皆でマリンアクティビティを楽しむことにしました
沖縄旅行も終盤に近付いてきた。その旅行四日目は、ある体験をするとこになる元春達だったが…。
「天気が微妙にイマイチだな」
今日の天気は晴れ―だったが向こうの先に黒い雲が出ていた。元春達は空を見て、不信感を抱いた。
「何事も起こらなければいいけど……」
そこへ、円が来た。
「元春。今日の四日目のスケジュールはマリンアクティビティ体験だったよね?」
「ああ、この様子だと天気が読めないし、状況によるとスタッフは決行するとか言ってたしな」
「一日体験だったよね? どうする?」
これに元春は言った。
「午前中は体験にするけど、午後は天気によって様子見にしよう」
「そうだね……」
元春は予定は変更になる可能性はあると確信した。そう思っていると―。
―青の洞窟にて、待っているぞ。
「!?」
元春の頭の中から、何か声が聞こえた。
「元春?」
「……円、何か言ったか?」
「ううん、何も?」
(いや、さっき声が聞こえたような気がする。確か……、『青の洞窟で待っている』とか言ってたけど、気のせいかなぁ?)
元春は考えすぎかも、そう思っていると―。
「店長、チーフ。ホテルの前に皆出発してますよ」
雪子が来て、二人はセレナ達と合流した。
「今回は、マリンアクティビティでダイビング体験だ。皆でそれぞれ体験をすることになる。勿論、スタッフさんも着いている」
元春が説明すると、スタッフは挨拶した。
「皆さん、はいさい~」
「は、はいさい?」
エリーゼは驚いていた。
「沖縄語で『こんにちは』って言うんですよ。今回はダイビング体験を皆さんに教えます」
沖縄スタッフは、ダイビング体験する者を簡単に説明した。
「今回体験に用意したのは、ジェットスキー、フライボード、ダイビングの三つの体験をしてもらいます。選ぶのは自由なので、よろしくお願いします」
スタッフの説明に、皆はそれぞれやりたい体験を選んだ。
これに元春は―。
「俺は何を体験しようかな……」
そう思って考えると……。
―ダイビング体験にするのだ。
「! また、あの声?」
さっきホテルで聞こえた声だった。
―その体験を選んだ後、主らは我らの所に来るだろう。
(どういうことだ? どうしてダイビング体験を選んだ方がいいって言うんだ? 少し気味悪いが何か言って来たら恐ろしいし、ここは選ぼう)
元春は頭の中から流れてくる謎の声に従い、ダイビング体験を選んだ。
そして、ダイビング体験をするのは、元春、セレナ、エリーゼ、円の四人だった。
ダイビングスーツを着た元春達。船に乗って、スタッフがある場所へ向かうため運転した。
「ところで、ダイビング体験って一体どこに行くんですか?」
エリーゼの質問に、スタッフは言った。
「青の洞窟だよ」
「青の……洞窟?」
元春はその名前を聞いた途端、驚いていた。
(それって、あの時謎の声が言ってた……)
元春の様子に、セレナは見た。
「元春さん?」
「! いや、なんでもない。それで、そこは一体どんなとこですか?」
スタッフは青の洞窟について説明した。
「青の洞窟は沖縄にとっての洞窟ポイントさ。青く染まる風景、幻想的な姿、神秘の世界、まさに青の洞窟と呼ばれているんだよ」
「ロマンチックですねぇ」
このことに元春は思った。
(青の洞窟に行って、俺をどうするんだろう……)
その様子にセレナは元春を見た。
その頃、龍一達は―。
「ぷはぁ!」
シュノーケリングを体験していた。
「だーっ! 落ちてもうたぁ!」
「速すぎるぞ……。これがシュノーケリングか」
シュノーケリングの速さで、龍一達は海に落ちたのだった。
「でも、面白い!」
「そうじゃのう、これは飽きないな」
さらに一方では―。
「お、おお……」
キャロルがやっていたのは、フライボートだった。
「上手いアル、キャロル」
「見事ですな」
流石のバランスがいいキャロルたち。
(こういうのも楽しい。……しかし、今頃元春達はダイビング体験してるけど、大丈夫かな……)
その頃、元春達は―。
「わぁ~、綺麗な海の中~」
「これが、青の世界なのですね」
ダイビング体験をして、楽しそうにやっていた。
(青の洞窟、さっきの謎の声が言ってたな。待っているぞって。しかし、円らが聞いてないなら俺だけか?いや、それとも……)
そう思っていると、スタッフが持っていた防水トランシーバーの音がした。
「はい、何でしょうか?」
『青の洞窟に入るの中止、速やかに退避』
「了解」
「……?」
スタッフからの説明で、全員浮上した。
「午後から台風が来る!?」
スタッフは言った。
「その台風は物凄くゆっくりだから、あと二日ぐらいは来ると言ったんだけど、急に速くなって」
「他の皆は?」
「別のスタッフが避難しています。ですが、急いでホテルへ戻ってください」
「……」
こうして、ダイビング体験は中止となった。台風襲来によって。
しかし、この時元春達は更なる災いが来ることを何も知らなかった。
つづく