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テイマーリュカリュカちゃんの冒険日記  作者: 京 高
第三十六章 スホシ村と次の行き先

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548 押し付け、もとい、お任せしたい

 とっても重要で危険なワードを連発しそうになっていた大将ことリシウさんを、彼の部下の人たちや御者のおじさんたちと一緒になって止める。

 なんとか家名(ファミリーネーム)を聞くことだけは阻止しましたぜ……。


「どうして馬鹿正直に全部話そうとするかな!?あんなの鎌を掛けただけかもしれないでしょうが!」

「そこは適当に金持ちの道楽息子だとか何とか言って誤魔化すところですぜ」

「お、おう。そういうものなのか……」


 結局、最近力を付けてきた商家のボンボンだけれど遊びが過ぎて勘当間近、信頼のおける部下たちを付けられて社会勉強の旅に放り出された、という設定に落ち着いたのだった。


 それにしてもこんな人がトップにほど近いところにいるとか大丈夫なのかこの国……?

 ああ、大丈夫じゃないから群雄割拠な内乱状態なのか。……って、彼の素性なんてボクは知りません。知らないと言ったら知らないのだ!


「リシウ様……。あなたのその真っ直ぐな性格は美点ですが、同時に弱点にもなり得るのです。特に発言には注意をしていただきませんと、貴族の古狸たちの良いように扱われてしまいます」

「大将、考えて喋るの大事。俺でも分かる」


 ヒューマンの女性――ボクの中では、できる美人秘書のイメージが定着しつつあります――や、しまいにはお顔が怖い熊獣人さんにまでたしなめられてしまい、すっかり意気消沈してしまっているリシウさんです。


 沈黙は金なんて言葉もあるからね。下手なことを喋ってしまうくらいであれば、口を噤んでいる方が賢明というものです。

 特に相手が言質を取ろうと躍起になっていたり、責め立てる材料を探していたりする時はなおさらだ。


 ただし会議などでは、沈黙は肯定とみなす場合もあるから注意が必要です。もっともこれは、ちゃんと議論に意識を集中していていれば反応できることだったりするので、さほど気にすることはないだろう。

 助言をしてくれる人だけでなく、苦言を口にしてくれる人たちが居るようだしね。周囲の言葉に耳を傾けることができている間は、極端に酷いことにはならないのではないかと思う。


 遠い未来のこと――遠いといいなあ……――は一旦置いておくとしまして。当初の目的だった子どもたちを押し付け、もとい託すに足るべき相手なのかどうかなのだけれど……。

 まずリシウさん本人だけでなく部下の人たちも含めて人格面については問題ないと思われる。全員、子どもたちを見る目には心配の色が浮かんでいたからね。嫌悪感をにじませるような人はいなかったので、保護を名目にして逆らえないのをいいことに、いじめたり体のいい労働力として酷使したりはしないだろう。

 むしろ可哀想だからとひたすらに甘やかしそうで心配だわ。


 次に、アホ領主に対抗して子どもたちの後ろ盾になることができるかどうかだけれど、これについては微妙かなあ……。

 リシウ君が嘘をついているとは到底思えないから、先ほど言いかけた本当の身分についてはその通りなのだとは思う。聞きたくなかったけど。


 ボクの心情はともかく、問題はその本当の身分を表に出すことができるのか、という点だ。

 アホ領主とか、ボクたち並びに子どもたちが向かう予定である迷宮、その調査発掘の責任者がリシウさんの顔を知っていればいいけれど、『火卿帝国』では皇帝の権威は失墜して久しく内乱状態の長く続いている。

 自領から出たことがない、自分たちより上の権力者を見たことがないという連中だって多いだろう。


 加えて、彼らがなぜこのタイミングで現れたのかということも気にかかる。

 はい、そこ!「ゲームだからさ」なんていう絶対真理なメタ発言は慎むように!


 まあ、冗談はこのくらいにして。正直なところ、迷宮で貴重なアイテム――ボクたちの予想一番人気は緋晶玉――が発掘できて、それが凄いものに利用できる!という情報の一部もしくは全部が流出しており、リシウさんたちは事の真偽を調査しにやって来たのではないだろうか。


 アホ領主たち?多分、気が付いていないのではないかな。

 自領の領民たちや子飼いの冒険者たちを動員しているだけ(・・)で徹底した秘密主義のつもりになっているのだと思う。

 実際のところは……。スホシ村のおばば様が発掘相手の大まかな特徴を知っていたくらいだから、相当ザルだろうね。まともな諜報員を保有している大貴族や国などからすれば、それこそ全てが筒抜けで、どこかにフェイクが紛れているのではないかと疑ってしまうレベルではないだろうか。


 話題が別方面へと進んでいきそうなので、話の筋を元に戻そうか。

 つまりはリシウさんたちには彼らなりの事情があって行動しているため、どのようになったとしても子どもたちを絶対に助けてくれる、とは言い切れない可能性が高い。

 もっともこれはボクたちにも言えることでもある。おはようからお休みまで子どもたちの全ての面倒を見られる訳ではないのだ。迷宮に到着すれば、その状況はより顕著なものに折ることだろう。

 現状では戦力が充実しているあちらに託すことは決して間違った選択だとは言えないのだった


 色々悩んでみたが、結局のところ子どもたちの気持ち次第ということになりそうね。

 できれば向こうに付いて行ってもらいたいのだけれど、仮にボクたちと一緒に行きたいというのであれば、引き受けるつもりでいる。

 もちろん、その際にはデメリットやリスクをたっぷりと聞かせるつもりでいるけれど。


 いえいえ、決してそうやって追い出そうとする訳ではアリマセンヨ。

 戦力となる人数も少なく馬車のような便利な物もないのだから、よりたくさんの苦労をすることになってしまうのは当然のことなのだ。むしろそのことを話さずにいるというのは、先々で余計な危険を呼び込むことにも繋がりかねない無責任な行為だとボクは思う。

 だからこそ、理解して納得した上で一緒に行きたいというのであれば、その意思は尊重してあげたいと思います。


 まあ、そんなことはなかったのだけれどねー。

 少年たちに「あの人たちに迷宮まで連れて行ってもらえないか、話しをしようか?」と尋ねたところ、食い気味に「うん!」と頷かれてしまいましたとさ。

 子どもというのはある意味リアリストなのだと痛感しましたよ。


 べ、別に悔しくなんてないんだからね!


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