騎士団がバイクの免許を取ることにしました
―ある日の事、元春は財布から免許カードを出して、ある日付を見た。
「ほげぇ……、更新しないとヤバいな」
「何をですか?」
「バイクの免許」
元春は運転免許を持っていた。それは、車の免許であり、軽自動車など運転できる免許だった。更には、車だけじゃなくバイクも取っていた。
だが、今回はバイクの免許である。
「バイク?」
セレナらは首を傾げる。
「知らないのか? よく道路に通ってるだろ? ヘルメットを着けて、約二十から三十ぐらいスピードを出している人」
「…………そういえば、居ましたね」
「まぁ、異世界では流石に無かったはず。そっちはいつもは何で乗ってるの?」
セレナは言った。
「馬です」
「馬って、あの走る馬?」
「私は一応、馬術とかも身につけていますから。エリーゼさんも、馬術とか習いましたね」
エリーゼは馬術の思い出を言う。
「確かにそうですね。と言っても、アレは難しいですから」
「なるほどな。馬術は難しいと思うな、馬との絆を深めないといけないからな」
「それもそうです」
だが、セレナは―。
「でも……、少し興味あるかも……」
「え?」
バイクの事で気になる。
「私も、そのバイクに乗りたいですね」
「団長!?」
「別にいいけど、条件があるよ」
「条件?」
元春は運転についての条件を言う。
「車の運転は十八からなんだ。セレナさんはギリだけど、エリーゼさんはあと一年ぐらいは運転できない」
「別に車の運転とか興味ありませんよ。というか、条件あるのですか?」
エリーゼの質問に、元春は言った。
「あるよ。交通の為だし、当たり前だよ」
しかしセレナは、年齢的にギリだが不安だった。
「やっぱり、車の運転は止めときます。せめて、初心の方がいいですね」
セレナは言うと、元春はある乗り物を言った。
「なら、さっき言っていたバイクとかどうだ? 十六歳から免許取れるし、二人なら問題ないよ。丁度、俺は近日にバイクの免許更新しないといけないから」
「何のバイクを?」
「確か……、原付免許」
これにセレナは―。
「私もそれにしたいです」
バイクの事で興味津々だった。
「まぁ、別にいいよ。バイクの中での初心者が取れるのは原付だし」
「…………団長がそういうなら仕方ないですね」
「ただ……」
元春にとっては問題が一つあった。
「? どうしたのですか?」
「教習所の先生がめんどくさい人だからなぁ」
元春は嫌そうな顔をした。
「めんどくさい人?」
「なんて言えばいいかな……? あの教習官はかなりのスケベらしいんだ」
「要するに、変態ですか?」
「けど、自動車学校は小樽市の中では一校しかないからな。仕方ないよな……」
どんな人だろうか、と、二人はきっとヤバい人だろうとそう思っている。
だが、それでも―。
「だ、大丈夫です。それでも、耐えますので!」
「うん、もし何かあったら呼んでくれないか? 正直言うと、あのオッサンは苦手だ」
元春は珍しい事を言った。
「は、はい」
こうして、三人は数日後に自動車学校へ行くことになった。
―数日後。元春達は自動車学校・小樽自動車校にやって来た。
「ここが、自動車学校ですか……」
さらに、三人の隣には―。
「ところで……、円、なんでいるの?」
高町円がいた。
「私もバイクの免許の更新に来たの。まさか、元春達も同行だなんて」
「…………でも、高町さん。少し嬉しそうな顔していません?」
「へ……!?」
円は少しニヤけた顔をした。
「そ、そんなことないよ! 本当に無いよ!」
「…………?」
そこへ―。
「これはこれは、御子柴さんと高町さん。免許の更新ですか?」
現れたのは、眼鏡をかけた中年男だった。
「はい。バイクの更新です」
「私もです」
「そうですか。……おやぁ?」
男は二人を見た。
「? 何でしょうか?」
「あなた方は、もしかして免許を取得しに来た方ですか?」
「はい。バイクの免許を」
「そうですかそうですか~、初めての方は教室で待ってください」
そう言うと、男はグヘへッと笑って行った。
「何でしょうか……? もの凄い悪寒が走る男です」
「…………マズいな」
元春は彼を見て、気付いた。
「どういうことですか?」
元春は教習官の事を言った。
「彼の名は、工口と言って、さっき言ってた通り、スケベ教習官だ」
二人は驚く。が、もう一つツッコむところがあった。
(……というより、名前がそのままなのでは?)
苗字が確かにヘンタイな名前だった。
つづく