中国からやって来た謎のマフィアが来ました
ある日の事、成田空港から一機の飛行機が降りて来たのだった。飛行機から降りて、成田空港の中に入ったところに、黒服の黒サングラスをかけた男が何人も待っていた。
「着いたか、よく待ってくれた」
「はい、ボス」
男は空港の中の辺りを見た。
「それにしても、人が多く、騒がしいところだ。日本とは騒がしい国だったとはな」
「混みが多すぎて、時間がかかりました。申し訳ありません」
「まぁよい。……ところで、見つかったのか?」
黒服は言った。
「はい。お嬢様を見つけることが出来ました。あの方は小樽市という町にいます」
「小樽市……、そこにいたのか」
「現在は、ある薬局店で働いているという噂があります」
「フン……、薬屋で働くとは、何を考えているのか……。まぁいい、行くぞ」
男は荷物を持って、移動した。
「はっ!」
黒服も彼について行く。
「…………ユン」
その頃、ハトバの方では―。
「いらっしゃいませアル~」
ユンがお客様に接客しながら、品出しをしていた。
「すみません、シャンプーを探しているのですが……」
「案内しますネ」
ユンの接客ぶりを見て、元春と義子は思った。
「あのユンという奴、ここに来ていつになったのか分かんないけど、流石に凄いな。接客どころか、品出しが素早く片付けるなんて、電光石火だな」
「まぁ、ああいう店員さんはあんまりいないけど、かなりの凄い人だからさ」
「なにしろ、彼女は中国からやって来た者だからな。しかも、桜子とは仲がいいらしい」
「それもそうかもね」
その時だった。
ガシャン!
「? 何だ今の音?」
行ってみると、桜子がこけていた。
「痛たたたた……」
「大丈夫か、久本?」
「店長、桐島さん……、すみません……」
するとそこへ―。
「大丈夫アルか?」
ユンが来た。
「大丈夫だよ、ありがとうユンちゃん」
「…………」
元春は最近思っていた。ユンは特に桜子に対して心配していた。
そして、休憩に入ったユン、桜子、ソルトの三人。
「気になっていたけど、ユンちゃんって中国から来たんだよね?」
「そうアルけど、どうしたネ?」
「日本に留学したのはいいけど、中国にいる家族は大丈夫なの?」
「…………」
ユンは沈黙していた。
「あ、いや……。そこまで責めるつもりは……」
「……いや、別にきにしてないアルよ。私がここに来て、何時経ったのか分からない。けど、日本は騒がしい国でも、いい国だから」
「ユンさん、もしかしてですが……、この町に来た理由って……?」
「それは……、黙秘するネ」
ユンにはきっと、色々何かあったんだろうと桜子は思った。
「…………悩みがあるなら、相談してもいいよ」
「桜子さん」
「私達、友達だから」
桜子の真剣なまなざしに、ユンは言う。
「ありがとうアル」
その頃、ゴミの分別の作業をしていた龍一は……。
「ええっと、これは……って、たばこの吸い殻があるやん……。誰かが、たばこのゴミ箱に入れずに道に捨てたな? ホンマにエチケットがないわ」
龍一がたばこの吸い殻をゴミ袋に入れたところ……。
「ん?」
そこにやって来たのは……。
「…………」
「!」
スキンヘッドにサングラスをかけた、まるで極道なヤクザの男が龍一の前にやって来た。さらに後ろには、黒服の男が何人もいた。
(ほげげ……!? な、なんやこの人たちは!? 極道のヤクザ!?)
男は言った。
「おい、ここにウチの娘ここにいるだろ?」
「む、娘さん? アンタらどちら様ですかいな?」
「ボスがお嬢様を捜して、ようやくここだと分かったんだ! あの方は薬屋の店で働いていると!」
「娘さんって、どこの方です?」
男は言った。
「わしらは中国から来た『天空会』というもんだ」
(中国から来た……って、まさか!)
「ここだけの話だが、あまりなめていると痛い目にあうぞ」
龍一は思った。中国から来た、極道、ガラ悪いボス、そして部下は黒服。
(もしかして、この人ら……マフィアかいなァァァァァァァァ!?)
とんでもないことに、ハトバに危機が迫ろうとした。
つづく