皆で観光スポットへ向かいました
―ニライビーチで沢山遊んだ元春達は、ホテル日航アリビラに戻り、夕食を取った。その後、自由時間になるのだが、一方セレナは何やらボーッとしていた。
「……」
その様子を見た円は、セレナを声を掛けた。
「セレナさん、どうしたの?」
「あ、いえ。なんでもありません」
と、セレナ本人は言っているが。実はセレナはあの時の言葉の事が忘れられなかった。
『俺の女ですが、なにか?』
それは、ニライビーチでセレナがお手洗いした後、ナンパ男に絡まれたのだ。そこに元春が来て、ナンパ男を追い払った。心配する元春にセレナは胸を痛んだ。
「……」
「もしかして、元春の事?」
セレナはギクッとした。
「図星?」
「うぅ……。円さんには隠せませんね」
「そりゃあ、元春とは長い付き合いだから。……まぁ、元春は正義感強いからね。それは分かるよ」
「……」
「その顔だと、元春の事、完全に惚れたのよね」
円はセレナを見た。
「私は元春さんとは、別の世界から来た人間。でもそれは、あの人とは好きになれない。いや、好きになったらいけないんだと思うのです」
「セレナさん……」
「分かっています。私やエリーゼさん達がこの世界にやって来たのは、時空の使命、ということを」
セレナの落ち込む姿に、円は思った。おそらくは、彼女の心には迷いがあるのだろうと。
すると―。
「今を考えたほうがいいよ」
「え?」
円は言った。
「その使命なら、元春もある。ならば、今の事を考えないと」
「使命……」
「でも今は、私達は旅行の身。せっかくの沖縄旅行だから、今を楽しまなきゃ損だよ」
確かにそうだった。時空の使命とかそう思っている暇なんてない。ならば今はそれの事を忘れ、旅行の事を楽しまなきゃいけないのだった。
「明日から、観光スポットを回らなければいけないんだから」
「観光スポット?」
「沖縄県にある、有名なところよ」
こうして、旅行二日目が終わったのだった。
沖縄旅行三日目。今日は皆で、観光スポットへ行くことになった。そのため、観光バスに乗ってスポット場へ向かった元春達。
「ここが首里城公園だな」
「これはまさしく、歴史にある風流ですなぁ」
和正は首里城の周りを見て驚いていた。
「首里城は、約四百五年間の歴史を持つ城。中国との交流を重ね、海洋国家として発展したそうだ」
元春は首里城公園のマップを見ながら解説した。
「ここでどうするのですか?」
エリーゼは質問した。
「記念撮影を兼ねて、思い出の写真を撮ろうかと」
「なるほど~」
「近くに守礼門という朱門がある。そこで、皆で写真を撮ろう」
全員は移動をした。
「……」
セレナは観光スポットを見て思った。
(皆さんの思い出……)
すると―。
「? セレナさん、どうしたの~」
「あ、いえ。なんでもありません」
「皆で思い出の写真を撮るんだよ? 早く行こうよ~」
その後、皆で首里城公園の周りを見ながら観光をした。写真を撮って、宿敵だった者でも楽しくやっていたのだった。
そして、二時間後―。
「観光スポットも悪くないな」
ライアは楽しそうだった。
「ライア様、楽しそうですね」
「当たり前だ。我は今を楽しまないといけないのだ」
「そうですか……」
そう思っていると、なにやら別の観光客が噂話をしていた。
「ねぇねぇ、知ってる? 古宇利島にある伝説の話」
「知ってる知ってる! ロマンチックな島よねぇ」
「あそこには―恋島伝説があることを」
その話に、ライアは耳をしたのだった。
つづく