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テイマーリュカリュカちゃんの冒険日記  作者: 京 高
第三十八章 迷宮攻略中

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592 自分たちで調べよう

 みんなと話し合った末、接近するよりも先に、台座の上にふわふわ浮かぶ球体と部屋の中央で不審な動作を続けている人型の〔鑑定〕を行うことになった。

 こちらの存在がバレてしまうリスクはあるけれど、少しでも情報を得ておくべきだということになったのだった。


「初見の迷宮を一日で地下十階まで攻略できたのも、『聖域』のエルフたちの攻略情報のお陰だったものね」


 まあ、脇道や寄り道を一切しなかったということも大きく影響したのだろうけれど、それだって詳しい情報がなくては、いつの間にか迷い込んでしまっていたかもしれないからねえ。

 迷宮の攻略しかり魔物の討伐しかり、事前にどれだけの詳しい情報を得ることができるかによって難易度は大きく変わることになる、と身を持って体験したという訳だ。


 付け加えるならば、そうやって与えられた情報に頼りきりになっていたことへの反省の意味合いも込められていた。


「手に入れた情報を検証しようとすることなく鵜呑みにするというのは、とても危険なことです。途中でエルーニの同行というイレギュラーな出来事があったからにしても、もう少し慎重に行動するべきだったと思います」


 自戒を込めたネイトの言葉通りで、幸いにも迷宮の構造に一切の変化がなかったから良かったものの、もしもエルフたちの攻略情報との間に違いがあったならば、その時点で詰んでいたかもしれないのだ。

 そうした反省の上に立ち、初心に戻って自分たちでもちゃんと情報を集めようということになったのだった。


「それではやるよ」


 みんなが頷いたのを見届けてから対象へと向き直る。まずは敵対して戦う可能性のある人型からだ。


「〔鑑定〕!」


 最近では熟練度が足りないため、効果が出なかったり極一部の情報しか見ることができなかったりということも多かっただけに、ずらずらと視界に表示された文字に少しばかり驚いてしまう。


「えーと……、『疑似ダンジョンマスター』?」


 そして最初の名前の段階から突っ込みどころが満載とか止めて欲しいのだけれど……。


「疑似?偽物ということですの?」

「種族がゴーレムとなっているから、人為的にダンジョンマスターの権能を持たせた存在、ということじゃないかな」


 ただし、わざわざ疑似と付けている以上、その能力には何らかの制限が加えられているような気がする。


「例えば、迷宮を拡張する能力に制限があったとすればどうかな?ほら、その昔にエルフたちが攻略した状態から変化していない理由になるよ」


 『OAW』世界における迷宮は、時間が経過することによって成長するというのが通説だ。だから長年変化がなく、碌な素材を採ることができないと放置されてきたこの迷宮は、実はかなり異質な存在ということになるのよね。


 とはいえ、あくまでもそういう可能性があるという一例として挙げただけだから、この推理が大正解だとは思っていないのだけれど。

 ……思っていなかったのになあ。


「面白い仮説だとは思いますが、そんなことをする意味がありまして?」

「普通ならないけど……。あ!でも、この迷宮って緋晶玉が発掘できるよね!元々そのために迷宮を作ったのだとしたら?」


 最初は緋晶玉が採掘できる迷宮だから、『大陸統一国家』時代に目を付けられたのではないか?と考えていたのだが、そもそもこの迷宮自体が連中によって作られたのだとすれば、ゴーレムが疑似ダンジョンマスターとなっていることも含めて、一応は話の筋が通るのではないだろうか。

 まあ、自分でも強引な理屈だとは思うけれどね。


「地下一階に緋晶玉を生み出すだけの能力以上は必要ないから、他の迷宮に比べて利が少なくなっていたんじゃないかな」


 外部と同程度な価値の素材しか獲得できないとなれば、わざわざ苦労して迷宮に潜る理由はない。

 現状のみで言えば、地下七階層以降までいけばそれなりの素材を得ることはできると思うが、苦労や危険性、さらには費用対効果を考えるとやっぱり微妙かもしれないね。

 逆に、緋晶玉の精製には大量の力が必要で、そのため他の部分には手を入れられなかった、とも考えられる。

 例えどちらであろうとも結果は変わらないので、どうでもいいと言えばどうでもいいことなのだけれど。


「地下九階のスケルトン軍団がやけに面倒だったり、地下十階のキメラが異様に強かったりしたのは、その二階層で迷宮の守りを一手に引き受けていたから、なのかも」


 一部に願望が入っていることは否定しません。

 だってですよ!以前にも軽く説明したけれど、キメラは中ボス的な立ち位置でそれなりに出番が多い魔物なのだ。そのどれもが地下十階で戦った個体並みに強いというのは、正直悪夢だと思う。

 だからきっと、あいつは特に強い設定だったのだ。


 え?ボクたちのレベルが低すぎただけだと考察していたのではないか?

 ……そんな過去は記憶にございませんね。


 うおっと!?現実逃避をしている場合ではなかったのでした。対キメラ戦のせいで時間が押してきているのだ。いつまでも暢気にはしていられない。


「何となく予想はつくけど、奥にある球体も〔鑑定〕しておく?」


 まず間違いなく(コア)だろうね。迷宮を作るのに絶対に必要だとされているそうで、『笑顔』の場合、どうにかしてこの迷宮のコアを手に入れることが、プレイヤーが<ダンジョンマスター>の職業に就くための第一歩となるらしいです。


 ちなみに、その方法で一番多いのが、定期的に追加される迷宮を攻略して、コアを奪うことなのだとか。

 コアが奪われた――破壊されたりしても同様で――迷宮は消滅してしまうので、レベルアップさせやすい狩場となっている所や、レアアイテムを拾いやすい所などは、コアの置かれている最下層に入ることすら厳禁となっているそうだ。


「今さら偽物ということもないだろうとは思いますが」

「ですが、罠の可能性が捨てきれない以上は、やはり調べてみるべきですわ」

「うん。そうだね」


 ここまできて油断してやられました、というのは情けなさ過ぎるもの。


「うん。やっぱりコアでした」


 想像通り結果にホッと息を吐く。キメラの自動解体ができなかったり、不審な人型がいたりと想定外のことが続いていたから、みんな心のどこかでは緊張をし続けていたようだ。


 だが、油断をするにはまだ早過ぎた。

 まさか自身への〔鑑定〕には無反応だった人型が、いきなりはっきりしっかりした動きでこちらへと頭部を向けてきたのだから。


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