終わり悪けりゃ総て台無し
でも、バッドエンドの映画も好きです。
去りぎわの美しさを 渡り鳥に例えるのなら
おれはさながら
はいつくばって退場させられる 汚ねえ蛆蟲か
食いさがろうと しがみつこうにも
立てる爪なんてないよ
未練がましく たらたら したたる
粘着性の体液だけ
終わり良ければ総て良し なんてのは
出逢いのいざこざは ぜんぶチャラにすんのかよ
終わり悪けりゃ総て台無しじゃねえか
書き殴られたエンドロールに ダミ声の歌が乗る
散りぎわの置き台詞は 何文字以内におさめよう?
あれやこれやで
原稿用紙ひと束かかえこむ 冴えねえ死に顔か
成仏しろと ふりほどきたくば
ありったけの塩を撒け
怨念めいて ねばねば 糸引く
粘着質の精神へと
終わり良ければ総て良し だとすりゃあ
はじめのぐだつきも 笑い話ですんだらな
終わり悪けりゃ総て台無しだもんね
後味悪いバッドエンドに 口直しをひとつ くれ
短編の、バッドエンドの余韻がいいんですよ。
これが何作、何巻にもわたる長編だと。
結局、こんな終わりかよ!に、なっちゃうかもしれませんけどね。