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魔王軍の本当の真実を言いました

 ―前回のあらすじ。山城龍一が秋葉原で出会った女性は、中学時代からの同級生だった。だが、龍一の同級生・紅麻衣は実はライア達が仕えていた魔王の娘だった。


「…………」

 沈黙している龍一達。麻衣はキョロキョロと龍一の部屋を見た。

「へぇ~、ここに住んでいるの。以外に普通ね」

「…………」

「そりゃあ、山城君。一人暮らしするよね」

「…………」

「……って、なんで黙ってるのよ」

 龍一は口を開いて言う。

「いや、そりゃあ黙るやろ」

「なんで?」

「紅がソルフィルスの魔王の娘やなんて、どういう事やねんってことや!」

 龍一は動揺しながら言う。

「ソルフィルスって、セレナさんやエリーゼさんらがいた異世界やろ!? お前、ここの世界の人間じゃなかったんかいな!?」

「まぁ……、ここの世界だけどさ」

「ほな何で、魔王の娘なんや!? ライア達もビクビクしてるやん!」

 ライア達は正座して震えていた。

「ここは現世やで! ソルフィルスの魔王の娘が現世の世界の人やなんて、こんなの前代未聞やで!」

「…………それは分かっていたわよ。でも、山城君に私の部下がここにいたなんて知らなかったんだもん。というより、正確では私が魔王の娘のことは知ってても、ほとんどは知らなかったのよ」

「どういう事や?」

 麻衣は理由を言う。

「私が魔王の娘と知ったのは、小学六年生の頃だったの。私のパパは一ヶ月に一回、家に帰ってくるの。仕事の都合で忙しいと。でも、その時はパパは殺されたのよ」

「…………! それって、まさか……」

「ソルフィルスの騎士団がやったって言ってた」

 ソルフィルスの騎士団、セレナ達率いる軍団が麻衣の父を殺したと言う。

「けど、ママはそんなの有り得ないって言ってた。パパは争いを好まない人だった。現世の世界を見て憧れたところにママと出会って、結婚した。そして生まれたのが私だった。けど、魔王の娘だと知ったのは小学生の六年生だった」

「魔王が……争いには嫌いだったんかいな」

 驚く龍一に、麻衣は言う。

「ソルフィルスの騎士団が犯人じゃない、そう思って調べたの。でも、魔王軍と人間の争いが始まって、遅かった。中学生になって、パパの部下が来たのよ」

「ちょい待って、ライアは現世に来たのは初めてやで!」

「ライアとマリーナは知らなかったのよ。異世界と現世がつながっていた事を知っているのは―彼女よ」

 麻衣が言う彼女とは―。

「それは本当なのか……、ロレナ」

「…………」

 ロレナ本人だった。

「致し方ありませんね」

(そういえば、初めて会った時……、ライアを見て動じなかった……。とういうことは、こういうの知ってたのかいな……!)

 ロレナは答えた。

「私は昔から魔王様から従っていた参謀。しかし、あの方は現世にて人間の女性に惚れて結婚。魔王城の仕事しながらの、異世界と現世の二重生活でした。麻衣様が魔王様を殺した奴がソルフィルスの騎士団だと思っておらず、私も調べました。その結果、魔王様を殺したのは別の者だったと知りました」

「な……!?」

 龍一、ライアとマリーナは驚いた。

「しかし、時空ホールにて被害にあった者らがこの現世にやって来た理由がいまだにわかりません」

「ロレナ……」

「このことは黙秘するしかなかったのですが、まさかこんな偶然が来るとは思っていませんでした」

「…………」

 ロレナは麻衣の前で、謝罪をした。

「麻衣様、魔王様を守れず、申し訳ありませんでした」

「…………、もういいよ。犯人はまだわからないでしょ? だったら、引き続き黙秘して。山城君も、協力してほしいの」

 これに龍一は、魔王軍についての真実が解ったため、答えた。

「分かった。けど、一つこれだけ言っておく。辛いなら泣けばええ、紅の親父さんを誰かが殺した犯人を捜すには難しいが、焦ってはアカン。相談するなら俺やライアらに言うんや。そして、明らかになったら、俺の知り合いに打ち明けて言えばええ」

「山城君……」

「紅はこれからどうするんや?」

 麻衣は答えた。

「私、正直言うと、一人暮らしを探しているの。でも、もう決めた」

「?」

 麻衣は決断したという。


 そして、数日後……。

「え~と、今日から新しく入ってきた紅麻衣さんだ」

「紅と言います」

 ハトバで働くことになった。これに龍一は少し呆れた。

(うちに住んで、しかも同じ職場で働くやなんて……。でも、親父さんを殺した犯人を見つけるまで、御子柴店長や、セレナさん達には黙っておこう)

 すると、エリーゼは思った。

「あれ?」

「エリーゼさん、どうしましたか?」

「この違和感、何処かで……。……気のせいですかね」

 龍一はホッとした。

(やれやれや。……しかし、ソルフィルスのとこもそんなことがあったんやな。護りたいもんを、護ったらないとアカンわ。その為に今は心の棚の奥にしまっておこう。店長らには申し訳ないけど、タイミングらしく日常過ごしてもらうで)

 龍一は心に誓ったのだった。ソルフィルスの魔王軍について、明らかになったが今は黙っておくことにした。魔王を殺した犯人は誰なのか、それはまた別の話になるのだった。





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