表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
112/163

黒き男が詐欺師にアドバイスをしたそうです

 ―前回のあらすじ。ハトバに新たなコーナー・酒類を加えることになった。だが、ビール・酒類の店との契約は別の店にて契約済みだった。残ったのは、『酒井屋』という酒類の品物がある店だった。契約に向かった元春、セレナとエリーゼ。しかし、昔から続いていた店で、五代目・酒井炭三が守ってきた酒屋だった。仕方なく一回出直しすると、そこに北野という男がやってきて、炭三と契約しようとしていたが、元春は、北野の行動に詐欺だと気付くのだった。


「わ、私が詐欺師? 何のことですかな?」

「この契約書にサインした後、ここの住所についてのこと書いてあるでしょ? もし、名前とここの住所を書いた場合は、それに特定して金庫や隠している通帳などを調べるため。この建物は古いからおそらく何かあると、ターゲットを傀儡のように信用して騙し取る。どうせ、アンタは契約したのち、この店に上がらせるつもりだろうな」

「な、何を言って……、そんなの知らないよ!」

「金の目当てで、この建物を調べるんだろ?」

「…………!」

 北野はギグッとした。

「貴様、いい加減にしろ! 証拠はあるのか!?」

「丁度、胸ポケットにペンがありますねぇ」

 元春は北野が持っていたペンを取った。

「何ですか、これは?」

「小型用のペンカメラだ」

「! そのような物があるのですか?」

「うぐ……っ」

 北野は元春によってバラされてしまう。

「さて、どうでしょうか?」

 すると北野はこれに―。

「覚えてろよ!」

 と、逃げて行った。これに炭三は元春を見て気付く。

「アンタ、凄いな。もう少しでやられるとこだったな」

「すみません、こんなことになってしまって……」

 その時、炭三は決断した。

「こんな若い奴、なかなかいないな。アンタ、ハトバの御子柴と言ったな?」

「は、はい」

「契約、してやるよ。アンタの店」

 まさかの契約するという流れだった。

「! 本当ですか!?」

 元春達もビックリしていた。今まで断っていた彼が、遂に契約したいと願ってきたのだ。

「正直、アンタらのような奴らは初めてだな。契約してやるよ、ハトバ小樽店だったな。契約書を出してくれ」

「わ、分かりました」

 契約書を出した元春。炭三は、自分のサインを書いた。


 こうして、契約成立ができた。酒類が出るのは一週間後になると炭三は言う。これに、セレナとエリーゼはビックリしていた。

「それにしても、頑固なあの男がまさか契約するとは思っていなかったですね」

「元春さん、これはかなりの期待ですよ。チーフも喜びますよ!」

「…………」

 だが、何故か元春は深刻そうな顔をしていた。

「元春さん?」

「…………確かに契約はできた。でも、どうも不穏がするんだよな」

「どういうことですか?」

 元春はその理由を言う。

「あの北野とかいう、詐欺師のことだよ。あの男が諦めてない可能性があるかもしれない」

「か、考えすぎですよ」

「何も起こらなければいいけど……」

 その不穏は、元春は少し当たるのだった。


 その頃、詐欺師だと見破られた北野という男は―。

「くそっ、あの男! 俺が詐欺師だと見破りやがって! だが、こんなところで諦めない俺じゃないぞ! だが、あの頑固野郎をどうするかだな……」

 そこへ―。

「おや、何かお困りだね」

 現れたのは、黒村克茂だった。

「ん? アンタ誰だ?」

「ただの相談者だ。困ってるなら、知恵を借りようかな?」

「…………」

 北野は思った。

(なんだ、この怪しい奴は? いや、待てよ……。もし、こいつを嘘なことを言って利用すれば、あの頑固な奴を……)

 北野はニヤリとした。

「実は、ある方が契約してほしいのですが、どうしても拒否するんですよ。このままでは、うちの会社は大赤字になってしまいます。どうすればいいのか……」

「なるほど、それならいい方法がありますよ。その人と君の会社と簡単に契約が出来ることを」

「有難い、助かります!」

「ところで、その人物の店はどこですか?」

 北野は黒村に教えた。

「『酒井屋』というトコだよ」

「そう、ではまず、その男を私が会って見ましょう。その後、翌日には契約ができると思いますから」


 一方、炭三は元春らを見て知り、亡くなった妻の遺影しながら言った。

「あんな若造は初めてだった。俺にとってはなかなかやる奴だった。決めたよ、これからハトバ小樽店とかいうとこで、ウチの酒類を出すよ。ようやく、報われた気分がするよ」

 そこへ―。

「ごめんください」

「? 誰だ?」

 黒村がやって来た。

「実は話がありまして、貴方にどうしても重要な話があると」

「何?」

 その陰に、北野がいた。

「…………あの男を利用して、犠牲の罪になれば……」

 と、スマホで写真や動画と撮っていた。


 その翌日……。

(ついに、酒コーナーができるな。少しかかるが、更に店に客が来るだろうな)

 かなりご機嫌な元春。ところが―。

「元春さん、大変です!」

「? どうしたの?」

「昨日契約した『酒井屋』が……!」

 元春達に危機が迫っていた。それは、『酒井屋』に事件が起こったのだった。




                                つづく




 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ