表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
テイマーリュカリュカちゃんの冒険日記  作者: 京 高
第三十八章 迷宮攻略中

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

591/933

591 不審人型は強いかもしれない

 今日日(きょうび)、不審者でもそこまで不審な行動をとりはしないだろうという動きをしている謎の人型から距離を取るべく、我に返ったボクたちはササッと部屋の隅の方へと移動した。

いや、アレに積極的に絡んでいくというのは、勇敢というよりも無謀と称されるものだと思うのよね。


「というか、むしろあんな怪しい物体には近寄りたくないです」


 小声だが、みんなに向かってはっきりしっかりと意見を述べる。ボクの気持ちや考えが無視されるようなことはあり得ないのだけれど、そこはそれ、意思の疎通はちゃんと行っておくべきなのだ。

 言葉なしでも分かり合えるツーカーの仲になるには、ボクたちが共に過ごしてきた時間は短すぎる。一方で、内容の濃さでという点では、相当濃密なものだと言えそうだが。


 しかしだからこそ、それぞれがお互いに対して「きっとこういう考えなのだろう」とか「こうするに違いない」といった一方的な人物像を持ってしまっている可能性もある。

 こういうことは得てして大きな勘違いだったりすれ違いの原因だったりするもの、というのがリアルは元より物語等々でも定番だからね。

 そうした齟齬をなくして、緊急時などのいざという時に適切な動きが取れるように、日頃から話し合いや意見の主張をしておくことは大切になってくるのです。


 中学時代の里っちゃんが生徒会長として高く評価されていた要因の一つに、会議の時だけでなく日頃の雑談などでも、生徒会メンバーや色々な委員会の役員たちに、自分の気持ちや考えをどんどんと口に出させていたことが挙げられるのは間違いないと思う。

 何度もそうやって細やかな意思の疎通を行うことによって、文化祭や体育祭と言った学校行事の本番でもスムーズに進めることができていた、という訳だ。


 話を戻そうか。そうした考えのもと、まずはボクからズバッと思ったことを言わせてもらったのだが、


「まったくもって同感ですわね」

「ええ。リュカリュカの意見を全面的に支持します」


 話し合いをするまでもなく意見の一致を得たのだった。さらにミルファとネイトの言葉に続くと言わんばかりに、うちの子たちのコクコクと首を縦に振っている。


 それもそうか。見るからにおかしい謎めいた存在に、すき好んで近付こうとする人なんて基本的にはいないわよね。

 絶対にいないと断定しなかったのは、そうした普通(・・)からわざと逸脱(・・)する人たちが世の中に一定以上はいるからだ。


 ああ、一言で逸脱と言っても悪い意味ばかりではないよ。新発見をもたらすような人や突飛な才能を持つ人には、多かれ少なかれそうした気質が備わっているはずだからね。

 ただ単に世間に反抗しているだけというか、自分一人の益を延々と主張しているだけというのは論外だけれど。


 あらら、いけない。またしても話が脱線してきている。

 キメラを無事に倒すことができたからなのか、自分で思っていた以上に気が緩んでしまっているのかな?まだ迷宮を完全攻略できたわけでもないのだから、気持ちを引き締め直さないと。


「みんな同じ意見みたいだから、あれに近寄らないことを第一に行動するとして……。問題はあれを無視して奥にまで進めるのか?ってことだよね」


 見回した限り、そしてミニマップに表示されている限り、この部屋には次の階層に向かうための階段らしきものは見当たらなかった。

 それどころか地下二階以降には必ずあった、入口への転移用魔法陣すらない。

 そのため「なにかがある」と思えるものは、不審者以上に不審な動きをしている人型を除けば、奥にある台座アンドその上にふわふわと浮かぶ球体くらいしか存在していなかったのだった。

 まあ、部屋全体に施されている文様も怪しいと言えば怪しいのだけれど。


「壁際を伝って行けばあれから距離を取ることは十分に可能だとは思われますが、あの球体や台座に近付くことで、わたしたちのことを問答無用で察知される可能性は十分にあると思います」


 ネイトの言葉に神妙に頷くボクたち。

 だってあの球体、明らかにこの部屋もしくは迷宮全体の攻略の鍵となっていそうだもの。

 そうだと仮定するならば、あの不審者人型は守護者(ガーディアン)である可能性が高い。最悪、キメラを越える迷宮最強の存在であるかもしれないのだ。


 ちなみに、人影と球体共に〔鑑定〕はまだ使用していない。これは別に忘れていたという訳ではなく、下手に技能を使用することでボクたちがここにいることに気が付かれないようにするためだ。

 リシウさんの部下の人たちやエルーニなど、ここのところ〔鑑定〕を使用すらさせてもらえない相手に連続して遭遇してしまっているから、万が一に備えて控えていたのだ。


 まあ、キメラ戦の時には本当にど忘れしていたのだけれどね。

 それどころかあの遺骸に使用していれば、罠だったのかそれとも仕掛けだったかどうかを見破ることができていたのかもしれない。

 もしも熟練度が低くてそこまできちんとしたことが分からなくても、せめて無害かどうかくらいは知ることができたのではないか。

 そう思えてしまい、ただいま大絶賛落ち込み中であります。


「リュカリュカ、今さらのことを今さら考えてもどうにもなりませんわ。それよりもこれからのことに目をお向けなさい」


 ミルファの言うことは正しい。真っ当な正論だ。が、それで納得できるかといえば、それはまた別となる。

 時には正論だからこそ反発したくなるものなのです。

 特にボクたちくらいの年齢はまだまだ思春期真っ只中の難しいお年頃。時には衝動的に常識や正義に逆らってみたくなることだってあるものなのさ、べいべー。


 でも、似非ロックンローラーなことを言っていられる場合ではない、というのも確かなのよね。

 凹んでいては、ネガティブな状態では普段できていることだってできなくなってしまう。せっかくキメラを倒すという、昔々のエルフたちでもやらなかった(・・・・・・)偉業?を達成したのだ。それをやり直す(リセット)する羽目になる事態に陥るようなことは絶対に避けるべきだわね。


「ふわぁーい」


 という訳で、最後に不満と未練たらたらであるような調子で返事をしてから、気持ちを一新させる。


 さて、バレるのを覚悟で〔鑑定〕を使用してみるか、それとも浮かぶ球体に接近することを優先するべきか。この場合はどちらが正解なのかな?


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ