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14部 お嬢様はリトライする

 よし、読み通りだ......


 俺の読みは二つとも的中し、会長さんを捕まえることができた。


 読みの一つ目は会長さんの魔法をどうかわすか、二つ目は会長さんに近づいた後にどう戦えるのか。


「そこは、ダメにゃぁ......」


 セリフだけ聞けば俺がまずい事をしているようだが、実際は会長さんのしっぽ、獣人故についている器官を握りしめているだけだ。


 前世のニュースか何かで見た情報がまさか役立つとは......


 猫のしっぽには沢山の神経が通っているため、外部から圧力をかけると歩行障害などを引き起こすらしい。


 正直、これがこの世界で通じるとは思ってなかったけど。


『リリィ! 大丈夫ぞ!?』


 煙幕が晴れたことでジークも降りてきた。


「はい! ちゃんとできました! この通りバッチリです!」


『よかったけど、リリィ! 青い方どうするぞ!?』


 流石にルディさんを相手に2人だけで突破できているとは思えないがどうなってる?


『クソっ、煙が邪魔だな! 会長はどうなって?』


 ほぼ煙の発生源にいたルディさんの視界はまだ晴れていないようだけど、こっちの心配ができるってことはあまり良くないな。


「ルディさん! そこから一歩も動かないでくださいね!」


「何が起こったんですか! 会長!」


「つかまっちゃったにゃぁ......」


 視界が晴れて見えたルディさんの顔は隠しきれない驚愕の色が差し込んでいて、この状況の有り得なさを強調してくれている。


「全員が面接会場に着くまでその場から動かず、こちらに干渉しないでくださいね?」


「嫌だと言ったら? 君くらいなら三秒で無力化できると思うよ」


「一秒あれば頭を飛ばせますが?」


 言ったはいいけど、そんなことをする度胸もほんとに出来るかもわからない。


「受け入れられないのなら、今ここで消し飛ばしてもいいのですよ?」


 相手がどう出るか分からないが、こっちには時間がない。ここまできて時間切れで落とされるなんてことになったら恥ずかしい。


「......分かりました。こんなことしたのは貴女が初めてですよ......」


 所々で喜びの声や雄叫びが聞こえる、途中で帰った人を除けば全員が面接まで行ける事になった。



 ただ、問題は......


「ゴウ! ゴウ!! しっかりして!」


 赤髪のお兄さん(ゴウさんっていうのか)は綺麗に顎を横から打ち抜かれて完全にダウンしている。


 それとルディさんの足下で伸びているのがもう一人。作戦に誘った身としては見捨てるわけにもいかないけど......


「おや、成功したようですね」


「はぁっ!? 茶髪さん起きてるのですか?」


「名前があると先程も言いましたが?」


 あぁ......ウザい。気絶してると思ったからちょっと気遣ったのに、直々に気絶させてやろうかな。


「はいはい、起きてるならこのお方を運んで頂けます?」


「お断りします」


『はぁっ!? やっぱりコイツはクソ野郎ぞ!? 燃やすしかないぞ?!』


 見捨てて行こうとすれば燃やすのも考えたけど、言葉とは裏腹にこっちに近づいてくる。


「なにか、してくださるのですか?」


「運ぶのは嫌なので起こすだけです」


 そう言って気絶しているゴウさんに手を当てると、ゴウさんが薄く輝き出す。くすんでるけど、未熟なのか?


「これは......回復魔法?」


「ええ、厳密には少し異なりますけど、そんなもんです」


 すぐにゴウさんは目を覚まし、体を起き上がらせた。


「エン、試験はどうなった?」


「あ、このクラヴェリさんが......」


「まだ途中ですから、お話は後にして貰えますか?」


 赤髪のお姉さんの方の名前もゲット! みんな合格した暁には友達になりたいな。よく考えたらこの世界でまともな友達いないし......


「ではルディさん、会長さんはこのまま面接会場まで連れていきますので、不審な動きなどないように」


「ざざ、残念だけど、こっこのままだと、私も歩けないにゃ」


 発声まで影響がでるのか、しっぽかなり弱点じゃない?


「心配ないですよ会長さん! 浮かせますから!」


 まぁ、クロエさんでやった時は盛大に失敗したんだけどね。


『大丈夫ぞ?』


 ぐぐぐ、じわじわと会長さんを浮かせる。


「これ、浮いてますか?」


『リリィ! 今回は浮いてるぞ!!』


 よし、浮いてるのならこのまま持っていこう。


「はは、離してくれても襲っっったりしにゃいよ?」


「信用されると思ってるのですか?」


「いやいや、ほんとにゃ......」


 ぴくぴくしている瞼でウインクをしようとしているが、流石に離す訳にはいかない。かわいいけど。


 最後までルディさんから気を抜かず、ほぼ御一行のようになった俺たちは最終試験の面接会場まで向かった。

今回も読んでいただきありがとうございました! 次回も楽しみにしていただけるとありがたいです!

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