563 ガチャチャレンジ 二~五回目
一回目からレアアイテム、しかもグロウアームズのレベルアップにもってこいの物が取れたことから、
「間違いなくビッグウェーブがきているわね!これはもう、乗るしかないわよ!」
と言うシュクトウさんに急かれるようにして残りのガチャを回し始めた。
ところで、彼女がどこかやけっぱちな雰囲気だったのはなぜでせうかね?
二回目。
テッテレー♪
「やっぱりか!そんな気はしていたがな!」
「ミスリルアックス……。リーヴなら使えなくはないだろうけど、あの子の技能は剣だからやっぱり外れかなあ」
体格面だけで言えばトレアも候補に入るが、あの子の内に潜んでいるかもしれない蛮族の本能を目覚めさせたくはないので却下です。
「いや、『テイマーちゃん』ちょっと待って。それって斧使いのプレイヤーたちからすれば垂涎ものの一品だから。持っているのを見かけたら「コロコロしてでも奪い取る!」なんて物騒な台詞を呟いちゃうくらいだから」
三回目。
「回復薬セット……。これはもしやボクに対する挑戦かな?」
「そういえば『テイマーちゃん』は〔調薬〕の技能を持っていたんだったな。だがそれは、本職の薬師連中でも製作できるかどうかっていうレベルの物だぞ」
「HPやMPの液状薬は割合回復だから私たちにはまだまだ宝の持ち腐れ感が強いけれど、毒や麻痺、眠りに目潰し、果ては疲労に至るまで全ての身体系状態異常に効果のある身体版万能薬は保険として常備しておきたいものよね」
〔回復魔法〕の【キュア】でも代用は可能だけれど、誰もかれもが使えるものではない。それに技能熟練度が低いと、完治できない場合もあるらしい。
「これを作れるようになることも、目標の一つってことになりそう」
「うちのお店で置いてあげるから、作れるようになったら言ってちょうだいね」
四回目。
「ポケットティッシュね。ようやく馴染みのある物が出てきて安心したわ」
「おい、不謹慎だぞ。売り方次第では大金になる可能性もあるとはいえ、一応は外れ枠扱いなんだからな」
今のシュクトウさんの一言は、受け取る人によっては馬鹿にされていると思われかねない台詞だったようです。もちろん、ボクは気にしませんがね。
それよりも、
「なにゆえカレーの写真が?」
裏側に差し込まれていた台紙には、リアルの某有名チェーン店のロゴと主力商品のカレーが印刷されていた。
「タイアップしている企業や協賛している会社の広告なのよ、それ」
「ものによっては『OAW』にしか存在しないものもあって、嘘か本当か、コレクターの間では高値で取引されることもあるって話だ」
五回目。
テッテレー♪
「…………」
「前回、前々回とまともだったから油断した。最後の最後でこんな隠し玉を仕込んでくるとは……」
「火属性の大規模強力魔法【フレア】が封じ込められた杖、ね。……あれ?これ攻撃力も魔力も設定されていない?……ははーん。装備品の杖じゃなくて、杖型のマジックアイテムということなのね」
加えて結構制約とかが多くてですね。はっきり言って扱い難そう。
使い辛い一番の問題は、一度使用するとゲーム内時間で丸一日のクールタイムが発生してしまうことかな。常に最大出力で威力の調節ができないのも大きな欠点だ。
極めつけはこちら、使用時に所有者の最大MPの半分を固定で奪われてしまうのだ。
それなら元々MPの少ない<ファイター>などに使わせればいいと思うだろうが、消費MPが少ないと魔法の発動自体が行われない、つまりMPを吸われ損になって――そして当然のように使用した扱いになって、クールタイムが発生する――しまうのだった。
「うーん、最後の奥の手として使える?……いや、やっぱり使えない気がする」
だって、いざという時のためにMPを温存しておかなくてはいけないということになるのだから。強敵を相手にしている時に、そんなことまで考えていられますかという話だ。
だとすれば戦いが始まった直後、先制気味に撃ち込むのが一番かな?
でもそれ以前に、大規模強力魔法を使用しなくてはいけないくらいの大群と戦わなくてはいけない、なんてこと自体があり得ない気がする。
強いて挙げるとすれば空飛ぶ島に巣くっているという死霊たちだけれど、多分あの場所へと行き着くことができるのはシナリオの最終盤になると思う。
そんな所にいる連中が、大規模強力魔法の一発でどうにかなるとは思えない。その頃になっていれば、火力不足となっている可能性だってある訳だ。
結論。ミスリルアックスと同様にこちらも使えない。
では、どうするのか?
いくら使えないからと言って、NPCの店に売ってデータの海へと還元してしまうのはしのびない。それに、ボクたちのパーティーだから使えないのであって、シュクトウさんが言っていたように心の底から欲しがっている人たちだっているのだ。
さらに言えば、そんな人たちにの中にボクが今一番欲しい物を持っている人がいるかもしれない。
「スミスさん、シュクトウさん。ミスリルアックスとマジックアイテムの杖を元手に、ムーンストーンを手に入れてもらうことはできますか?」
本当はポケットティッシュもそちらに回したかったのだが、よくある図柄であったために高値は付けられないだろうということだった。
「え?斧はともかく、そっちの杖は使えるんじゃないの?」
「次に向かう場所は迷宮なので、広範囲に影響が出る大規模強力魔法はちょっと……」
「なるほどな。屋外型の広大な階層もあるそうだが、迷路だったり小部屋が連なったりする階層もあるらしいからな。それなら牙龍槌杖のレベルアップに使えるムーンストーンを手に入れる方が確実に戦力アップになるということか」
「そういうことです。それで、どうですかね?」
ミスリルの方が重要視されているプレイヤー界隈であれば、それほど無茶な要求ではないと思うのだけれど。
「鍛冶師仲間に声を掛ければいけると思うが、そういうことは店を構えている彼女の方が得意だろう」
「そうね。絶対にとは言い切れないけれど、手に入る公算は高いと思うわ。……ただ、どれくらい時間がかかるか読めないのがネックかしら」
リアルではもうすぐ年末だしねえ……。忙しくてログインできないという人は学生、社会人を問わずに増えているそうだ。
「レベルアップのための作業もあるからなあ。俺も年末年始はさすがにログインできるか怪しいところだから、次の週末の前に手に入らなければ、年をまたいでしまうと思っておいてくれ」
というスミスさんの要望に従う形で、一旦期限を一週間としてシュクトウさんにムーンストーン探しをお願いすることになったのだった。
〇ダイスの神様、再び降臨!
・各出目の当選内容
1…ポケットティッシュ
2…消耗品の回復薬系アイテム詰め合わせ
3…本編内で交渉の切り札として使用できるアイテム
(例、NPCも復活させられる蘇生薬)
4…合成に使える通常素材
5…直接は使えないけれど、他プレイヤーとトレードできるレアアイテム
6…合成に使えるレア度の高い素材
・結果
6、5、2、1、5
作者としては、3か4が出てギリギリで合成に使える素材が手に入る、という展開を予想していたんですけどね。
リュカリュカちゃんの強運を甘く見過ぎていたか……。




