噂の恋の伝説話を魔王幹部にぶつけます
―前回のあらすじ。沖縄旅行の四泊五日で楽しんでいた元春一行。三日目は観光スポットで那覇市にある首里城公園にやって来た。目的は思い出の写真だという。
そんな時、沖縄県には他にもあるスポットがあった。それは、古宇利島にある伝説の話である。その話に気になっていたのは、魔王幹部・ライア・エミルだった。その伝説の話とは―恋島伝説という噂だった。
「次は今帰仁村にある島にて観光スポットだよ」
「島、ですか?」
元春はマップを見ながら今帰仁村にある島を説明した。
「そこには古宇利島という島があるんだ。別名では『恋の島』とよんでいるんだ」
「恋の島?」
「恋愛伝説で、有名な言い伝えがあるんだ。神様が古宇利島に降ろした二人の男女。その男女はジュゴンのつがいを見て子作りを知ったという、まさにアダムとイブのような伝説があったんだ」
「ほわぁ~、ロマンチックですねぇ」
その話に、ライアは龍一を見た。
「……」
すると……。
「気になりますか、元春様が言っていた話を」
ロレナがにゅっと入ってきた。
「な、何の事なんだ?」
「恋島伝説、ライア様はその話に気になっていますね」
これにライアはギクッとした。
「な、なななな、何の話なんだ! そんなこと、初めて聞いたぞ!」
「ウソをつかないでください、顔に書いてありますよ。というか、何処かでその話、一度聞いたのでは?」
ロレナの考えは鋭かった。
「そんなわけなかろう! 大体、あ奴とは……」
すると、龍一はライアの方に向いた。
「なんや、なんか言ったか?」
「なんでもない!」
ライアは赤面しながら否定する。
さらに目を光らせたロレナは元春に言った。
「元春様、そこへ行きましょう」
「ちょっ、ロレナ!?」
「行ってるけど? どうしたの?」
「その話、少し興味があるので」
ライアは恥ずかしがっていた。
古宇利島に到着した元春達は、まずは見たのはティーヌ浜にあるとこだった。
「かなりのバランスになってるな、あの岩」
義子が見たのは、二つの岩だった。これに元春は説明した。
「これはハートロックといって、カップルにお勧めのパワースポットなんだ」
「ほうほう、パワースポットですか。これはつまり、恋愛成就するのですか?」
「分からないけど、永遠の恋というかな」
「なるほど。……さぁ、ライア様。この岩に祈っておきましょう!」
ロレナの薦めで、ライアは動揺する。
「今更!? 何故お主はグイグイと行く!」
すると、ロレナはライアとこそこそ話をした。
「いいのですか、これを機を逃してしまうと龍一様があなたを振り向けません」
「なぜそこで、あ奴の名が出る!? そもそも、その話ならばマリーナ姉様や麻衣様が知ったらどうなるか分かっているのか!?」
と、その後ろに二人は親指を立てた。顔に『願ってイチャイチャしなさい』という、ニコニコと応援していた。
「すでにバレています」
「ブルータス、お二人もですか……」
ライアはガクッと落ち込んだ。
そこへ―。
「なんやなんや、どないしたん?」
「ぬわっ!」
ライアは龍一を見てビックリしていた。
「? 何でびっくりしとんねん」
「いや、その、あの……」
ライアは物凄く動揺していた。
(うぅ、どういえばいいのだ? ロレナたちが凄く見ているし、なんだこれは? 公開処刑?)
うなされるライアに、龍一は見た。
「おーい、大丈夫かいな?」
「だ、大丈夫」
大丈夫に見えないような気がする、龍一はそう思った。
その様子を見たロレナたちは―。
「どうやら、ライアと龍一のラブ感はオッケーですね」
「……、いや。そうではないようじゃ」
マリーナは気配を感じた。そこには観光客の中にチャラい客がいた。
「数は三人、おそらくはナンパじゃろう」
「また? なんか昨日、あの騎士団長がナンパ男に絡まれたらしいわ」
「仕方ありませんが、おそらく彼らもナンパしてきますね」
「可能性は高いであろうのう」
するとナンパ男はマリーナらを見た。どうやら、ナンパ構えの様子。マリーナの予想は的中したのだった。
「仕方ないわね、対処しよう」
とりあえず、ナンパ男を追い払うことに。
だが―、それもすでにバレる。
「ぎゃぁぁぁぁぁ! ナンパして、すみませんでしたァァァァァァ!」
龍一とライアは、ナンパ男たちを撃退したマリーナらを見た。
「フン! ナンパとはケダモノじゃのう」
「本当にああいう人は愚かです」
これに龍一は呆然した。
「何しとんねん、あいつら」
「……」
そこまでしなくていいのに、と涙目でツッコんだライア。
「どした?」
「いや、なんでもない」
ガックリしたライア。すると、龍一は言った。
「そんな落ち込まなくてええやん、まだ人生は長い。気楽に行かんと」
龍一はライアの頭を撫でた。
「……そ、そうだな」
とりあえずは今は沖縄旅行中の真っ最中。今は今度にしよう。そう思ったのだった。
つづく