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テイマーリュカリュカちゃんの冒険日記  作者: 京 高
第十六章 『銀河大戦』2 一日目午後
215/933

215 戦い終わって

ブックマーク600人になっていました。ありがとうございます。

 四回戦終了後、ボクたちはいつものチームメンバーだけの空間に移動させられていた。

 この後、明日の午後から行われる準々決勝に出場するチームのお披露目があるということで待機中です。ただ……、運営が調子に乗って妙な演出をしそうなことがちょっぴり心配な今日この頃。


「おー、おー。こりゃあ、いい感じで騒ぎになっておりますなあ」


 そんなぽっかりと開いた空き時間を利用して、手元に展開した公式イベント専用の掲示板を見ながら楽しそうにしているのはヤマト君だ。

 ボクはといえば、さすがにその話題の内容が内容なだけあって素直には楽しめていないというのが本当のところ。どちらかといえば戸惑いの方が大きかったりしていた。


「本当に誰もテイムモンスターやサモンモンスターを参加させられることに気が付いていなかったんですかね?」


 テイムモンスターの場合は『ファーム』など特定のアイテムが必要となるので難しかったのかもしれない。が、もう一方のサモンモンスターにはそれがない。強いて挙げるならば【召喚】を行う際にMPが必要になるということくらいか。


 ちなみにテイマーの【調教】でも、魔物の意思を無視してテイムしようとするとMPが必要になるのだとか。酷い時には常時【調教】し続けなくてはいけないということで、一時的に最大MPを低下させられてしまうこともあるようだ。

 ボクの場合は相手も同意してくれていたり、向こうからテイムして欲しいと請われたりすることばかりだったので、そういうこととは無縁だったけれどね。


「この話題が登場した辺りまで、ざっと過去ログを遡ってみましたが「気が付かなかった」とか「そんなことは考えたこともなかった」という人がほとんどみたいですよ。定期的に「俺は知っていた」という連中が出現していますが、スクショや動画などの証拠となるものが添付されていないので、騒ぎに便乗しているだけの愉快犯扱いされているようです」


 遥翔さんからの回答にそうなのかと頷くボクとヤマト君。

 何にせよさっきの試合でボクが呼び出すまでは、テイムモンスターもサモンモンスターも人目に付く場所には登場していなかったことだけは間違いないようだ。


「まあ、「知っていた」って言っているやつらの中でも、もう敗退しているやつは間違いなく嘘つきだよな」

「いえ。そうとも言い切れないですよ、ヤマト君」

「え?どうして?だって負けてるんだぜ。知っていたならやれば良かったんじゃないか?」


 その後にはきっと「そうすれば勝てたかもしれないのに」と続くのだろう。実際ボクたちの勝利はその影響が非常に大きかったと言える。

 だけど、それこそが答えの一つだということに彼は気が付いていないようだ。


「理由はいくつかあると思いますが……。一つは、その試合に勝てたとしてもその後を勝ち進むことはできないと判断したからではないかと思います」


 例えば、一回戦を断トツの成績で一位通過した『キングオブデビル』も次の試合には勝つことができなかった。つまり、イベントの成績だけで見ると彼らは二回戦敗退という結果でしかないのだ。

 これを良いとみるか悪いと見るのかでまた話は変わってきてしまうので、それについては一旦横に置いておくことにします。


「確か、それでも十分目立つことができるから挑戦したんじゃないか、っていうのが『テイマーちゃん』たちの予想だったよな」


 上位入賞チームに比べれば落ちるかもしれないけれど、それでも名前を売ることはできたはずだ。

 とはいえ、本当のところは本人たちに聞いてみないと分からない話ではあるのだけれど。


「ヤマト君が言っていた連中というのは、彼らの逆に当てはまるのかもしれません」

「逆?……ということは、目立ちたくなかった?」

「『笑顔』はオンラインのゲームだからね。有名人は良くも悪くも絡まれやすい傾向にあるんですよ。だからそうなることを嫌って、勝ち進めないのであれば目立たずに負けることを選択した、とも考えられるんです」

「な、なるほど」


 これについては今回の公式イベントにどれくらいの意気込みを持って臨んでいたのかということも関わってくるだろうと思う。

 ボクたちのように「できるだけ頑張って上位入賞を狙ってみよう」というチームであれば、勝負どころだと感じた時点で呼び出していたかもしれない。


 なんにしてもそれらは全て仮定の話だ。結局はボクがエッ君とリーヴを呼び出したことでイベントに参加可能だと周知されてしまった。

 調整が入らなければ、明日の試合ではテイムモンスターやサモンモンスターが入り混じって今日以上の戦いとなることだろう。


 ボクだってできるならば明日のエキシビジョンバトルまでは隠しておきたかったというのが本音だったりします。

 里っちゃん、もといユーカリちゃんなら間違いなく対策を練ってくるだろう。

 はあ……。厳しい戦いになりそう。


「間もなく準々決勝に進むチームの紹介となります。紹介されるチームの方々はステージ上への移動となりますので心の準備をしておいてください」


 おや、もうそんな時間になっていたようだ。

 というか、心の準備って何!?


「なんだか急に怖くなってきたんですけど……」

「自分もです。一体何をさせられるのやら……」


 そこはかとない不安感から、思わず顔を見合わせてしまう。


「と、とにかく、いつ移動させられても大丈夫なように、あっちの三人にも声をかけておかないとな!」

「そ、そうだね!うちの子たち……、はどうなるか分からないから『ファーム』に戻っておいてもらった方が良さそうだし」


 えー、その残るチームメンバー三人とうちの子たちですが……。

 ちらりと視線を向けた先では、


「ほわあー……。ホント、大人しくて可愛いわねえ」

「ああ。『冒険日記』で読んだあのエッ君にこうして触れることができているなんて……。感激です」


 リルキュアさんとミザリーさんの二人からエッ君が撫で回されており、


「ぬおっ!?マジか!?凄えな、さすがに今の攻撃は受け止められるとは思わなかったぜ。それじゃあ、次はそっちの攻撃する番だな!」


 リーヴとマサカリさんは何やら楽しそうに模擬戦を繰り広げていたのだった。

 いやまあ、勝利の立役者ということで二人に構ってくれているのは嬉しいんだけどさ。


「めっちゃ楽しそうだな……」

「あの放送が聞こえていない時点で、色々とお察しって感じですよね……」

「あそこに割って入るのはかなりの勇気が要りそうです……」


 どうやってお披露目会について知らせるべきかと、悩む羽目になるボクたち三人なのでした。


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