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テイマーリュカリュカちゃんの冒険日記  作者: 京 高
第十七章 『銀河大戦』3 二日目
241/933

241 表彰式

 二日目には残れたが、ボクたちのチームは準々決勝であっさり敗退となった。

 さらに〔不完全ブレス〕の解説は運営がやってくれたし、チーミルたちのテイム方法については『冒険日記』での報告となる――アウラロウラさんいわく「その形でお願いします」とのこと――ので、もう目立つようなことはないだろうと思っていたのだが……。


「俺たちはどうしてここにいるんだ?」

「さあ?」


 なぜだかボクたち『テイマーちゃんと愉快な仲間たち』のメンバー全員が例の壇上へと転移させられていたのだった。


「エキシビジョンバトルの勝敗の発表とか?」

「それならこのメンバーで集められるのはおかしくないか?」


 ちなみに、他に壇上にいたのは優勝したチームを始めとする決勝戦にコマを進めた四チームの人たちのみだったから、どちらかといえばエキシビジョンバトルは関係ない気がする。

 まあ、「それじゃあ何なのだ?」と問われても答えられはしないんだけどさ。


「二日間にわたって行われた今回のイベントも終わりとなる。プレイヤー諸君が楽しんでもらえたのであれば、俺たち運営側の人間としても企画した甲斐があったというものだな。だが、本音を言えば色々と予想外のことも起きてしまったというところだ」


 司会進行を始めた『笑顔』運営氏が苦笑いでそう言うと、会場のあちらこちらから失笑が沸き起こったのだった。


「さて、優勝したチームを表彰する前に、練習用フィールドでの成績が良かったチームなどを紹介したいと思う。とはいえ、こちらはかなり幅広く多岐にわたるから、今は代表で一組だけということになる。詳しくはそれぞれの公式ホームページで発表するからそちらを見てもらいたい。それと該当者には後日粗品をプレゼントする予定だから楽しみにしていてくれ」


 彼の言葉通りであるならば、どうやらボクたちはその代表に選ばれたということらしい。

 ちなみに、イベントへの参加賞としての粗品もあるそうです。


「では、『テイマーちゃんと愉快な仲間たち』チームはこちらに来てくれ」


 運営氏の言葉に従って、マサカリさんを先頭に前へ進み出る。こういう時には基本的にレベル順に並ぶこととなるので楽でいい。

 これには熟練者が初心者を守るという意味合いもあるのだそうで、いつの間にか自然と広がっていったマナーなのだとか。

 まあ、レベル差を笠に着て低レベルプレイヤーを無理矢理従わせている場合もあるらしいので、結局はやる人次第、やり方次第ということにはなるようだけど。


 それはともかくとして、『笑顔』運営氏がボクたちの紹介を始める。


「彼らの功績だが、練習用フィールドの全マスをなんと五十三秒で自陣化している。これは全チーム中でも最速のタイムだ」


 そう告げた瞬間、会場内のざわめきが一気に大きくなった。

 対するボクたちはといえば、顔を見合わせながら「ああ、そんなこともあったね」と視線で会話していた。

 いや、何と言うかその後の一連の出来事の方が色々と衝撃的だったもので……。すっかり遠い過去の出来事のような気分となってしまっていたのだ。


「あんまり嬉しそうじゃないな」


 そんなボクたちの微妙な雰囲気を察したのか、運営氏が怪訝な顔で尋ねてくる。

 その事に罪悪感を抱きながらも、別に隠さなくてはいけないような事でもないので本音を吐露することに。


「これが記録を出した直後だったら、きっともっと素直に喜べたような気がするわね」

「昨日の予選からして色々あったからなあ……」


 ボクたちの気持ちは会場内の大多数の人たちにも共感してもらえたのか、「なるほど」と頷いている人たちも多かった。

 が、中には「お前らが言うな!」と何やら失敬な事を口走っている人も見られた。

 え?もちろんそんな意見を一々真に受けていたら辛かったり苦しかったりするだけなので無視ですよ無視。


「と、ともかく、これは我々運営側も予想していないタイムだった。この時の記録は本戦の映像共々公開する予定でいるので、興味のある人はぜひ見てもらいたい」


 ほうほう。確かにもう一度やれと言われてもできるような事ではなったから、かなり良い記録になったのではないかと考えてはいた。が、まさか運営の想定を超えるほどだったとは思いもよらなかったよ。結構無茶なボクの発想を疑いもせずに従ってくれたチームメンバーの皆に感謝だね。


 余談だけど、景品となる粗品の方は他の該当者と同じく後日送られてくることになるのだとか。ちょっぴり期待していたので当てが外れ寂しい今日この頃です。


 その後の本番優勝者たちの表彰式の方は、とても華々しいものとなった。

 とはいえ、無難にごく普通に進んでいったので特に記載するようなことは起こらなかったというのがなんともはや。

 あえて言及するなら、決勝戦に進出した四チームには一人の顔見知りもいなかった、ということくらいだろうか。うん。やっぱりわざわざ書くほどのことでもなかったね。


 さて、表彰式も終わりプレイヤーの皆も会場内のそれぞれの場所へと転送されたので、これにて公式イベントはお終いかと思いきや、なぜかボクだけは壇上へと残されたままとなっていた。

 しかもいつの間にかユーカリちゃんもやって来ていたのだ。

 うへえ……。別れ際があれだったので、とっても気まずいです。


「残るはエキシビジョンバトルの結果なんだが、大方の予想通りほとんどは『笑顔』チームの勝利となっている。具体的な数を挙げると、九十九戦中八十七戦が『笑顔』側の勝利だ」


 根本的なレベル差があったから、これは仕方のないことだろうね。

 むしろ十二チームも『OAW』のチームが勝利していることの方が驚きといえるのかもしれない。


「どうしても終始『笑顔』側が押し続けているという試合が多かったんだが、接戦となった試合もあれば、華麗な逆転劇で『OAW』側が勝利を収めた試合などもあって、俺たち運営一同も興味深く拝見させてもらった。今回得られたデータはいずれゲーム本編にも反映させていくつもりなので楽しみにしていてくれ」


 運営氏がそう言った途端、歓声とも悲鳴ともつかない叫びが会場内から上がったのだった。


「あー……。それで、皆も気になっているだろう『コアラちゃん』と『テイマーちゃん』が出場していたエキシビジョンバトルなんだが……」


 ちょっ!?そんな大事なところで区切ってボクたちの方を見るのは止めてくださいよ!

 すっごく結果が気になってくる!?


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