ハトバに魔の手がかかってくるそうです
―お店の中では、油断が禁物である。なぜ油断禁物なのか? それは、スーパーで品物をこっそり盗むという事件が多いからだ。それが、「万引き」である。
最近では万引きが多い。カメラで見ても、既に場所が設置しているのが把握され、別の万引き方法でやられてしまう。万引き犯罪は進化しているのだ。
小樽市ではコンビニ、スーパー含めて十五件は万引きされていた。そして、ハトバにも魔の手が迫っていた。
「脅迫状?」
ハトバに謎の脅迫状が来ていたのだった。
「今どきの脅迫状だなんて、古いにもほどがあるだろ……」
元春は脅迫状を読んだ。
「なになに? 『今回のターゲットは金になる商品を盗ってやる』」
「どこの怪盗ですかいな?」
龍一はツッコミを入れた。
「でも、商品を盗むということは大変ですよ」
「それもそうだな」
元春は腕組みながら、被害にあった店を言う。
「この町では、コンビニやスーパーなど被害があったそうだな。今回はうちの店にも魔の手が迫ってるという事か」
「どうするのですか? 監視カメラで一日中見て、怪しいやつを見つけた方がいいのでは?」
エリーゼの意見には賛同な話。だが―。
「それは賛同するが、最近の万引き犯罪は進化しているそうだ」
「例えば?」
「監視カメラがあって、商品を見せないように大きなバックなとを壁にして万引きするという手口とかな」
「そういう考えもあるんですね」
これに元春は思う。
「しかし、万引きされたらイメージがダウンしそうだ。いっそ脅迫状の事、警察に話した方がいいな」
「では、連絡しましょう」
連絡はするが、元春は何やら首を傾げる。
「? どうしました?」
「いや……、警察という事は……、あいつも来るという事か」
「あいつ?」
「実は、小樽市に警察署があってな。そこに、俺の友人がいるんだ」
「店長の友人ですかいな?」
「ただ、その……。ややこしいんだよなぁ」
元春は迷っていた。
「考えても仕方ないですよ、警察を呼びましょう」
確かに脅迫状が来て、警察に通報する他なし。元春は仕方なく、警察に通報した。
数十分後―。
「警察だ」
現れたのは、サングラスをした男性と警察官二人だった。
「脅迫状が届いたと電話が来てみれば、……なるほど。貴様の店か」
これに皆は思った。
「なんですか、物凄くハードボイルドな人は?」
エリーゼは半目で男を見て質問した。
「三好令次。俺の同級生で、刑事をしている男だ」
「どう見ても、刑事というかマフィアのボスに見えますが?」
「三好は憧れの刑事になって、ああなったんだよ。ドラマとか影響されやすいんだよ」
「要するに、中二病か」
義子は簡単に言う。
「フン、部下もいるようだが、流石に人望がいいな」
三好は元春の周りを見ながら葉巻を加えた。
「なんで葉巻を加えてんのこの人? どういうドラマで影響しとんねん」
すると、一人の警察官が言う。
「警部、彼らに事情聴取しましょう」
その時だった。
「俺の後ろに立つな!」
と、瞳孔開いていった。
「どっかで聞いたことあるようなセリフなんやけど⁉ というか、それ刑事のセリフじゃなくてどっかの殺し屋のセリフやんか! ドラマだけじゃなくアニメまで影響されてるやんけ!」
龍一はツッコミを入れると、三好は言う。
「フッ、人ってのは後ろを立ってはいけないのでな」
「なんかカッコいいこと言ってるんやけど!」
これに元春は、龍一に言う。
「山城君、ツッコんだらきりがないよ。ああいうやつだから」
「……」
複雑だがボケの渾身は置いといて、元春は事情を言う。
これに三好は―。
「なるほど。これはおそらく、やつの仕業だな」
「奴?」
「万引きの天才と呼ぶ犯罪でコンドネーム『カメレオン』だ」
「か、カメレオン?」
カメレオンという犯罪者について語る三好。
「奴は神出鬼没、何処に現れたのか分からない。いつどこか、店にやって来て品物を盗むのか、我らでは捕まえるのが難しい犯罪者」
「そんなに手ごわいのですか?」
「ああ、そうだ」
このことに、元春は思った。
「ちょっと待て、てことは既に店に入ってる可能性があるってことじゃないか!」
「しまった! そいつって金になるものを盗むんですよね! ヤバいですやん!」
警察が来る前に、既に盗られてしまってるかもしれない。元春たちは急いで店の周りを見た。
(ちょうどいい金になるものがあるな……。これを盗って、ずらかるぜ)
何やらフードを被った人がいて、監視カメラも見て把握済みしていた。
(フン、この店については調査済みよ。サッサとどこかに……)
この場から去ろうとしとその時だった。
「ん?」
目の前に人形があった。
「なんだこの人形は?」
その時だった。人形は、怪しいやつを襲い掛かる。
「な、なんだ? ぎゃああああああ! 止めろぉぉぉぉぉぉぉ!」
叫び声が聞こえ、元春たちはその声に向かった。そこには―。
「! な、なんだぁ?」
襲い掛かられた人形に気絶した男がいた。
「もしかして、この人でしょうか?」
「というか、この人形は……」
そこへ―。
「あ……! す、すみません! お人形さんが、ご迷惑を掛けました……」
ネクロマンサー・アリア・ソウルートが来た。
「って、これは―」
アリアも何も知らなかったようだ。
こうして、カメレオンという男は逮捕された。これに三好は―。
「なるほど、不思議な奴もいるのだな……」
と、うなずいたのだった。