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13部 お嬢様は実行する!

「それは僕必要ですか?」


「一番大事だから!」


『一番大事ぞ? 本当に一番大事ぞ?? 我を差し置いても一番大事ぞ???』


 ウザい、しつこい、面倒くさい。仮説の説明だけでどうしてこんなにも心労が絶えないのか。


「最後に役割の確認をしようか」


『なんでこいつが仕切ってるぞ? やっぱり焼くぞ?』


 気には食わんよ、そこはジークに激しく同意するがこの際どうでもいい。焼くのは後だ。


「レパッセさんがルディさんを抑える。その間に私が会長さんをしばきまわします。仮説が正しければかなめはジークですからね!」


『まかせろぞ!』


 本命の仮説、たとえそれで魔法の無力化ができてもあの反射神経をどう攻略するか。


 圧倒的な戦力不足、大勢の援護があったとしてもルディさんを抑えるのもキツいはず。せめてあと二人......


「ジーク、ほぼ万全な人か、相手の虚をつける人を探してください!」


『そんなやつ、ほぼいないぞ......』


「じゃあなるべくでいいから!」


 渋々のジークに低空から探すように指示。いくら竜でも雷をくらったら無傷じゃ済まないだろうしな。


 一番驚くことってなんだ? (ゴキ)はビビるがさすがに再現は無理。


『いっ、しゅんで、いい......このネコミミに、一泡吹かせてぇなぁ......』


 いた! やる気も申し分ないし、作戦を伝える必要も無い! ただ会長さんを攻撃してくれれば十分だし、会長さんのマーク外だ!


『リリィ! いたぞ』


「誰です?!」


 ジークが乗っているのは火柱を立てた赤髪のお姉さんだ、アワアワしてる、かわいい。


 速攻で人をかき分けジークのとこに向かう。アワアワしているお姉さんからジークを剥ぎ取る。どうにか協力してもらいたいが......


「一か八か作戦があるのですけど、協力してもらっても?」


「くくく、クラヴェリさん?! は、はぃぃぃ!」


「落ち着いてください! いいですか?」


 名のある貴族ってめんどくせぇぇ! ヘイトは買うし、萎縮しちゃうし!


「......はい、私なんかが何をすれば」


「なんかとか言わない! 説明しますよ?」


「分かりました......」


 何とか落ち着いてくれたか、自己肯定感薄いような気もするけど協力してくれそうで助かった!


「いいですか? 残り五分になれば絶対会長さんはお知らせしてくれます、その時にフル火力をルディさんにぶつけてください」


「あの、その、会長さんじゃなくていいんですか? その、どう見ても会長さんの方が強そうというか、その、はい......」


「ごもっともですが、会長さんはなんとかします」


「なんとか......」

『あ、手柄とか欲しいですよね......』


 うーん、あらぬ誤解を招いてしまったようだけど、納得してくれるならそれでもいいけど。




 少しして、気絶したはずの赤髪お兄さんをずーっとつんつんしていた会長さんの手が止まる。


「あと五分だけど、もうやる価値にゃいんじゃっ!」


 会長さんが残り時間の宣告をすると同時に、俺とレパッセでそれぞれに突っ込む。いきなりの敵の出現にセリフの途中で驚きを隠せなくなる会長さん。


「認めるのは勇気だけにゃ!」


 咄嗟の雷撃だったが、二人には当たることなくほぼ真上に進路を変える。


『にゃッ!!』


 濁点の着いたような心の叫びとともに会長さんの顔が強ばる、仮説は見事にハマり魔法の無力化に成功!

 今回の立役者はジークだな、だが焦げたか焼けたか見る余裕はない。


「今ですっ!」


 例え遠距離攻撃の魔法を抑えても、殴り合って勝てる相手ではない。そのための攻撃手段の用意は決して怠らなかったが。


「おらぁぁぁッ!!」


 会長さんからすれば、足下お兄さんからの完全に予想外からの蹴り。低く速く、しかし会長さんはこれを回避、寝ているお兄さんに掌底を叩き込もうとする。


 空中に浮いた会長さんの体、そこに飛びつき手を伸ばす。社会人になってからはそこまで運動してこなかったけれど、この体なら充分に動ける!


 お姉さんの火球とルディさんの魔法がぶつかり煙が広がる。煙が視界を遮る直前、掌のなかに目当ての物の感触を感じて強く握った。


 煙幕が晴れて目の前にいるのは、座り込んだ会長さん。

 

 手には未だにお目当てのブツをしっかりと握れている。


「ひとまず、成功だな......」


 しかし、会長さんの掌はしっかりとお兄さんのあごを打ち抜いていた。

今回も読んでいただきありがとうございました! 次回も楽しみにしていただけるとありがたいです!

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