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強くなるために体術を身に着けることにしました

 ある翌朝、アパートの下で棒を振っている人物がいた。

「…………っ!」

 エリーゼである。彼女はソルフィルス騎士団として、強くなるために鍛えていた。

 だが、彼女にとっては強くなりたい理由があった。それは―ソルフィルスで彼女の一族を殺した人物であり、実の兄である男・オルグス・ルドベキアを倒すことだった。

 彼はエリーゼ同様、この現世にてやって来た一人として、今もどこかでひそめていた。また会ったら、問答無用で殺しにかかってくるはず。実の妹を恨んでいる彼の事。

 それでも、エリーゼは強くなりたいと努力していた。

「…………よし、剣術の稽古はここまでにしよう」

 だが、なぜか浮かばれない。おそらくは剣術でも足りないだろう。

「やっぱり、これだけじゃあ強くなれない……」

 オルグスは魔法が使える男。それに比べて、エリーゼは魔法は使えない。だが、ここは現世だ。現世でも強くなれるものがあるはず。

「…………そういえば、あの人は確か、体術の免許外伝を持っていたはず。なんとかお願いできるのでしょうか……?」

 エリーゼはその人物に尋ねるため、今は汗を流すために後にした。


 そして、その人物とは―。

「朝っぱらからつまみ菓子食うなよ、花乃姉」

「え~、いいじゃん別に~」

 元春の姉・御子柴花乃だった。

「良くないだろ!」

 花乃はニートな姉だが、実は空手や柔道など免許外伝を持つ人物だった。

「…………」

 こんなだらけな人だが、体術には尊敬はする。エリーゼは朝ごはん食べた後、花乃と二人きりで話をした。

「花乃さん、お願いがあるんです」

「? 何?」

「体術を教えてください」

 エリーゼのお願いに、花乃は驚く。

「藪から棒にどうしたの?」

 エリーゼは理由を言いたい。しかし、実兄・オルグスを倒すなんて言えない。

「私は剣術として、貫いていましたが……、これでは足りないと知りました。現世でも、何か鍛えるものがあるはず。体術の免許外伝を持っている花乃さんなら私を鍛えてくれるはずかと」

「なるへそねぇ~、そう思うと鍛えたくなるね」

 これに花乃は―。

「いいよ、教える」

「ありがとうございます」

 こうして、エリーゼは花乃の体術を教えられる事になる。


 アパートの前で、二人は立っていた。

「これは何でしょうか?」

 エリーゼは道着を着ていた。

「道着と言って、体術を鍛えるには身軽な着物を着ないといけないの」

「なるほど、納得しました。では、よろしくお願いします!」

「私の鍛えは厳しいけどついて来れる?」

「はい!」

 エリーゼは本気だった。

「はいっ、じゃなくて、『押忍!』よ」

「お、押忍? それは一体……?」

「気合の一言の叫び、と、言えばいいかな」

「押忍!」

「まずは初心タイプからよ!」

 こうして、エリーゼの訓練が始まった。


 その頃、その様子を見た元春達は―。

「まさか、花乃姉から鍛えるなんて……。なにがあったんだ?」

 これにセレナは、エリーゼのことを言う。

「エリーゼさんはいままで、剣術や馬術、弓術などやってましたが……、自分自身が納得できない。だから、この世界で体術を習い始めたのかと」

「ソルフィルスでは体術があったはず。もしかして、理由があるのか?」

「体術は確かにありました。しかしそれは、男性の方だけ限定なんです。女性は体術には無用、そう決めていたんです」

「世知辛いルールだなぁ」

 しかし、元春は見た。エリーゼの本気の眼差しを。

「それでも、エリーゼさんは自分の強さに納得できるまでやるのかな?」

「エリーゼさんは、努力家なところもあるんですよ。だから、見守りたいです」

「…………」

 エリーゼは兄を倒すために騎士団になったという。未熟でもそれでも強くなりたい。彼女はそう思っているだろう。


 ―数時間後。

「後は、自分でできるはず。もし、自分でやるならサンドバック用意するから」

「さんどばっく?」

「かなり固いでっかいミット、ストレス発散にもなれるやつよ。私の持っているサンドバックは空気入れているサンドバックだから、使うならいつでも使っていいわよ」

「…………」

 だが、エリーゼは思う。

「? どしたの?」

「…………私は、未熟なところがあります。皆を、団長や元春さん達を護れる力になりたいのです」

「エリーゼちゃん……」

 エリーゼの本気に、花乃は言った。

「エリーゼちゃんは、いつものままでいい。限界を超えるほどぐらいにやればいい」

「限界を超えるほどに……?」

「自信を持って、やればいいのよ」

 エリーゼは自信をもっと出さないといけない。兄・オルグス・ルドベキアが一族を殺して狂った彼を何とかしないといけないのだから。

「はい!」


 日が暮れていても、彼女はやっていた。

「…………流石に、時間の事も教えたほうがいいんじゃないか?」

「あ~……、そこまで言ってなかった」

 花乃は笑っていた。

「…………お姉ちゃん」

「花乃姉、時は金なり、という言葉知ってる?」

 その後、エリーゼは訓練的には約三時間することになった。






 

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