皆で飛行機に乗りましたが事態が起こりました
「―皆様、本日は乗車していただき、誠にありがとうございます。こちらの航空機は沖縄県行きでございます。皆様、良い旅をお過ごしください」
客室乗務員のアナウンサーの声で、飛行機は飛び、沖縄県に向かって出発した。
元春達は、飛行機の中でゆっくりしていた。これにセレナは、飛行機内を見て驚いていた。
「これが飛行機なんですね」
「飛行機は空港にあるところで、行き先の所へ送ってくれるんだ」
「元春さんは乗ったことありますか?」
エリーゼの質問に、元春は言う。
「あるといえばあるかな。まぁ、滅多にならないからな」
「なら……、なぜ桜子さんは震えてるんでしょうか?」
桜子は不安そうになっていた。
「飛行機、苦手なんだ……」
「飛行機って怖いのですか?」
桜子は飛行機の恐怖を言う。
「もし墜落したら、人生終わってしまうんじゃないかって思って……」
「……そんなにヤバいのですか?」
これに桜子の話に、元春は言う。
「久本さん、その話はそこまでにしよう。楽しいのが低下するから」
「は、はい」
(まぁ、無理はないよな。飛行機の墜落事故の前科はニュースの過去にあるからなぁ。でも、皆楽しみにしているから、ここは黙っておこう)
元春はその話を墓までしまうことにした。だが……。
「おい、まさかロレナもということか?」
「え?」
そこには、ロレナが震えていた。
「参謀まで震えているとは、情けないですよ」
エリーゼは半目で言う。
「ロレナさん、どうしたんだ?」
ロレナの左隣にいた龍一が言った。
「よくわかりませんが、喋らなくなって……、さらに顔色が青くなっているんですが……」
「大丈夫?」
元春はロレナに尋ねるが……。
「……」
喋れないようだ。だが、元春はロレナの状況を見て気付いた。
「もしかして、乗り物酔い?」
「え? ロレナ、乗り物に弱いんか?」
ロレナは頷いた。
「仕方ない。山城君、コールボタンを押してくれ」
「ええっと、これか」
龍一はコールボタンを押した。
ポーンっと鳴ると、そこへ客室乗務員が来た。
「すみません、どうしましたか?」
「彼女が乗り物に酔って……、酔い止めを」
「かしこまりました」
客室乗務員は酔い止めと水を取りに行った。
そして、飛行機に乗って三十分後……。
「はぁ~、少し楽になりました」
「椅子を倒した方がいいぞ、左側の下にあるから」
「そうします」
ロレナは椅子を倒し、横にした。
「ロレナも苦手なものがあるんだね」
麻衣は少し驚いていた。
「それぞれ苦手ありますから、当然です」
そして、元春は沖縄県のしおりを開いた。
「ええっと、飛行機で沖縄県にある那覇空港に着いたら、バスで先にホテルへ行く」
「場所は何処ですか?」
元春はホテル名を言った。
「ホテル日航アリビラというところだ」
「そこで、四泊五日なんですね?」
「ガイドさんもついてるからな」
元春は時間を見ると、午前十時半だった。
「この状況だと、中四国は通ってるかもな。しばらく着くまでゆっくりしよう」
「お兄ちゃんの言う通りだね、気長に待とう」
元春と咲夜は、少し仮眠をした。
「のんきな兄妹ね」
エリーゼは呆れそうな顔をした。
「?」
すると、キャロルは何かの気配を感じた。
「どうしましたか、キャロルさん」
隣からセレナが尋ねて来た。
「いや、何か不穏な感じがした」
「不穏?」
そして、男性の客二人が立ち上がり、客室乗務員に近づいた。
「お客様、ご席を願います」
その時だった。
―カチャ。
「!」
男二人が銃を、客室乗務員に突きつける。
「動くな」
そして、事態は起こった。
「動くな! 動くと撃つぞ!」
「!? な、何ですか?」
これにセレナたちは、驚いた。
「奴ら、ハイジャックや!」
「ハイジャック?」
「飛行機を乗っ取る犯罪者や!」
ハイジャックは言った。
「動くなよ。我らの行き先は香港だ。これ以上抵抗はするな。客の命はないと思え」
これに見た龍一はハイジャックの数を見て驚いた。
「アカン、六人は居るで。このままやと、楽しいバカンスが最悪な旅になってしまうやんけ!」
大ピンチなことになっていると、元春は起きた。
「? これってまさか?」
「元春、私達はハイジャックされたよ!」
円の言葉に、元春は驚いた。
「は、ハイジャック!?」
すると、ハイジャックは元春の方に来た。
「おい、何している。動くんじゃないぞ」
「なんでこんな時に……」
その時だった。
「……」
酔い止めを飲んでいたロレナは、気分が悪くなった。
「ロレナ、こんな時に薬が切れたのか?」
「うぅ、もうダメ……。と、トイレに……」
「ちょっと、今はアカン!」
ロレナの目の前に、ハイジャックがいた。
「おい、何しているんだ?」
「と、トイレに行かせてください……」
「ダメだ。どうせ逃げるんだろう?」
「もう……、限界……。せめて袋……」
「おい、何しているんだ? 俺のズボンに……」
ロレナは顔が更に青くなり、そして遂に……。
「お”ぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼ」
ハイジャックのズボンの中で吐いた。
「ぎゃああああああああ! コイツ、俺の一丁前のズボンを袋だと思って吐きやがったァァァァ!」
「汚ねぇ! そして、臭い!」
「あ~あ……」
ライアは顔に手を当て、呆れた。
だが、マリーナは状況を見て好機と見た。
「大丈夫か?」
前にいた二人のハイジャックが来たその時―。
「ぐへぇ!」
「がはぁ!」
マリーナは二人のハイジャックを倒した。さらに―。
「何やってるんだ!」
三人のハイジャックが来て、エリーゼやライアは一瞬で倒した。
「く、くそぉ……」
ハイジャックの銃を奪い取り、元春達はハイジャックを追い詰めた。
「ま、待て! 話し合おう!」
「こっちは、楽しいバカンスです。待ったなしで♡」
元春達はニコッと笑って、ハイジャックを―。
「ぎぃあああああああああああ!」
断末魔な声を出すかのように、ボコボコにした。
そして、緊急の為、一時鹿児島にある鹿児島空港に緊急着陸。そこで、ハイジャックは逮捕された。
「クソ……、覚えてろよ!」
「チクショウ……」
「あぁ、俺のズボンが……」
「臭ぇぇ……」
これに見た元春達は、一安心した。
「とりあえず、予定は少々ズレるけど、楽しもうか」
「は、はい」
その一方、ロレナは酔い止め薬を飲んだ。
「大丈夫か?」
「大丈夫じゃ、ありません……」
今回はロレナがVIPだなぁ、そう思った全員であった。
つづく