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強面な詩人がバイトにやって来ました

 ある日の事、ハトバの店の前で掃除をしていたセレナが箒で落ち葉を集めていた。

「フンフ~ン♪」

 セレナは鼻歌しながら清掃をしていた。

「いい天気ですね。雲一つない快晴です」

 空を見ていると、元春が言っていたことを思い出した。

「そういえば、今日は新しくハトバにバイトの方が入ってくるとか言ってましたね。男性が入ってくると、元春さんから聞きましたが、どんな方でしょうか……?」

 そう考えていると、セレナは何かを見つけた。

「あれは……」

 そこにいたのは、身長が一八〇センチ超えている男性がいた。が、何やら紙を見ながらキョロキョロしていた。

「何か探しているのでしょうか? それにしても―」

 セレナは男を見て思った。

(顔が強面ですね……)

 そして、彼はハトバの方を見てこっちに来た。

「! もしかして……」

 男はセレナを尋ねた。

「すみません、ハトバ小樽店というのはここですか?」

「は、はい」

「よかった。やっと見つけた」

「あ、あの……あなたは?」

 男は名前を言った。

「申し遅れました。私は電話でお問い合わせした後にここで働くことになりました、詩田和正(しだ かずまさ)と申します」

「…………」

「お見知りおきを」

 和正という男は礼をした。


 そして、彼は元春と面接をした。

「詩田和正、年齢は三十歳だね。バイトとなると、品出しやレジになるけどいいかな?」

「構いません」

 元春は和正を見て思った。

(顔が強面だな……)

 セレナが言った事を思っていた。

「あの、私の顔に何か?」

「あ、いや、なんでもないよ」

「そうですか? 緊張しているのですが、私は今、胸が高鳴るがの如くかと思います」

「そうなんだね……」

 和正はハトバの仕事を考える。

「この店には、薬や洗剤、酒類などもあって素晴らしいです。なんでもある万屋の如くと言いましょう」

 コメントを言ってるのか、元春は気になっていた。

「気になってるけど、なんか真面目だね」

「やはりそうですか? なにしろ、私には夢があって働いています故に」

「夢?」

 和正は夢を言う。

「私の夢は詩人になる事です」

「詩人?」

「詩人、即ち、風流家です」

「風流家ねぇ……」

 すると、アナウンスが聞こえた。

『業務連絡です、御子柴店長お願いします』

「あ、ちょっと待っててね」


 元春は業務連絡に行き、終わったのちセレナから尋ねて来た。

「元春さん、先程の新人の方は?」

「かなり真面目な詩人になる夢を持つ風流家とか言ってたな」

「詩人ですか?」

「セレナさんの所にそういうの居た?」

 セレナは言った。

「確か……、吟遊詩人がいましたね」

「吟遊詩人?」

「現世で言えば、音楽家です」

「そういう人もいるんだ……」

 元春は頷くと、セレナは和正という人物について言う。

「その人って、詩人になるのですか?」

「分からないが、本人はそう思っているさ」

 元春は和正が持つ夢に思う。

「夢を持つって言うのは大事だけど、動かないと意味がないからさ。人生には必要かもしれない」

「人生ですか……。 元春さんの夢ってなんですか?」

 元春は言った。

「夢は……今のところはないかな。だが、流れで行けばきっと見つかると思うからさ」

「…………」

「さて、面会の続きっと」

 元春は和正が待っている休憩室に戻った。


 そして、詩田和正は採用した。その数日後―。

「合計で千円になります」

 レジをしていて、その見守りに龍一がいた。

「どうや? 少しは慣れたかいな?」

「少々、ですがこれもまた、慣れるためには山登りの気分で行かねばなりませんので」

「そ、そうか……」

 龍一は、和正を見て思う。

(顔は凄いが、風流家やなぁ~)


 その様子を見ていた元春とセレナ。

「慣れないといけないからな」

「大丈夫でしょうか? お客様が少しビックリしていますが……」

「まぁ、そこは……、威圧で笑顔の如く?」

 和正っぽい事を真似すると、セレナは―。

「元春さん、それフォローな一言になってませんよ」

「ですよね~」

 遮ったのだった。





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