表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
テイマーリュカリュカちゃんの冒険日記  作者: 京 高
第十七章 『銀河大戦』3 二日目
222/933

222 入れ替わりはしたものの

累計PVが50万突破してました!

これからもよろしくお願いします。

「ここからが本題となるのですが」


 アウラロウラさんの言葉に「え?」と疑問の声を上げた後で、そういえばすぐには解決することができないと言っていたのを思い出した。


「チーム編成が決定してそこに組み込まれたことにより、一時的にログイン時のポイントが固定されてしまっているのです。早い話が勝手にチーム間の移動をされないようにワタクシたちの方で制限を掛けているという状態です」


 この制限がセキュリティ機能と連動させていたためにやたらと強固なもので、エキシビジョンバトル開始まで後一時間しかない状況では、とてもではないけれど解除することができないらしい。


「昨日の段階で見苦しい行いをしていたプレイヤーが散見されていましたので、出場者の安全のために急きょ取り付けた機能だったのですが……。見事に裏目に出てしまいました」


 とはいえ、今のボクたちが陥っている事態は狙ってできるようなものでなかったのは間違いない。誰にとっても不幸な事故である以上、アウラロウラさんやその他運営関係者を責める気にはなれなかった。


 それにしても見苦しい行いとは随分とまあ辛辣な言い方だね。それほど腹に据えかねたということなのだろうか。

 一体何をやらかしたのか気にならないではないけれど、彼女の方から何も言ってこないということは、知る必要がない、または知らない方が良い類のものである可能性も高い。

 ここは大人しくスルー推奨です。


 と思っていたのに、


「あの、メールでも態度が悪い人たちがいたみたいに書かれていたんですけど、本当のところはどうだったんですか?」


 なんてとんでもない質問をする人が!?


 ぎゃーす!?

 なんでそんな危険が危ないことを聞いちゃってるんですかこの人は!?


 勇気と無謀は別物なんですよ。こんなことをしたって誰も勇者とは認めてくれないんですからね!ほら、周りにいた人たちだって、ギョッとしてお魚顔になってしまっておりますよ!


「おや、聞きたいのですか?」


 いーやー!

 聞きたくないー!

 だからアウラロウラさんもそんな素晴らしく良い笑顔を張り付けるのは止めて!


 さすがに彼女の迫力あるお顔と声、そして慌ただしいボクたちの様子に、そのプレイヤーさんもただ事ではないと勘付いたらしく、ぶんぶんと豪快に頭を横に振ることで事なきを得ることになったのでした。


「さて、他愛もない話はこのくらいにして、本題の方に戻りましょうか」


 お、おおう……。これはまたずんばらりんと切り捨てましたね。その切れ味の鋭さに皆さん頬が引きつっておられますですよ。

 まあ、掘り下げたところで気分の良くない内容になることは目に見えていたので、話題変更には賛成だ。時間も余り残っていないことだし。


「今までの説明で『テイマーちゃん』と『コアラちゃん』の出現位置が入れ替わってしまったことについては了解して頂けたかと思います。そしてこの後ですが、ワタクシたち運営側の調査では、残念ながら予定していた元々のチームでのエキシビジョンバトルへの参加は不可能だという結論に達しています」


 やっぱりか。実はここから移動できないと聞いた時点でそういうことになっているのだろうと予想はしていたのでそれほどショックではなかったりします。

 ただ……、


「昨日壇上であれだけ派手に啖呵を切ったのに参加できないって、すっごく恥ずかしいものがあるんですけど」


 しかもその場の勢いとか雰囲気にのまれたてしまって、こちらから宣戦布告した形だから余計にそう思ってしまう。


 低レベルプレイヤーが調子に乗って喧嘩を売ったけれど、いざとなると怖気づいて逃げた、などと思われるかもしれないのも心配だ。

 そうした誹謗中傷(ひぼうちゅうしょう)がボク個人に向かうだけならまだしも、『OAW』のプレイヤー全体に向かってしまうかもしれないからだ。


 過激思考のプレイヤーたちをイベントから排除してしまったことで、そうなってしまう下地ができてしまっているのも痛い。

 もっともそのまま参加させていたら、エキシビジョンバトルで集団になって弱い者いじめのような事をやらかしたかもしれないので、運営の判断は間違ってはいないとも思う。


「ワタクシどもとしてもその点は危惧しているところです。それに何より昨日の一件でお二人の対戦がどうなるのか、プレイヤーの方々の関心が高まっています。これらのことから、『テイマーちゃん』と『コアラちゃん』には是非ともエキシビジョンバトルに参加して頂きたいと思っています」

「え?でもさっき参加できないって――」

「ワタクシが申しあげたのは元々のチームでは(・・)参加できないということです」

「!!!?」


 こちらの意見を途中で遮ってまでして告げてきたアウラロウラさんの言葉に、雷が落ちたような衝撃を受けた。


「……まさか入れ替わった先のチームで出場しろと?本当にそんなことができるんですか?」


 ボクが不安に感じる点は二つ。

 一つは現在のボクの状態がどうなっているのかが判別がつかなかったこと。ステータスを始め表面的にはリュカリュカというキャラクターのままだが、細かく確認していくとユーカリちゃんとデータが入り混じってしまっている可能性があるではないかと考えてしまったのだ。

 二つ目の方はシンプルで、そもそも『笑顔』と『OAW』に分かれているので、異物として弾かれてしまうかもと思った訳です。


「心配はご無用です。まず一つ目の方ですが、今回の取り間違えは識別機能だけのミスであり、転移機能を始めとしたその他の機能に不備はありませんでした。つまり『テイマーちゃん』は『テイマーちゃん』のままこの場所に存在しているということになります。それと一応確認しましたが、転移の最中にお二人が接触したような記録もありません。ですからキャラクターの一部だけが入れ替わっているなんてSFじみたことにはなっていませんよ」


 あはは。さすがはにゃんこさんだ。ボクの不安をきっちり潰してくれました。


「二つ目ですが、当然機能面にも問題はありません。いくつか変更したり付け加えたりはしていますが、基礎の部分は本戦の時のシステムをそのまま流用しています。よって『笑顔』と『OAW』のプレイヤーが同一チームに混在していてもエラーが発生するようなことはないと断言しておきます」


 ここまで言い切るというのだから、参加できることに間違いはないだろう。

 そうなると、後はボク――とユーカリちゃん――の気持ち次第だね。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ