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テイマーリュカリュカちゃんの冒険日記  作者: 京 高
第三十七章 迷宮と迷宮前集落

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566 心配の種は尽きないもので

 ボクの得物である二振りのグロウアームズはどちらも、レベルアップ前の攻撃力は五だった。

 が、レベルアップ後は牙龍槌杖が十六、龍爪剣斧に至っては十九と、四倍近い数値にまで跳ね上がっていたのだった。


 おっと、これだけだと牙龍槌杖の方の成長度合いが低いように思われるかもしれないね。実際はそうではなく、攻撃力に加えて防御力が一から二へ、魔法力は一から三へと上昇していた。

 まあ、龍爪剣斧の方も新たに防御力、魔法力が共に一ポイントずつ増えていたのだけれど。


 ちなみに、先日スホシ村で熊おじさんに製作してもらったミルファの宵月の双爪剣、この二本のうち長剣の攻撃力が九で、同じく改良を施してもらったネイトの双珠のワンドの魔法力が五となります。

 比較してみると、現時点においてレベル二となったグロウアームズの性能がいかに反則じみているのかが分かってもらえることと思う。


「これって、本来ならどれくらいのレベルの適正装備に当たるんでしょうか?」

「そうだな……。『OAW(こっち)』だと個人差があり過ぎるからなんとも言えないが、『笑顔(あっち)』だと大体レベル三十代半ばの装備ってところか。装備の能力値制限があるから、どんなに早くても三十レベルは超えるだろうな」


 おーう……。今のボクよりも十レベル以上も上ですか……。


「もしかして、『テイマーちゃん』も能力値制限に引っ掛かっちゃったの!?」

「そこはまあ、専用装備っていうことなのか、問題なく装備できるみたいです。いや、装備できるから問題アリなのかな」

「うん?装備できるならいいんじゃないの?」

「ケイミー、少しは頭を使いなさいな。適正レベルが十以上離れた武器を使うことになるのよ。下手をすればゲームバランスが崩壊してしまうわ」


 そう。シュクトウさんのその指摘こそボクが危惧しているものだった。


「もっと正確に言うなら、ゲームバランスの崩壊が起きないように本当はいなかったはずの強い魔物や敵が配置されることですね」


 プレイヤーの中には、ほんの少しのミスが敗北や死に繋がるようなギリギリの戦い、ひりつくような戦場の感覚を求めている人もいるだろう。そのことについてどうこう言うつもりは毛頭ないのだけれど、ボク個人としてはそこまでを追い求めてはいない。

 よって、強い武器を手に入れてしまったために、それに対応するように強力な魔物が登場するようなことがあっては困るのだ。


「それこそ、グロウアームズ以外の武具は全て二十レベル相応の物でしかないんですから」


 加えて、エッ君を始めうちの子たちのレベルはその二十にすら到達していない。それぞれが物語の主人公を張れるような一風変わった技能持ちとはいえ、レベルの差、能力値の差は無視できるようなものではないだろう。


「私としては本編の方以上に他のプレイヤーの反応が気になるところね。勇者様プレイのように最初から特殊なプレイスタイルで物語を始めたのであればそうでもないけど、『テイマーちゃん』は違うわ。しかもスミスたち鍛冶師のプレイヤーたちが一枚噛んでいるとなると、羨むのを通り越して贔屓されていると思い込む面倒臭いやつも出てくるんじゃないかしら」


 出てくるというか、既に今までも似たような人たちはいたのだけれどね。

 ただ、シュクトウさんが言うには、これまで以上にその物言いが激しくなってしまい、その勢いに呑み込まれるように同調してしまう連中も増加してしまう可能性がありそうなのだとか。


「そこは俺たちが全面に出て牽制をするつもりだ。「同じ物が欲しいのなら作ってやるから材料を用意しろ」ってな。だだし、使用した素材や経緯については公表する必要が出てくることになるが……」

「そのくらいなら問題ないです。多分、『冒険日記』の方にも書くことになると思いますし」


 スミスさんには申し訳ないけれど、彼がボクこと『テイマーちゃん』とフレンドになっていることは、既に多くのプレイヤーに知られてしまっている。さらに牙龍槌杖の製作の際にもたくさんの鍛冶師プレイヤーが関わっていることも『冒険日記』に記述していた。

 そのため彼らが前に出て批判を食い止めてくれるのであれば、できる限りの協力はするべきだろうね。


「鍛冶師の人たちが前に出るなら、何とかなるかな。あ、でも、今回と同等の物を作ることなんてできるの?スミスたちの腕を疑っているっている訳じゃなくて、素材とかを用意できるのかっていう意味ね」


 ふと思いついたのだろう疑問をケイミーさんが問いかける。

 それは確かに気にかかるところだね。スミスさんたちの話によれば、ミーティアライトもムーンストーンも最近になってようやく手に入るようになってきた最新の素材だ。

 そしてボクの情報収集能力が低いということもあるのだろうが、龍爪剣斧と牙龍槌杖以外にグロウアームズを作ることができたという話を耳にしたことがなかった。

 同等の物を作る以前に、元となるものがなければ手も足も出せないのではないだろうか?


「持ち主たちの意向もあって秘密にしていたんだが、俺たちは既に複数本のグロウアームズの製作に成功しているんだ」


 驚きの新事実が!

 でも、隠しておきたいという気持ちは分かるよ。ボクの時も結構な騒ぎになっていたらしいからね。運営やフレンドの皆から守ってもらっていてそれだったのだから、そうした後ろ盾も何もない状態であれば、事実を隠す以外に採れる方法はなかったのではないかな。


「で、いざという時にはそいつらにも協力してもらうことになっているから、こちらの方は任せてくれ」

「その人たちまで巻き込んじゃうみたいで申し訳ないなあ……」

「それは気にし過ぎってものだぜ。俺たちとしても、せっかく作った武具が日の目を見ずにいるっていうのは思うところがあったし、あいつらだっていつまでも隠し通せると思っていた訳じゃないからな。これを機会に、本格的にグロウアームズの製作に取り組むのも悪くはないと思ってる」


 結局その言葉が決め手となり、プレイヤーへの対策はスミスさんたち鍛冶師の皆さんにお任せすることになったのだった。


 そしてもう一方の本編内の展開だが、アウラロウラさんを通して運営の上層部との話し合いの結果、ゲームバランスの調整は慎重に様子を見ながら行っていく、ということになったのだった。

 これなら少なくとも、逃げるかどうかの判断をする暇もなくパーティーが壊滅する、なんてことにはならないのではないかな。


〇びふぉー

龍爪剣斧(レベル1)…攻撃力 5、防御力 0、魔法力 0、 耐久値 150

牙龍槌杖(レベル1)…攻撃力 5、防御力 1、魔法力 1、 耐久値 150


〇あふたー

龍爪剣斧(レベル2)…攻撃力 19、防御力 1、魔法力 1、 耐久値 200

牙龍槌杖(レベル2)…攻撃力 16、防御力 2、魔法力 3、 耐久値 200



〇比較対象

宵月の双剣(長剣)…攻撃力 9、防御力 0、魔法力 0、 耐久値 200

宵月の双剣(短剣)…攻撃力 6、防御力 3、魔法力 0、 耐久値 200


双珠のワンド…攻撃力 1、防御力 0、魔法力 5、 耐久値 200

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