と共に外食をしていた。そんなある噂があった。ラーメン屋に一時間以内にラーメンを完食するというチャレンジだった。
成功したら一万円が与えるという。だが―。
「ふがっ! がぼけご……!」
このチャレンジを村上が挑戦したのだった。
「おいおい、村上の奴泣いているぞ」
すると、ラーメン屋の店主は村上を見て嘲笑う。
「ヒャッハハハハハハ! どうしたどうした? 全然半分行ってないぞ?」
これに村上は―。
「むがっ! ふがふがふがふが、ふがー!」
食べながら文句を言う。
「なんて言ったの?」
「『うるせえ、全部食べてやるわ、バーカ!』って言ってる」
「おいおい……」
だが、数分後で―。
「ハイ終了~、チャレンジ失敗という事で、五千円の支払いでーす」
「くそぉ……」
村上はチャレンジ失敗したのだった。
「ハハハハハ! このチャレンジは誰も成功したことがないイベントよ! もし来るなら来てみろ!」
店主は高笑いをしながら、元春たちは店に出た。
「くそぉぉぉぉ! あのクソおやじ腹立つ! どうすれば、あのラーメンを完食できるんだよ!」
「なにしろ、かなりの量、もやしや肉などの入ってる山盛り。現在は成功者おらず」
「俺が行こうとしたのに失敗するなんて……」
村上は悔しそうだった。
「せめて、誰かあのラーメンを完食すればいいのにな……」
「……」
元春たちは思うのだった。
その夜、セレナたちにラーメンの事を言った。
「ラーメンですか?」
「食ったことあるだろ? 昼にその店にチャレンジがあるんだ。一時間以内に完食すれば、一万円。失敗すれば五千円」
「そんなぼったくりみたいなチャレンジ、ふざけていますよ」
「ラーメンですか……」
セレナは何やら考えていた。
「別にそこまで考えなくていいから」
これにセレナは―。
「そのラーメン、おいしいですか?」
「は?」
その一言に、元春たちはキョトンとした。
翌日。元春とエリーゼは村上達と一緒に、セレナを例のラーメン屋に案内した。
そして、彼女の前にでかいラーメンがドンッと置く。
「ほう、今度はその嬢ちゃんがチャレンジするのか。だが、いくらなんでもこのラーメンは完食でき―」
店主は腕を組みながら言うと、セレナが口を開いた。
「美味しそうです。これなら、完食できるかも」
「よし! いけぇ!」
セレナの一言に店主は唖然する。
「え? なんつった?」
「では、いたたきます」
セレナはじゅるじゅると麺を口の中に入った。
「って、すするの速い! もしかして、これいけるんじゃねぇのか?」
「まさに、勝利の女神だぜ! いけいけぇ!」
これに店主は、セレナの食べっぷりを見て驚愕した。
「な……、んなぁ……」
更に、卵、お肉、もやし半分を一気に平らげ、十分後……。
「少し休憩……」
ラーメンの皿の中は汁が見えていた。今まで誰も超えてないゾーンだったという印である。
「マジかよ! もう半分食ってるじゃねぇか!」
「まだ、十分しかたってないよ!」
ラーメンを見て驚いている村上達。元春は、エリーゼを尋ねた。
「エリーゼさん、セレナさんってこんなに大食いだったっけ?」
「正直、団長の胃袋は凄いです。かなり食べるのですが、まさかここまでなんて……。何処で消化するのか……、……」
この時、エリーゼはなぜかどんよりしていた。
「ん? どしたの?」
「いえ、なんでもないです」
おそらく、セレナの栄養は胸でとっているのだろう。しかし、エリーゼは本人やセレナ本人にも言ってないので、墓まで置くことにした。
そして、四十分後―。
「あとは、汁だけです」
「セレナちゃん、汁大丈夫か?」
心配そうに村上は、尋ねるがセレナは言った。
「大丈夫です」
そう言うと、まさかの一気飲みした。
「すげぇぇぇぇ!」
これに興奮する村上達。それどころか、来客した人も見てびっくりした。さらに―。
「一気! 一気! 一気!」
一気コールが流れる。そして―。
「ふぅ~」
まさかの―完食。
「ごちそうさまでした」
これに皆は「うおおおおおおおおお!」と、盛り上がっていた。
「遂にあのラーメンを完食したぞぉぉぉぉぉ!」
「しかも、女が初の完食とは!」
「天変地異だぁぁぁぁぁぁ!」
興奮する観客、村上達はこれに―。
「勝利の女神だ……」
「……」
店主は敗北を味わって、落ち込んでいた。
こうして、一万円の商品券がもらった。セレナはこれに、感想を言う。
「また、食べたいです」
笑顔で言うと、店主は「勘弁して!」と、泣き叫ぶ。
「店主、可哀想……」
これに同情する元春だった。
そして、セレナがラーメンを完食したことに世間が広がるのだが、それはまた別のお話。