代役に妹が来たのですが半獣人に問い詰めることになりました
元春が風邪を引いた同じ頃、元春の義理の妹である咲夜は、彼の代わりに出勤することになった。
「というわけで、お兄ちゃんの代わりにやって来ました!」
咲夜が元春の代わりに来たことに、皆は思った。
「ホンマに大丈夫かいな?」
「大丈夫です、兄不在の代わりに私がやります!」
咲夜は本気だった。
「桐島さん、いいんですか? 店長の代わりに妹が来ましたけど?」
龍一は、義子に尋ねた。
「いいんじゃないのか?人数多くていいしな」
「ありがとうございます!」
咲夜は嬉しそうだった。
「そういえば、セレナさんらは来ていないような」
雪子が言った。
「セレナさんとエリーゼさんは休みを取らせましたよ。店長、アパート暮らしですから」
「え……」
咲夜はショックだった。
(やっぱり、私がお兄ちゃんの看病すればよかった)
かなり落ち込んでいた。
「どうしたのかしら?」
「あの様子じゃ、後悔先立たずしてるな」
しかし、咲夜は……。
「どっちにしろ、お兄ちゃんの代役だから仕方ないよね!」
と、立ち直った。
「立ち直るの早っ!」
龍一はツッコんだ。
「でも、店長休みだから、もう一人呼んじゃったのよね」
「え、そうなのですか?」
「あぁ、店長が来ない代わりにお前が来るのは考えていなかった。呼んだのは、咲夜じゃなくてあいつなんだ」
「あいつ?」
その人物は、咲夜にはまだ会っていなかった。
「皆さん、お待たせしましたぁ!」
そこへやって来たのは、桜子と半獣人であるソルトの二人だった。
「? 桜子さんと、……誰ですか?」
「咲夜はソルトとは、初対面だったな」
これにソルトは、咲夜を見た。
「あの、貴方は?」
「私は、御子柴元春の妹の咲夜です! ソルトさんと言いましたね?」
「えぇ、私はソルト・シールス。セレナさんらと同じ世界に来た者です」
「!?」
咲夜は驚いていた。
「あの二人と同じの方!? というより、帽子被っているのは?」
咲夜の質問に、桜子が言った。
「ソルトちゃんは、半獣人なの。耳が頭にあるから、仕事では帽子で隠しているから」
「半獣人? そんな漫画みたいなことありますか?」
「本当だから」
ソルトは、自ら帽子をはずした。
「…………」
咲夜は唖然した。
「とにかくだ、店長不在だから、あたし達でやる。それでいいな」
「はい、そうですね」
こうして、皆は元春不在にて、薬局店の仕事をすることになった。
咲夜は、納品の品を入れる仕事をしていた。
「……」
しかし、咲夜はソルトをにらみつける。
(どうしよう、凄くこっち見ている)
ソルトは少し仕事に集中できなかった。
(なぜ、半獣人がここで働いているの? お兄ちゃん、ああいう人許したの?)
これに咲夜は、ある人物に尋ねることにした。
「というわけなので、彼女がここに働いている理由を教えてください」
「…………」
桜子と龍一だった。
「理由って、そこまで気になるんかいな?」
「もちろんです」
二人は顔を合わせ、仕方なく言うことにした。
「ソルトちゃんは、私が保護してそれで居候しているの。そしたら、セレナさんらがこの世界にいるので恩返しに働くことにしたの」
「店長は、少し気難しい感じやったけど、とりあえずは採用したんや」
「なるほどですね、なら今度は本人に聞くしかありませんね」
咲夜はそう思うと、早速ソルトに尋ねることにした。
「大丈夫かいな、ホンマに……」
「う~ん、咲夜ちゃんってなんだかすごい本気のような……」
二人は心配していた。
咲夜は、ソルトに尋ねた。
「ソルトさん、あなたは本当に半獣人ですよね?」
「そうだけど?」
「お兄ちゃんに採用されたのですよね?」
「え、えぇ」
「ならいいです」
咲夜は納得した。
「お兄ちゃんに何かあったらいけないので」
「そんなにセレナさんたちを妬んでいるの?」
「やっと、お兄ちゃんのところへ行けるかと思ったら、見知らぬ女性二人が居候していたんですよ! この気持ちわかりますか!?」
咲夜はソルトにさらに尋ねる。
「う、うん。わかるよ」
「でも、知り合いでも何もしていないならよかった」
ソルトは、咲夜の思ってることに尋ねた。
「そんなに元春さんのこと、気になるの?」
「もちろん!」
「一体どういう……?」
「聞きたい? お兄ちゃんの話」
これにソルトは、嫌な予感がしていた。
「いや、いいわ」
「いいから、聞かせてやります!」
「……」
咲夜は一時間ほど、元春の話をした。
翌日。元春が復帰した。
「ごめん、昨日風邪で休んじゃって」
「いいですよ、店長不在の間に大変なことがありましたから」
「え? なにがあったの?」
そこに、桜子とソルトがやってきた。
「おはようございます……」
「あ、二人ともおは――」
元春は振り向いたとき、言うのを切れた。
そこには、ソルトがやつれていた。
「ソルトさん、どうしたの!?」
「……、元春さん。人の武勇伝って、恐ろしいですね」
「何があったの?」
呆然とする元春。
――その後、咲夜には少し苦手になったソルトであったが、それはまた別のお話。