562 金属素材についてのお勉強
前回のお話し。ガチャに挑戦してみたら、一回目から大当たりのレアアイテムが取れたみたいだよ!
「それで、一体何が取れたの?」
「ええと……。鉱物系の素材アイテムみたいですね。ミーティアライト?」
「やっと出回り始めたばっかりの最新鉱物じゃねえか!?」
表示された名称を読み上げた途端、うがーっと吠えるような勢いでスミスさんが叫んだ。
「うひゃ!?」
「ちょっと!興奮する気持ちは分からなくはないけど、『テイマーちゃん』を怖がらせないでちょうだい!」
「あ、ああ。すまん。『テイマーちゃん』も悪かったな」
「ちょっと驚いちゃっただけですから大丈夫です。それよりもこれ、最新の素材なんですか?」
確認してもらうために正式にアイテムの形にすると、一抱えほどもあるずしりとした重さの鈍色の物体が現れたのだった。
「間違いなく、って当たり前なんだが。ミーティアライトだな。ムーンストーンと並ぶ第四世代の鉱物素材だ」
ムーンストーン?第四世代?
……またまたよく分からない言葉が出てきましたぞ?
「スミス、基本的なことから教えてあげた方が良さそうよ」
「そのようだな」
シュクトウさんの指摘にスミスさんが苦笑いをしながら答える。
無知で申し訳ないです。
「別にこれを知らなくてもゲームを楽しむ分には問題ないんだから、気にする必要はないわよ。実際、エンジョイ勢にはそういう人も多いから」
「そうだな。『OAW』には『笑顔』から流れてきた連中も多くて先々の情報が出回っているっていうのもあるから、それなりに知っているというやつも多いんだが、他のゲームなら一部の攻略勢だとか検証好きなやつらしか気にしていないってことがほとんどだぞ」
とはいえ、ストーリのネタバレのように知っていて損になる情報でもないので、教えてもらうことにします。
「鉱物、特に金属系の素材は装備品のベースに使われることが多いんだ。『テイマーちゃん』も、鉄の剣だとか鋼の鎧だとかを見たことがあるんじゃないか?」
スミスさんの問い掛けにコクリと頷く。
「そうした関係上、『笑顔』のプレイヤーたちからは特に重要視されてきた訳なんだが、これにはランクが存在していた。鉄よりも鋼の方が強いっていう具合だな。……ああ、ゲームの進行度合いによってレア度は変わってくるから、そっちは横に置いておいてくれ」
序盤の街では隊長とか騎士団長くらいしか持っていなかった鋼鉄の剣が、中盤以降に訪れた町では普通の兵士の人たちにまで支給されている、というのは『OAW』に限らずゲームではよくあることなのだとか。
だから、ミーティアライトがプレイヤー間に出回るようになれば、ガチャで取得できた際にもレア獲得演出はなくなってしまうみたいね。
「そしてその金属系素材のランクのことを、いつしか『笑顔』のプレイヤーの間では、ゲームの進行に合わせて順次登場してくることになぞらえて『世代』と呼ばれるようになった訳だ。ミーティアライトは第四世代、つまり最初の金属素材から数えて四番目のランクに当たるな」
現在の『笑顔』では第五世代の装備品が主流になっていて、一部の攻略勢が第六世代の素材を発見したのではないかという噂が流れている段階らしい。
ちなみに第三世代を除いて、各世代には物理寄りと魔法寄りの二種類の金属素材があるという話だった。
「第一世代は物理寄りが鉄で、魔法寄りが銀になる。第二世代が鋼、鋼鉄とか鉄鋼とかいう名前のものは基本的にこれだと思っていいぞ。対になる魔法寄りの素材が魔銀だ。魔法銀ともいう。そして第三世代だけは特殊でな、ミスリルは物理寄りにも魔法寄りにも加工が可能だ。しかもグロウアームズほどじゃないにしても、素材を追加して鍛え直すことで強化もできる」
おおう!さすがはファンタジーものでは定番の素材だけあって、万能で反則じみた性能ですね!
「で、第四世代がそのミーティアライト、これは物理寄りの素材で、魔法寄りの素材がムーンストーンなんだが……。ミスリルの万能性の煽りを食う形で、今一つ人気がないというのが実情だ」
ミスリルベースの装備に素材を追加することで、第四世代の装備品に一歩劣るくらいまでの性能にすることができるのだとか。
長らく使い続けてきた愛着や手に馴染んでいた感覚もあって、よほど切羽詰まった人でもなければミスリル装備から第四世代への装備への新調は行わない場合が多いそうです。
「ついでに説明しておくと、第五世代は物理寄りがアダマンタイトで、魔法寄りがオリハルコンな。まあ、どっちも『OAW』では未登場なんだが」
これまたファンタジーでは有名な素材がでてきましたね!
「あら?オリハルコン製の剣だとかアダマンタイト製の槍だとかいうのが、掲示板にアップされていなかったかしら?」
「ああ、勇者様ロールプレイをしているプレイヤーとその仲間のNPC授かったっていう国宝の武器のことだな。あれは性能とかからそうじゃないかという予想が掲示板上でされていただけで、〔鑑定〕を使っても謎の金属としか表示されていなかったはずだぞ」
「そうだったのね」
「ああ。だから正式にはまだ未登場という扱いをされているな。俺を含めて鍛冶師プレイヤーの各ワールドでも「伝説の金属」とか「噂の金属素材」といった、ふわっとした説明しか出てこないくらいだ」
「そんな伝説の素材で作られた装備が、その内そこここに溢れるようになるのね」
「それは言わないお約束だ」
ゲームの中、しかもプレイヤーばかりが集まる特殊な場所限定とはいえ、ある意味身も蓋もない状況かもしれない……。
「それはそれとして、だな。とにかく、ミーティアライトならグロウアームズのレベルアップ素材には打って付けだろう。だが、これ一個では龍爪剣斧か牙龍槌杖のどちらかにしか使えないぞ」
「えーと、確かミーティアライトは物理寄りの性能なんですよね?それなら龍爪剣斧のレベルアップで使ってもらいたいです」
牙龍槌杖の方は魔力を上昇させる能力も持っているから、できればこちらは魔力寄りの素材を用いたいところだ。
「……この調子なら、残りのガチャで必要な素材を引き当てちゃいそうよね」
そうなれば話は早いのですけれどね。
いくら何でもそこまで都合良くはいかない気がするよ。
ガチャの補足説明は、次回のあとがきを予定しています。
金属素材の説明が長くなって、そこまでいかんかったんや……。




