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テイマーリュカリュカちゃんの冒険日記  作者: 京 高
第三十八章 迷宮攻略中

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595/933

595 隠された?

 手分けして迷宮のコアを探しは決めたボクたちだったが、見つかるのは破壊された床材の破片ばかりで、コアはおろか安置――ふわふわ浮かんでいたけれど――されていた台座の痕跡すら見つけることができずにいた。


「うーん……。ここまできれいさっぱり見つからないっていうのは、いくら何でもちょっと変じゃないかな?」


 部屋の中央には直径三メートル以上で深さも一メートル近いクレーターができており、その破壊の大きさを物語っていた。が、逆に言えばそれだけであり、それなりの傷はあれども壁や天井が壊れて崩落してしまうような事はない。

 つまり、台座やコアが瓦礫で埋まってしまうような事は起きていないのだ。


「もしや、あの爆発に巻き込まれてコアも壊れてしまったのではありませんの?」

「いいえ。それならば未だに迷宮が形を保ったままである説明がつかなくなりまず」


 ミルファの抱いた疑問は、すぐにネイトによって否定されていた。

 コアの破壊、より正確に言えば迷宮とコアとの繋がりが絶たれた場合ということらしいのだけれど、そうなった際、割とすぐに消滅までのカウントダウンが迷宮内に流れるようになっているそうだ。


 ボクたちが地下十階と十一階を繋ぐ階段の途中で爆発の衝撃から立ち直るまでに数分、さらにコアの探索を始めてからも十数分と、合計すれば二十分以上が経過している。

 既にコアが壊れてしまっていたとすれば、何らかの動きがなくてはいけない頃合いだと思う。


 ただし、これらはあくまでも『笑顔』でダンジョンマスターの職に就いた人たちの話によるもので、『OAW』でも同様の措置が取られるのかどうかはまだ確認が取れていない、ということも頭の片隅にはおいておくべきだろうね。

 要するに、いきなり迷宮が崩壊するかもしれない訳で、いざという時にはすぐに逃げ出せるようコアの探索と並行して脱出経路も確認しておく方が良さそうだ。


「ネイトの言うことももっともだけど、消滅が始まった時に慌てなくてもすむように、脱出方法も探しておいた方がいいかもね」


 みんなにそう伝えて探索を再開したのだが……。


「見つからない……」


 いや、片方の転移の魔法陣はすぐに見つかったのだけれどね。例の爆発の影響か、陣の半分ほどが抉れてしまっていて、完全に機能停止状態となっていたのだった。

 まあ、これに関しては地下十階の転移魔法陣を使用すればいいだけなので、それほど困ったことではなかったりします。


 問題なのは、迷宮のコアが全然まったく欠片の一つも見当たらないということだ。


「絶対におかしいよ!(トラップ)とかが作動していると主張します!」

「幻か何かで隠蔽されている?それとも隠し部屋にでも仕舞い込まれたのでしょうか?」


 苛立ちを発散させるべく叫ぶボクに対して、ネイトは淡々と予想を口にしていた。

 それを真に受けたミルファとエッ君が、さっそくとばかりに近くの壁をペタペタと触っている。

 うん。行動が早くて何よりだね。ただ、それこそ本当に性質の悪い罠が仕掛けられているかもしれないから、不用意にあちこち触れ回るのは止めて。

 幸か不幸か隠し部屋の扉が開くこともなければ、壁が倒れてくると言った罠が作動することもなく、二人の調査は何も見つけることができないまま保留となったのだった。


「何もありませんわね」

「あー、うん。まあ、その一角はそうみたいだね」


 ミルファとエッ君がしらみつぶしに調べて回った範囲は、この階層全体の一割にも満たないので、ボクとしては苦笑しながらそう返事をするより他なかった。


「あの、つい言いそびれてしまっていたのですが、隠蔽(いんぺい)を解くためには特別なアイテムが必要だったり、特定の手順を踏んだりしなくてはいけないこともあるそうなので、単純に調べるだけでは不完全だというケースもままあるそうです」

「そうなんですの!?」

「そうなんです。ごめんなさい、やる気になっているところに水を差すのも悪いかと思って、話すのが遅れてしまいました」


 今さらの説明に、ガビーン!とショックを受けるミルファとエッ君。その気持ちはよく分かります。どうせならもっと早く言って欲しかったことだろう。

 だけど反対に、ネイトの言い訳の方も理解できちゃうのだよね……。なにせ二人とも「ちょっと待って」と割って入る隙間すらないほどの勢いで調査を行っていたから。

 ボクだって「これは本当に何か見つけてくれるかも!?」という他力本願な期待を、全くしていなかったと言えば嘘になる。


「はいはい、そこまで!すぐに説明をしなかったネイトも失敗だったけど、詳しい話を訪ねようとしなかったミルファたちにも落ち度はあるよ。という訳で、次からはお互いに気を付けてね」


 それぞれ足りない部分があったということで、こじれてしまわない内に多少強引にでも「今後の糧にしよう!」といういい話っぽい方向へと持っていって手打ちにしてしまう。

 うちの子たちだけなら「ごめんなさい」をして終わりになるのだけれど、さすがにお年頃の女の子であるミルファとネイトにそれをさせるのは、ね。


「それにしても、ネイトが言ったようにアイテムや手順が必要だとすると、ボクたちにはお手上げってことになっちゃうよね……」


 クリアするためのヒントは大抵迷宮内のどこかに隠されているものなのだけれど、ボクたちはエルフたちの攻略情報を頼りにそれらを全部すっ飛ばしてきてしまった、かもしれないのだ。

 しかしだからと言って、今さら地下一階から探索のやり直しというのは……。正直に言ってやる気やモチベーションが保てる気がしないです。

 それはみんなも同じだったのか、それぞれ顔を見合わせてはげんなり表情となっていた。


「あれ?リーヴがいない?」


 そんなパーティーメンバーが一人足りていないことに気が付く。

 ぐるりと周囲を見回してみれば、さりげなくもギンギラギンの鎧姿が床に屈みこんでいるのが見えた。疑似ダンジョンマスターが自爆したことでできた大穴を覗き込んでいるようだ。


 どうしたのかと問いかけるよりも先に手招きをされたので、近付いてすり鉢状の穴を覗き込んでみる。


「下半分は土っぽいね。もしかすると迷宮の管轄範囲を越えちゃってる?」


 迷宮というのは一種の異界であり、その外壁や管轄範囲を突破するのは尋常ではない力が必要になってくるのだとか。

 穴を掘って地下十階にショートカット!なんてされたら困るものね。当然の処置だと思う。

 その外壁――床部分だけれど――を突破しているのだ。もしも巻き込まれていたら、ボクたちなんて形も残らず粉々になっていたかもしれない。


 そんな恐ろしい想像に身を震わせていると、隣のリーヴが片手を伸ばして何かを指さしていた。

 それはすり鉢状になっている大穴の一番下で、半ば土砂に埋もれながらも鈍く光を放ち続けていた。


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