店長には苦手なものがあります
―ゴトッ!
ある日の事、ハトバの倉庫に何かいた。これに、セレナたちは元春に報告した。
「倉庫に何かいるのか?」
「も、もしかしたらゴキブリかもしれません」
震えながら言うと、元春はため息をした。
「仕方ないなぁ」
元春はゴキブリ駆除の為、殺虫剤を持って倉庫に行った。
「ゴキブリは何処にいるんだ~っ、と」
辺りを探すと……。
―ガサッ!
「! そこか?」
段ボールから出てきたのは、ゴキブリではなかった。それは―。
「チュウ」
ネズミだった。
「ネ、ネズミだったのですか……」
「ネズミなら怖くないです」
エリーゼはホッとした。
「とりあえず、ゴキブリじゃなくて良かったですね」
「…………」
すると元春はなぜか黙っていた。
「元春さん?」
「…………消毒だ」
「え?」
元春は殺虫剤でネズミにかけた。
「汚物は消毒だァァァァァァァ!」
「元春さん!?」
何故か元春はご乱心に殺虫剤を辺りかける。
そこへ―。
「店長、ちょっといいですか~。……って、何事やねん!?」
「これ、殺虫剤の匂い?」
龍一と桜子が来て、元春のご乱心驚いていた。
「店長、何してるんですかいな!?」
「ネズミ爆死しろ!」
「いや、何を爆死!? ていうか、どんな状況ですかいな!?」
これにセレナは、元春を落ち着かせる。
「元春さん、ネズミはもういません!」
すると―。
「…………、いないのか?」
「いません、……いないどころか、皆さん見ています」
「!」
そこには、呆然としていた龍一達がいた。
「ネズミ、苦手なのですね……」」
「…………」
休憩室で、元春は事情を話した。
「恥ずかしい、ホントに」
「あんなテンパっている店長は初めて見ましたよ。ネズミは苦手なんですね」
「ああ、嫌な思い出になりそうだよ」
元春は険しい顔をした。
「何があったのですか?」
「幼い頃に、俺のケーキをネズミにかじられて、更にはテレビで大群のネズミだらけで気絶して……、そのあと、トラウマになったんだ」
元春は昔のことを思い出して震える。
「そ、そんなにですか?」
「だからネズミが来たら、悪・即・滅で退治することを誓った」
「その言い方、どっかで聞いた事ありますが?」
龍一はツッコミを入れると、これに桜子は―。
「でも、ネズミでも色々ありますよ~。それでも、すべてのネズミを退治するのですか?」
「当然」
これに龍一は言う。
「店長、ネズミにも生きる権利がありますよ。一寸の虫にも五分の塊といいますし」
「そう言ってもなぁ、苦手な物は苦手だ」
「ここは落ち着いて、外で日光に当たったほうがいいですよ」
セレナは薦めると、元春は立ち上がった。
「それもそうやな、とりあえず外で店外でゴミを拾いながらにしよう」
そう思って、元春は外でゴミを拾いに行った。
「あ~、嫌な物を見てしまった」
元春はため息して、トボトボとゴミを拾った。
「とりあえず、忘れよう」
一回、忘れることにした。ゴミを拾いながらゴミ袋に入れる。
「空き缶、空き缶、たばこの吸い殻、たばこの吸い殻、落ち葉……、おち―」
するとそこには―。
「チュウ~」
「…………」
元春は見てしまった。
「ど、ど、ドブネズミィィィィィぃィィィ!」
元春はドブネズミを見て倒れた。そこへ、元春の叫びが聞こえた和正が来た。
「! 店長、大丈夫ですか!? ごしっかり!」
「…………」
元春は気を失ったのだった。
そして数十分後―。
「う~ん……」
元春が目を覚ましたのは、セレナの膝で覚ました。
「大丈夫ですか、元春さん……」
「セレナさん?」
元春は状況が分からなかった。
「ええっと、一体何があった?」
「簡潔に言いますと、元春さんはドブネズミを見て気絶したという解釈かと」
「…………」
これに元春は―。
「恥ずかしい」
赤面していたという。