他人を騙した奴の本拠地へと乗り込みました
―前回のあらすじ。元春が契約できた『酒井屋』が、何者かによって破壊され、酒やビールはほとんど壊されてしまい、『酒井屋』の店主・酒井炭三は重症で入院していた。彼が言う『黒いスーツを着た男』、そして店を破壊した黒幕・北野。元春はこれに怒り、北野を探すことにした。
そして……、元春達が北野を探しに行って、三十分後の事―。炭三は外を眺めていた。
「…………」
炭三は、昔の事を思い出した。
十年前―。彼には息子がいた。妻が亡くなって、息子は変心してしまった。
「おふくろが亡くなって、俺は皆から嫌な注目されているんだぞ! 俺はここから出て行く!」
「何を言ってるんだ! お前が出て行ったら、この店はどうなるんだ!?」
「知るかよ、自分で後悔しろよ!」
炭三の息子はそう言うと、出て行った。
「…………」
炭三は後悔していた。妻が亡くなってしまい、息子が居なくなってから十年がたっていた。
「俺は何やってんだろうな……、ほとんどが俺の前から居なくなって、これが俺にとっての罰だろうな。ま、仕方ないさ」
しかし、炭三は思った。
「だが、あの男は本気だったな。さすがの俺でも、ビックリしたな」
その時だった。
誰かが、炭三の病室から入ってきたのだった。
「! お前は……」
その頃、北野はビルにて仲間と共に集まっていた。
「北野さん、こんなに金が手に入りましたよ」
「まさか、あの親父の家にはこんな大金があるとは思っていませんでしたよ」
「しかも、あの黒村克茂とかいう男を利用するなんて、胡散臭い奴ですが、うまくいったというところでしょうな」
「まぁ、これも悪知恵の一つよ。だが、あの黒村とかいう奴を利用して、『酒井屋』を破壊した。奴は用済みだし、写真も撮って警察に送らして、彼こそが犯人を仕立て上げる。一石二鳥よ」
北野は不気味に笑う。
「さすが北野さんッスね」
北野の部下は笑っていた。
「さて、次の仕事なんだが……」
仕事の話をしていた次の瞬間―。
「き、北野さん……」
一人の男が顔にぶん殴られて、フラフラと入ってきた。
「? どうした?」
「な、何だ? その顔は?」
「そ、それが……、男一人女二人がここにやってきて」
そこにいたのは―元春達だった。
「お、お前は! この前の奴ら! 一体何の用でしょうか?」
「単刀直入に言う。アンタが、酒井さんところの店を壊したんだろ?」
北野は言う。
「はて? 何のことでしょうか?」
「とぼけても無駄ですよ、本人から聞いてます。しかも、証拠もありますから」
エリーゼはスマホから、証拠の写真を出した。
「!?」
「な……! これは、いつの間に! あの親父……!」
北野は険しい顔をした。
「本人から聞くと、黒いスーツを着た男を雇って、そしてその男を捨て駒扱いで金を手に入れる。捨て駒、最低な人間がするやり方だな」
「く……」
「黒いスーツを着た男、そして北野さん。アンタらには罪を償ってもらう」
すると、北野の部下が立ち上がり、元春に近づく。
「こうなったら、生かして置くわけにはいかないな。こう見えても、俺は元空手をしていたからな」
「…………」
元春は北野の部下を睨んでいた。
「なんだ、その面は!?」
殴りかかったその時―。元春は避けて北野の部下の腕を捕まえた。
「いててててててて!」
「何だとっ!?」
「俺、こう見えて護身術を身に着けていますので」
そう言うと、北野の部下を押し出す。
「こ、この野郎! この金だけは渡せないぞ!」
北野はケースに入れていた金をしっかり守り、部下は北野を守ろうとした。
「実は私は、あなたのようなお金を悪知恵で奪う人間は大嫌いなんですよ」
「それがどうした?」
「もっと一番嫌いな人間、他人を重症を負わせ、強引に全てを奪い取る。更には傷ついた弱い人間を見て嘲笑う―クズな人間、そんな奴は社会に表に出る必要はない」
「こいつ、言わせておけば……!」
このことに、北野は……。
「なら私が悪人だとそう思うなら、百歩譲って認めましょう。ですが、貴方はもう死にました。ここにいる部下は凄腕。アナタ男一人でも、後ろには女が二人。ならば、貴方は殺されて、女二人を犯しましょう」
「…………」
北野は部下に命令した。
「殺れ」
北野の部下は木刀を持ったり、格闘で構えて攻撃。
すると―。
「死にや―ぎゃあぁぁぁぁぁ!」
一瞬で、全滅した。
「…………!」
部下が気絶してのびてしまう。
「ば、馬鹿な……! い、一瞬で……!?」
エリーゼは言う。
「呆れましたね。私達がむしゃくしゃしていると思っていますか?」
「少しやり過ぎましたね……?」
セレナは言うと、元春は言う。
「いや、十分。……北野さん、あなたの悪事は、すでに警察に送っています。こういう言葉、あなたもご存じなはず」
元春は北野に一言申した。
「年貢の納め時、と、言えばいいでしょうね」
「く、くそぉ……! 薬局店の者のクセに、この北野を……!」
「薬局店をなめるな」
こうして、北野は膝をついた。
その頃、その様子を双眼鏡で見ていた黒村は―。
「まさか、奴が自らここに乗り込むとはな。―我が弟にしては、なかなかやる」
そう認めると、立ち去ったのだった。
つづく