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日本に憧れた理由と最も危険人物な事を伝えました

 ―ユン・リーシャン。中国出身の女性、そして日本にやって来た彼女。だが、彼女の正体は中国のマフィア集団『天空会』のお嬢様だった。

 彼女は、日本に憧れてやって来た。しかし、彼女にはもう一つの理由があった。


 休憩室にて、元春はユンの父・ジャスコと話した。

「ユンさんは家出して日本にやって来た?」

「その通り。家出というより、あ奴は私の目を隙について逃げたのだ。夜逃げして、日本に亡命したのだ。娘がいなくなって、捜して調べたところ、日本にいるという。ユンが日本にてどこにいるか、かなり時間がかかったのだ。そして、ようやくこの町である小樽市というところにやって来たのだ」

「なるほど……」

「…………」

 元春の隣にはユンがいた。

「それで、彼女をどうするつもりですか?」

 これにジャスコは部下の方に向く。

「例の物を」

「はっ」

 部下はケースを出した。その中身は―日本のお金、札束だった。

「日本のお金!?」

「約一億円はある。それで、我が娘をこちらに渡してもらう」

「!? パピー、どういうつもりネ!」

 動揺するユン。ジャスコは言った。

「お前には、『天空会』を継ぐと決まっていたんだ。そのために、今やっている仕事を辞めて、中国に帰ってもらう」

「そんなの嫌に決まってるネ。私は日本が好きだから、ここにやって来た。それに日本は中国とは違くて、治安がいい! 住みやすいところネ」

「…………」

「それにここに来て、友達が出来たアル。だから、断るネ」

 すると、ジャスコは言った。

「確かに日本は治安がいい。だが、世の中にはクズな日本人が多いのだ。欲望が多く、堕落したところだと、明らかになった」

「それでも、日本に居たい。どうしてわからないアル!?」

「日本には、最近ある噂があった。この町には、厄介な謎の男がいる」

「厄介な謎の男?」

 ジャスコはその人物を言った。

「その男は、悪人だけ狙うが、その男のやり方はかなり残酷なことをする人間。不幸になった奴を助言し、原因を殺し狂う。そういう噂があったのだ。悪人は、死あるのみと思う、言わば狂った正義主義者な奴だ」

「その話に、あなたは娘を?」

「我が娘が、マフィアの娘とはいえ、危険すぎる。だから連れて帰らすのだ」

「…………」

 その時だった。

「待ってください!」

 ドアから、桜子達が入ってきた。

「桜子!」

「久本さん! 皆も!」

「なんだ、お前は……」

 桜子はジャスコの前で言った。

「ユンさんは、ここに来て賑やかになりました。ジャスコさんの気持ちも分かります。しかし、ユンさんはこの日本の世の中を見るのは未だにまだ分かっていません。娘さんは日本の事、もっと見てみたいんです。どうかもう一度考え直してください」

 桜子は真剣な目で、ジャスコを説得した。

「…………桜子」

「…………そうか、ユンの親友という奴はお前か」

「はい」

 緊張が走る元春達。これにジャスコは……。

「…………なら、店長である君はどう思う?」

 元春に尋ね、彼は答えた。

「久本さんの言う通りです。ユンさんは、この店の逸材な方で助かっています。この決断は、ユンさん本人の主権です。ジャスコさん、お金はいりませんので、どうかお引き取り願います。ユンさんは私達にとっての、店員仲間です」

「なっ………! 貴様!」

 部下はこれに怒る。するとジャスコは……。

「もういい」

「! ボス……」

 ジャスコは立ち上がり、そして―まさかの謝罪をした。

「日本にやってきて、よくわかった。ユンがここに働きたい理由、そして世の中が見たいという、その気持ちが分かった。私は浅はかな男だな」

「ぱ、パピー……」

 これにジャスコは、ケースをしまう。

「引き上げるぞ」

「ぼ、ボス!? いいのですか!?」

「…………娘の友の目を見て、この店の店長の目を見てよくわかった。さすが、日本人というところだな」

「…………」

「ユン。日本に来た事によって、責任は己でやることだ。そのために、何もかも裏切る事はご法度だと思え」

「ありがとう、パピー……」

 こうして、ジャスコ率いる『天空会』はハトバから出て行った。


「いい父親じゃないか」

「ご迷惑をかけてすみませんネ。桜子も、本当に悪かったアル」

 これに桜子は言った。

「ううん、気にしないで」

「そうだったアルね」

 すると、ソルトは気になっていた。

「? ソルトさん、どうしましたか?」

 セレナはソルトに尋ねる。

「いえ、何でもありません。ただ……、あの時、桜子さんの目。あれって、なにか同じ気持ちがあった感じがするという瞳でした」

「…………」

 しかし、それだけじゃなかった。

「確かにそれもそうですが、あのジャスコさんが言っていた厄介な謎の男、まさか……兄様じゃあないでしょうか?」

 エリーゼの実兄・オルグスの可能性もある。だが、もしかしたら別人かもしれない。相手は悪人には殺すだけで、不幸になった奴を復讐鬼にさせるという狂った正義主義者だった。オルグスじゃない可能性は高いだろう。


 そんな同刻にて……。

「これで、悪い奴は死んだ。次の依頼はどこになるのか、だな」

 その男は冷静に嘲笑うのだった。




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