かつての後輩がやってきました
短編だった、『異世界から来た騎士団長が、現世にて薬局店で働いています』が連載版として、始まります。愉快な仲間仕事と共に、温かく見守ってほしいです。
―-かつて、一人の英雄がいた。ソルフィルスの世界にて、魔物を倒し、兵士に鼓舞をし、ついには魔物を討伐することができたという、女騎士団長『セレナ・ガーネット』。彼女は兵士や民からの人気があり、女神様だった。
だが、そんなある日のことだった。彼女は、謎の時空ホールに吸い込まれてしまった。彼女の行方は分からず、世界は不安を感じていたのだった。
セレナが行方不明になったのち、2ヶ月後……。
「セレナ団長は、まだ見つかりませんか?」
「申し訳ありません、未だに消息がつきません」
「そんな……」
セレナの後輩にあたるショートの銀髪した少女が、彼女を探していた。
「あの人がいなくなって、2ヶ月……。一体どこに……?」
その時、彼女は気配を感じていた。
「?何の音かしら?」
森の奥へと、行ってみると……。
「これは……?」
謎のホールがあった。彼女は触ってみたその時……。
「!?な……、吸い込まれる!?」
少女は、ホールに吸い込まれてしまう。
「きゃぁぁぁぁぁ!」
少女の叫びにて、兵士が来た。
「隊長!……、あれ?今、隊長の声がしたような……」
辺りを見回した兵士は、彼女を探したが見つからなかった。
そして、その頃……。現世では、ある薬局店があった。名前は『ハトバ』、そしてそこには、一人の青年の店長がいた。
「おはようございます、皆さん。本日は売上は絶好調状態です。この調子で頑張っていきましょう」
「はい!」
彼の名前は御子柴元春、若き店長であり、ハトバの店を背負っている。
そんな彼には、店員が5人もいた。
「今日はよろしくお願いしますぅ」
マイペースなおっとりとした彼女、久本桜子。
「今日は張り切っていくでぇ!」
関西出身の楽天家の男性、山城龍一。
「今回は薬の調整しないと」
実家が刃物屋でいつも日本刀を持っている薬剤師担当、倉木雪子。
「はぁ……、元気だな、こいつらは」
元ヤンの1児の母親である化粧品担当、桐島義子。
そして……。
「元春さん、今日も頑張りますので、よろしくお願いします!」
「あぁ。と、言っても大丈夫か?元の世界恋しいか?」
「大丈夫です、いつか元の世界が帰るところ見つけないと、いけませんし」
「そうだったな。今日も頑張ろうか、セレナさん」
「はい、元春さん!」
2ヶ月前、元春と出会った騎士団長、セレナ・ガーネット。彼女は、現世にて薬局店の店員として、働いていたのだった。
―あれは、2か月前のことだった。セレナはこの町、小樽市という町にて異世界からやってきたのだった。元春のところに拾われ、居候することになった。ハトバの店長就任になったばかりの彼は、彼女をハトバの店員として、一緒に働くことになった。
現在、この日にて、事件が起こった。
「ええっと、今日はこれがあって……」
桜子が荷物を見ていた時だった。
ガタッッという音がした。
「?何の音なんだろう?」
そこに、倉庫にいたのは……。
「いたた……、ここはどこなの?」
「?誰ですかぁ?」
桜子は、銀髪のショートの少女を見た。これに彼女は、桜子を見て……。
「!きゃぁぁぁぁぁ!」
と、叫んだ。
叫び声を聞いた、店員たちは桜子のほうへ行く。
「どうした?なにがあった?」
「大丈夫ですか、桜子さん!」
そこには、彼女が剣を抜いて、桜子に向けた。
「ここどこ!?あなたは誰よ!?」
「あ、あの~、それはこちらのセリフなんですが」
すると、セレナは彼女を見た。
「エリーゼさん?」
「!そこにいるのは、団長?もしかして、団長ですか!?」
「やっぱり、エリーゼさん!どうしてここに?」
エリーゼはセレナの顔を見て安心した。
「よかったです!セレナ団長が、生きていたなんて!本当に良かった……」
エリーゼは、泣いていた。
「ごめんなさい、心配してくれたのですね」
「2か月も探していたんですよ!一体何していたのですか?」
「何をしていたって、この人に……」
エリーゼは、元春をにらみつけた。
「!?」
「団長に何したのですか、あなたは?」
「してないよ!俺はあの時、セレナさんを拾って、居候しただけなんだよ!」
「本当ですか?」
これに元春は、セレナに尋ねる。
「セレナさん、この人誰ですか?」
「私の後輩にあたる、騎士団の一人、エリーゼ・ルドベキアです」
「はぁ……」
エリーゼは、元春に近づいた。
「そういう、あなたは誰ですか?」
「元春。御子柴元春だけど……?」
「団長を保護したことは感謝します。だけど、この2ヶ月間に団長を何したのですか?」
元春は言った。
「何もしていないよ、本当に保護しただけで」
「どうせもしかしたら、団長はすごく人気の女性で、何かやったんじゃないのですか?」
「だから何もしてないってば!」
「不埒なことをしたら、この剣で斬ります」
「誤解なことを言うのやめてくれる!?俺、こう見えて純粋な店長だけど!?」
これに、エリーゼは思った。
「店長?どういうことですか?というより、ここって……」
「ここは、セレナのところの世界じゃないよ。ここは現世、小樽市だ」
「げ、げげげ、現世ぇ!?」
エリーゼは驚いた。
「じゃ、じゃあ、私は別の世界からやってきたってことですか?」
「そうなるな」
これにエリーゼは、ショックを受けた。
「エリーゼさん、大丈夫ですか?」
「団長、早く元の世界に帰りましょう!でないと、皆が心配ですよ!」
「それができればいいのですか……」
「うぅ……」
これに、元春はどうするかだった。
「エリーゼとか言った?なら、ここにセレナさんがいるから、しばらくここで働くというのは……」
「します!団長がいるなら!」
「決断早っ!」
こうして、エリーゼも一緒に働くことになった。
そして、仕事が終わって帰る途中にて……。
「ええっと、エリーゼさんも一緒についていくんですね」
「当たり前です、団長と居候しているならば、私は団長を守らないと」
元春は、頭を抱えていた。
「すみません、元春さん。エリーゼさんは、真面目で……」
「いいよ、別に」
元春は思っていた。
(しかし、二人の女の子を連れてアパートで居候って、どこのハーレムなんだよ……。でも、またやっかいなことになりそうだなぁ)
しかし、このにぎやかな日常に波乱が待ち受けることは、元春はまだ知らなかった。