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4部 入会!! ゴウ

「さて、どーこに逃げたかな?」


 眼前の相手は俺には気づいてねぇな......。


「こいつは......!」


 男のセリフに反応して一瞬だけ周りを見ると、その場に留まっていた煙が窓から一気に抜けていく。


 奇襲をかけるなら今しかねぇ!!


「くらい、やがれぇ!!」


 窓枠に乗っている男の鼻っ面、そこに渾身で右の拳を叩き込む!!


「ダラァァァ!!」


 まずは鼻先、そして直ぐに骨を殴りつけるはずだが、拳を振り切った時、拳に残ったのは鼻の柔らかい感触だけだった。


「なっ! なら......!」


 拳を振り切った勢いのまま一回転! 魔法ごと! 今度はつま先を叩き込む!!


 捉えた!! 勢いが有り余るほどの一撃は確かに相手に届いたッ!!


「くぁ、全身使った、いい蹴りだぜ」


 届いたが、止められた! 確かに渾身だったはずだ、身体の状態も悪くないし、ぶち込むまで失速もしなかったはずだ。


 それでも、片手一本で、それもあくび付きで!


「いいぜ、ガキにしちゃあ見込みがある」


 煙は完全に晴れ、相手の顔があらわになる。


 そこにあったのは、燃えるような朱色の髪、ツリ目に八重歯、見るからにヤンチャな男の顔だった......。




「......個性被ってんじゃねぇか」


「そりゃ、こっちのセリフだぜ......」


 それは相手からしても同じことだった。


 俺の生まれつきの赤い髪、人相が悪いと言われる細い目、そんでとりあえず殴る蹴るの攻撃手段。似ている......。


「......新入生、名前は?」


「ゴウだ、あんたは?」


 微妙な空気のせいで、殴る蹴るどころではなくなった俺たちはとりあえず自己紹介からすることになった。


「バンス・レイだぜ、武闘研究会長」


 隣に立ったレイは俺よりもギリギリ身長が低いくらいだった。それにしても武闘研究会......聞くだに物騒だな。


「アンタが会長? しんちょ――」


「それ、次から禁句だぜ?」


 高速で口を塞がれた、速い。気づいたら喋れなくなっていた。


「んじゃ入会試験だぜ」


「俺は入るなんて言ってねぇが?」


「入らねぇならボコす、そんで他のとこに身売りだな」


 なんつー物騒な考え方だよ、拒否権全くないじゃねぇか。


「つっても簡単にボコされるよーならウチにはいらないぜ?」


 要はちょっと耐えしのげばいいんだな......って何弱気になってんだか。


「オレに負けるようなら、アンタのとこはオレには見合わないってことだな!」


「へぇ......そんくらい言ってくれる方がいいぜ」


 ニヤりと八重歯を見せ、1歩、2歩下がって振り返った。


「今からゴウ、一発だけお前を殴る」


「その距離からか?」


 武闘研究会、殴る、レイのこの発言に嘘がないなら完全に間合いの外にいる。


 ただ、こっちの攻撃を全ていなし切った身のこなし。油断するわけがねぇ。


「死ぬなよ?」


「応とも」


 静かに腰を落としてみがまえるのに合わせて、こっちも半身になり構える。


 互いの目付きが変わる、空気が変わる。


 深く集中し、余計な雑音、無駄な情報を頭から排除していく。


「ふーっ......」


 息を吐く、吸う。目を閉じ、目を開く。




 言葉はいらない、互いの呼吸が合った時、来るッ!


「らァッ!!」



 疾い......驚きも、雄叫びも、言葉を紡ぐことすら間に合わず、次の瞬間には左の頬を打ち抜かれていた――――。




 ――――目を開けると、既に赤みがかった空が広がっていた。硬い床の上なのも合わせて、室内ではないんだろう。


「......何時間伸びてたんだ?」


「おう起きたか、3時間くらいだぜ」


 一呼吸おいて、ありきたりそうなセリフを口にしたと思ってから、声のした方を向いた。


「というかここどこだ?」


「屋上だぜ、来たこと無かったか?」


 それでこの大空か、納得した。それにしてもさっきの立ち会い。


「疾かった」


「そりゃそうだぜ、寝てたんだからよ」


 顔は大丈夫かと心配してくれる。レイは時間のことだと受け取ったようだ。


「そうじゃなくて、拳が」


「そうかい、ありがとよ」


 それにしても、見事にボコされたもんだ。不意打ちを仕掛けて仕留めきれず、正々堂々立ち会って一瞬で負けた。


「お前もよかったぜ、鼻を真っ直ぐ打ったつもりだったんだが少し躱された、それにお前は少したりとも引かなかったしな」


「引く余裕すらなかっただけだ」


「肉弾戦で引かないのは強みだぜ、その勇気を俺は知ってる」


 勝負に負けて、その後にこんなこと言われちゃあ完敗だ。



「武闘研究会だったけか? それ、俺も入れるか?」


「個性は被るが大歓迎だぜ、個性は被るがな」


 どんだけ気にすんだよ、髪色とか似てるだけで実力はよっぽどそっちが上なのに。


 起き上がってからレイに向き直す。


「格好よかった、アンタは今日から師匠だな。よろしく頼む」


「ハッ、こんな生意気な弟子は聞いたことがねぇぜ」


 はははっと声を揃えて笑う。ひとしきり笑いあった後でレイが立ち上がり1つ伸びをする。


「よし! 残ってるヤツら、ボコされたくねぇなら帰りな!」


 突然声を上げてどうしたのかと思ったが、チラホラと「解散かいさーん」と言う声が聞こえてくる。オレが再び自由になるのを待ってたようだ。


「この感じだともうちょい残ってんな、よしゴウ!」


「なんだ?」


「まだお前を狙ってるヤツらをブッ飛ばして、研究棟まで行くぜ」


 狙ってくるヤツらはそれなりの覚悟が出来てるから大丈夫だと言うがあの勢いの拳が飛ぶのはかなり心配だ。


「最初の仕事だぜ? 遅れんなよ?」


「やってやるさ」


 オレたち(ほとんどレイ)は残党をちぎっては投げ、屋上から地上まで一気に駆け下りた。


今回も読んでいただきありがとうございました! 次回も楽しみにしていただけるとありがたいです!



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