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いつの間にか店長の姉がアパートからやって来ました

 ―この話は、元春が仕事を終えた頃、スマホが鳴っていたとこから始まった。

「ん?」

 スマホが鳴って、着信には『御子柴咲夜』と書いてあった。

「咲夜から? どうしたんだろう?」

 電話を掛けると、咲夜の声がした。

『もしもし、お兄ちゃん? すぐ帰ってきて、私じゃあどうすればいいのか分かんないよ!』

「一体どうしたんだ?」

『それが……、お兄ちゃんのアパートに……』

 咲夜が言うと、元春は青ざめていた。

「…………それ、ホントなのか?」

 そこへ、セレナたちが休憩室に入ってきた。

「? 元春さん、どうしましたか?」

「…………」

 元春は、何やら頭を抱えていた。

「あのアホ姉……」

「? アホ姉?」


 小樽アパートへ帰りながら、元春が言う姉のことを言う。

「元春さん、お姉さんいたのですか?」

「あぁ」

「何をしている方ですか?」

「ええっと、どういえばいいのか……」

 元春は悩んでいた。

「そこまで悩むところでしたか?」

「あのバカ姉がウチに来るということは、実家で何かしたな……」

(どんな姉ですか……)

 元春が腹立っているということは、よほど面倒な姉だろうと思ったセレナ達。


 そして、小樽アパートに帰ると―。

「お帰り~、元春~」

 一人の女性が酒を飲んでいた。

「…………」

 しかも、ビール何本か飲み切っていた。

「だから、こんな時間にビール飲むなよ!」

「えぇ~、いいじゃん別に~」

「よくねぇよ、咲夜は必死になってるぞ!」

 咲夜はぐったりしていた。

「咲夜さん、大丈夫ですか?」

「大丈夫じゃない……」

「キャロルさんとエルザさんは?」

 咲夜は、二人のことを言った。

「ウチのお姉ちゃんの酒匂いでこの部屋から逃げた」

「ファ●リーズを出して、匂いを消すか……」

 元春は棚からファ●リーズを出して、酒の匂いを消した。

「ところで、この方が元春さんの……」

 元春の姉は言った。

「は~い、御子柴花乃(みこしばはなの)で~す」

「は、はぁ……」

 セレナたちは呆然とした。

「あ、もしかして元春の彼女? あいつもハーレムだねぇ」

「かの……っ!」

「…………」

 セレナとエリーゼは赤面した。これに元春は怒って言う。

「花乃姉、そういうの他人にイジるの辞めろ」

「いいじゃん別に~、モテモテだねぇ~」

 元春はため息をしたのだった。これにセレナは、花乃のことについて言う。

「あの~、この方は一体何をしている方ですか?」

「ええっと、どう説明すればいいのか……」

 元春は悩むと、花乃は言った。

「無職ですけどこう見えて、護身術免許外伝を持っていま~す」

(無職!? しかも、護身術!)

「いや~、護身術持っててよく皆から怖がれていたからさ~」

 これに元春は―。

「そりゃあそうだろ……、誰だって怖がるから! 少し人間離れしているからでしょ!」

 すると花乃は……。

 バギゴキッ!

「あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”‼」

 元春を卍固めで締める。

「元春さんんんん!」

「あ、大丈夫だから。彼慣れてるから」

「慣れているというか、凄い変な音出していますが!?」

 セレナとエリーゼは元春を心配していた。

「ちょ、まっ……! 死ぬぅぅぅぅ……!」


 数秒後、元春は気絶した。

「卍固め、恐るべしです……」

「このくらいよ、普通は」

「普通に見えませんよ、元春さん気絶してますよ!」

 花乃は気にしてない顔で言う。

「そんなの大丈夫、数分で復活するから」

「…………」

「しかし元春、その歳で店長になったものね。()()()がいないから、そりゃあそうなるよね」

「あいつ?」

 花乃は『あいつ』のことを言う。

「元春の兄、つまりは私の弟。元春は、親から一度も褒めたことないからさ」

「え……?」

「あいつは何でもできる男、けど元春は普通だった。親からはダメだしばっかりの嫌味を言うの。元春が出て行ったのち、咲夜は泣いていたけど、親は大喜び。それどころか、赤飯を炊くレベルだった。私も反対だったが、見守ることしか出来なかった。世の中の人間は贔屓ばっかりだったからね。しかたないよ」

「…………」

 セレナとエリーゼは思った。元春の話を聞くと、耳が凄く痛い感じがした。

「まぁ、あんな親の所、居たくないし」

「…………」


 その夜、セレナとエリーゼは花乃が話していたことを言う。

「団長、元春さんは花乃さんが言っていた人物を親から贔屓したんですよね? 本当の親って何でしょうか?」

「…………、わかりません。ただ、一つ分かると言えば……、私達と同じ、辛い人生を送っていた、そういう事になるでしょうね」

「…………」

 元春の事、一体何なのか分からないまま、この話は忘れようと二人は就寝した。


 その一方……。

「クソ! 最近のこの世界の人間はムカつく!」

 オルグスは廃ビルにて、イライラしていた。するとそこへ―。

「イライラしても始まらないよ、君が別世界から来た人間のこと、よく知っているからさ」

「だったらなんだ! 貴様に何か考えがあるのか!?」

「僕には流れが読める。そろそろ、彼の働く店にある動きが来るからさ」

「どんな動きなんだ?」

 黒服の男は言った。

「新しい商談、と言えばいいかな? まぁ、ここは一時様子を見よう」

「…………この世界に会って、よくわからない奴だな。まぁいい、貴様の言葉に信じよう、黒村克茂(くろむら かつしげ)

 黒村は微笑んで笑った。




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