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テイマーリュカリュカちゃんの冒険日記  作者: 京 高
第十六章 『銀河大戦』2 一日目午後
200/933

200 続・ビックリ仰天映像

ついに200話到達です。


公式イベント編を始めた頃は「200話目くらいまで引っ張ることができたら上々かな」などと考えていたんですが、いざ書き進めてみるとようやく一回戦が終わったところでした(苦笑)。


引き続き頑張って書いていきますので、よろしくお願いします。

 大規模強力魔法というとんでも最終兵器の登場に驚きを隠せなかったボクたちだけど、ビックリ仰天映像はこれだけではなかった。


「おいおいおいおい!こっちはこっちでシャレにならんぞ!?」


 なんと『キングオブデビル』の別の一人が先ほどとは違う敵対チームを、これまた魔法の一撃でまとめて倒してしまったのだ。

 リルキュアさんたちの見立てでは、使用されたのは範囲攻撃に有利なニードルの上位版であるレインではないかとのことだ。


 余談だけど、ボールの上位がスターで、ドリルの上位がレイとなる。

 火属性の魔法を例に挙げると、【ファイヤースター】、【ファイヤーレイン】に【ファイヤーレイ】ということになりますです。


「多分、魔法を受けた側のチームの高レベルプレイヤーが自分やリルキュアさんのように戦闘が得意ではないキャラクターだったのでしょう」

「いや、でも全員だぜ?いくら何でもそれだけが理由ってことはないんじゃねえの?」


 遥翔さんの予想も正しいだろうが、ヤマト君の疑問ももっともなものだ。

 いくら上位の魔法とはいえ、簡単に他プレイヤーを蹂躙できてしまうようではゲームバランスがおかしくなってしまうのではないだろうか。


「装備品による補正まで全てを使って魔力特化にしていれば、数レベルくらいの差なら引っ繰り返すことができますよ」


 装備品には物理の攻撃力や防御力を上昇させるだけでなく、魔法の攻撃力や防御力を上昇させる効果を持っているものもある。

 現在ボクが装備しているマジシャンローブや銀のブローチ、ネイトの持っているマジシャンワンドなどがそれに当たる。


 ところがそれだけではなく、何と能力値そのものを上昇させる付加効果が付いた物まで存在しているのだとか。

 現在の『笑顔』での最新素材を用いて作られた装備なら、一つに付き能力値を二ポイントから物によっては三ポイントも上げることができるらしい。


 一線級の鍛冶師プレイヤーとの伝手さえあれば、装備品の付加効果で十ポイント以上も能力値を底上げすることだって不可能ではないのだそうだ。

 というか、それを見越して出現する魔物の強さが調整されている節があるみたいで……。

 『笑顔』の攻略最前線って怖い……。


 閑話休題でした。

 話を戻すと、それでも大規模強力魔法に準じるだけの破壊力になるとはボクにはどうにも思えなかった。だって、それなら一人目のプレイヤーもレイン系の魔法を使えば良かったという話になるからだ。


 大規模強力魔法は明らかに切り札となるものだ。魔法名を公表するなど、習得した事実を公にしておくだけ(・・)の方が、プレイヤー相手の交渉事などを有利に運ぶことができるようになったと思う。

 未知なるものへの好奇心や恐怖心は侮り難いものがあるからね。


 「あえて空想や妄想する余地を残しておくことで、勝手に虚像を作り上げてくれる」のだそうですよ。

 彼女がどういう状況でそんな手を打っていたのか、そうして生まれた虚像をどう活用していたかについてボクは知らない。

 ええ、知らないと言ったら知らないのです!


 ところで、何の話だったっけ?……ああ!そうそう。

 つまりはですね、お披露目自体が目的だったならばともかく、大規模強力魔法なんてものは一回戦の初っ端から使用するようなものじゃないと思う訳です。

 代替手段があるならなおさらだ。


「あの、もう一度さっきのところを再生してもらっていいですか?」

「気になるところでもあった?」

「んー……、まだそれを発見しようとしている段階ですかね」


 裏があるのは確信していても、それが何かははっきりしていないという段階です。


「そういえば、『キングオブデビル』が違反していないか探そうとしていた人たちは、これを見て何も言っていないんですか?」

「さっきの大規模強力魔法を見てほとんどは意気消沈したらしいですね。残る一部が頑張って確認し続けていたようですが、この点については遥翔さんと同じ意見だったようです」


 見直す際のヒントになるかもしれないと思ったのだけど、しょせんはひねくれ者が粗捜しをしていただけということのようだ。

 気を取り直して確認作業に戻ることにしようか。


「うー、むむむー。……あれ?」

「どうしたの?」

「どうしてこの人、直接攻撃を選択した直後に魔法を撃たなかったんでしょうか?」


 一人目の時とは違い、画面の中の彼は敵対チームの人たちが接近してきた時点でようやく魔法を発動していたのだ。

 魔法の効果範囲に集まるのを待っていた?……ううん、違う。

 むしろ最初の時の方が相手チームの人たちは一塊になっていた。そうすると、すぐには魔法を使用できない理由があったと考える方が妥当かな。

 でも、その理由って一体なんじゃらほい?


 ボクがその立場ならどうするかという視点で考えてみようか。

 まず、複数を相手にしなくちゃいけないから、攻撃範囲が広いニードル系を選択するよね。次に<マジシャン>のキャラというのは非力なのが定番だから、反撃されないようにその魔法で倒しきるということが重要だ。

 そうなると当然魔法の威力を上げる必要がある。


 うん?

 魔法の威力を上げる?


「……もしかすると、これかもしれない」


 いや、一度思い付くとこれ以外にはないようにすら思えてきた。


「おいおい、まさか本当に分かったっていうのか……?」


 驚きと呆れが入り混じったような声でマサカリさんが呟いている。

 まあ、何年間もプレイし続けている彼からしてみれば、数か月前に始めたばかりのボクなんて初心者に毛が生えた程度でしかない。

 そんな相手が熟練プレイヤーでさえ分からなかったことへの答えを持っているかもしれないとなれば、複雑な心境になってしまったとしても不思議じゃないだろうね。


 という訳で別にボクのことをバカにしていたという訳ではないのだから、リルキュアさんもミザリーさんも怖い顔をしないで。


 男性陣に余計な心配を掛けないように、そっと腕に手を添えると、ボクの考えを理解してくれたのか二人とも強張っていた体の力を抜いてくれたのだった。


 さて、もったい付けても仕方がないので答えを言って……、あれ?これって話してしまっても問題ないのだろうか?


「ちょ、ちょっと待ってもらえますか。話してしまっても問題ない案件なのか、確認させてください」

「え?それってもしかしてバグ――」

「違う違う。ちゃんとゲームシステムに則ったものだよ。ただ、運営からするとプレイヤー個々人で見つけ出して貰いたいものかもしれないの」


 『冒険日記』で修正が入っていたことから、少なくとも『OAW』ではそういう扱いになっているのではないかと思ったのだ。


 一方で、初めてあのことを教わったのはリアル時間だと五月末頃のことであり、『OAW』の正式稼働からまだ二カ月経っていなかった。

 『笑顔』という下敷きがあるにしても、公開するには時期尚早という判断が運営内で下されたのだとも考えられるのだった。


リュカリュカちゃんのマジシャンローブは上半身装備、銀のブローチはアクセサリ枠の装備品です。

『106 パーティーバトル』冒頭で新調したもので、他には下半身装備や靴も防御力の高いものへと交換しています。


ネイトのマジシャンワンドは初登場時から持っていたものですが、この時に同じく銀のブローチなどを購入しています。


要は二人ともミルファと同程度の装備品へと交換済みということです。

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