職場体験の子が騎士団長のあれを見てやる気が出たそうです
――ある日のこと、ハトバにてまさかの報告が来ていた。
「え? 職場体験?」
元春は驚いていた。
「明日から、小学生の職場体験の子が来るらしい。一人だけだが、どうやらその人が来るらしい」
義子の報告に、皆は嬉しそうだった。
「本当ですかいな! ついにこの職場にも職場体験の子が来るなんて、腕が鳴るわ!」
「私も楽しみですぅ」
龍一や桜子もワクワクしていた。
これに、セレナたちは……。
「職場体験ですか……。この世界でもあるんですね」
「セレナさんのところはあったのですか?」
これにエリーゼが口を開いた。
「職場というより、見習い兵士とかいました。その人たちは、過酷な訓練とか剣術などやりましたからね」
「そうなんだね」
「それで、その小学生の子はいつまでなの?」
雪子の質問に、義子は言った。
「調べによると、三日間らしい。ま、たったの三日間だから、問題ないだろうな」
「そうね」
しかし、元春は思った。
(むしろ、雪子さんの腰につけているのがもんだいなのでは?)
日本刀を持っているので、少々不安だった。
そして翌日、職場体験の子がやってくる。
「なんで俺がここに入るのかわかんないけど、とりあえず三日だし、気楽でいいよな」
一人の小学生が、ハトバを見上げた。
「どうせ普通の人ばかりだし、大丈夫だよな」
そこへ……。
「この辺りで、清掃してほしいと言われたんですよね」
セレナが箒とちり取りを持って、店から出てきた。
「なんだ、あの人は?」
これに小学生は見た。
「? あれは……」
セレナは小学生を見た。
「ボク、もしかして体験の子かな?」
その時だった。小学生は、セレナを見てドキッとした。
「!」
この時、彼は思った。
(なにこいつ? まるで聖母な人が来た! こういう人もいるんだな! しかも、おっとりな人でアレがでかい! な、何とかあいさつしないと!)
小学生は言った。
「俺は中丸弘、このハトバに体験してきました!」
これにセレナは思った。
「そうなのね、このことあの人に言わないと……」
弘は思った。
(やばい! こういう聖母な人がハトバにいるんだ! アレもでかいしやる気出るかも!)
「元春さんたちが待っていますので、案内しますよ」
「お願いします!」
弘はハトバの中に入り、セレナに案内された。
そして、弘は職場体験をした。が、このとき彼はやる気が出ていた。
「あの、ここを置けばいいのですか?」
「うん、そこだよ」
セレナは丁寧に、弘を教えた。
これに見た元春達は……。
「あの子、セレナを見てやる気出てるね」
「どうしてかしら?」
「…………」
義子は、もしやと思った。
「アレじゃね? 男の子ってのはああいうのあるじゃん」
「アレって何ですか?」
「スタイル、じゃないのか?」
しかし、すでに気付いている人物が一人いた。
「…………」
エリーゼだった。
(皆知らないと思いますが、団長は兵士から人気があるのは美人だけではありません。……それは、バストがでかいからですよ! あの人は、胸のこと気にしていますし、私なんて胸小さいし……。あれ、涙がでそうになってきた……)
「エリーゼさん、どうしたんですかいな?」
見ていた龍一に、エリーゼは慌てる。
「いえっ、なんでもありません!」
「そうかいな? なんや少し落ち込んでいたで」
「あ、あははははは……」
笑ってごまかしているが、エリーゼは内心ため息していた。
そして、弘が体験終わったころに、彼はまたやってくる。
「すみません、これありますか?」
「あるわよ」
この時、元春は思った。
「あの小学生、来るの多くないか? 体験終わったのに」
「…………」
アレ目当てとは、エリーゼ以外は気づいていなかった。