表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/159

捨て猫を拾ったらまさかの獣人でした

――ある日の雨の中、一匹の猫が震えていた。紺色の猫は、寒そうに丸くなっていた。

「にゃーご……」

 その時だった。

「ん? 捨て猫か?」

 仕事の帰りにて、傘をさして歩いている御子柴元春が、猫を見た。

「全く、最近の人はこういう事するなんてな……。動物だって命あるのに」

 元春はそう言うと、猫を拾う。

「うちのアパートは、動物禁止はなかったはずだな」

「にゃーご、にゃーご……」

 元春は猫を連れてアパートへと向かった。


「可愛いです~、この猫さん」

 帰宅すると、公休日だったセレナたちが待っていた。

「お兄ちゃん、この猫どうしたの?」

「拾ったんだよ」

「それにしても、ビショ濡れですね。どうしましょうか?」

 元春は言った。

「とりあえず、清潔なタオルがあったはず。それ持ってきて」

「わかりました」

 エリーゼはタオルを持ってきて、元春はタオルで軽く猫の体をふいた。

「それにしても、猫さん寒そうですね」

「お風呂に行って、少し温めようか」

「そうですね、やかんにお湯を入れて沸かしますね」

「少しでいいんだ。猫は、水とか苦手だからな、ぬるま湯で十分だよ」

 元春達は、拾った猫のため準備した。


 元春は風呂場にて準備をした。

 セレナはやかんにお湯を少し温めて、一分間ぐらいに沸かした。

「洗面器に入れてくれないか?」

 やかんに入ってお湯を洗面器に入れた。

「にゃーご……」

「少し我慢してね」

 お湯に猫を入れた。そして、石けんで猫を洗った。

「にゃーご、にゃーご」

「気持ちいいか? すぐに温めてやるからな」

 丁寧にする元春。だが、その時だった。

「? なんだ?」

 紺色の猫が、ボンッと煙が出てきた。

「!?」

 そこへ、セレナたちも駆け付けた。

「元春さん!」

「お兄ちゃん!」

「どうしたのですか!?」

 咳を吹き込む元春。そこにいたのは……。

「ありがとう」

「?」

 人間で頭に耳、腰に尻尾が生えていた。

「…………」

 だが、彼女は女性。しかも、裸だった。

「! うわああああああああああああ!」

 元春は彼女の全裸にて叫んだ。


 そして……。

「やっぱりここにいた。セレナ団長とエリーゼ隊長」

「……、その姿はもしかして、キャロルですか?」

 元春は言った。

「知り合い?」

 セレナは説明した。

「呪術師の獣人のキャロル・ケットシーです」

「てことは、アンタも異世界から来たのかよ」

「ん」

 キャロルは頭をくしくしした。

「獣人ということは、久本さんと同居しているソルトさんと同じなんだな」

「ソルト? それって、ソルト・シールス?」

「あ、ああ」

 これにキャロルは思った。

「そうなんだ。で、この世界に来て獣人がいないから、猫の姿でいたんだけど」

「雨のせいで寒くなったんですか?」

「そうなる」

 キャロルは頷いた。

「それにしても、呪術師にも異世界にいたんだね」

「うん。だからお礼を言わせて」

 キャロルは元春に近づく。

「ちょっ、ちょっと! 近いですが!?」

「気に入ったから」

「気に入ったって……」

 その時だった。

「どっせいぃぃぃぃぃぃ!」

 セレナ、エリーゼ、咲夜の三人は元春を押した。

「ぶべらっ!」

「お兄ちゃんに何してるの、アンタは!」

「? 別に気に入ったから」

「そ、それは駄目ですよ! そんなことしたら、元春さん困ります!」

「キャロルは羞恥心とかないのですか!?」

 これにキャロルは首を傾けた。

「……?」

 このことに元春は言った。

「さ、三人とも、落ち着いて。要するに、恩返ししたいだけだよね」

「うん」

 キャロルは頷き、これに元春は考えた。

「といっても、どうしようか……」

 元春が考えて決めた結果は翌日だった。


「というわけで、うちに働くことになったキャロルさんです」

「よろしく」

 ハトバにて働くことになった。

「可愛い~」

「猫かいな! 世の中ってそういうのもあるんやな……」

 そして元春の考えに、義子と雪子は言った。

「大丈夫なのか、元春?」

「少し変わった薬局店になりそうね」

「ハハハ……」

 元春は苦笑いした。

 確かにこの先、この店には変わった人が多い。少しハトバの将来が心配だった。



 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ