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参 ありふれた愛

今日も、君は綺麗だね。


僕と初めて出会った時の君は、少し警戒した目をしていた。無理もない。あの時の僕は、今よりもう少し若かった。

そこから探るように、互いの心に一つの関係を築いた。一目惚れさ。最近はそんな言葉、大して聞かなくなったな。時代なのかもしれない。

紆余曲折があって、押し問答があって。やがて道は結びつき、築いた関係は一段階上になる。


君の人生を楽しいものにしようと、僕は勇気と金を振り絞って演出した。どうやら君も同じ考えだったみたいだ。今でこそ、わかること。

いろんな場所へ行った。遊園地とか、水族館とか、ピクニックとか。別にそれらが好きなわけじゃないんだ。それらを理由に、君と会える。その時間が何よりも好きで、何よりも大切だった。君との時間は、日に日に増えていった。金は日に日に減ったけどね。


結婚して、愛を深めて、愛を確かめて、二人が一つになる。新しい命が産まれる。あの頃の僕は、今よりだいぶ若かった。

大きな喧嘩もした。これは、もう戻れないだろうと思った。それでもやっぱり、君はここにいる。涙を流して、僕に縋りついている。

子供に孫が出来た。久しぶりに二人だけで旅行していた時だったな。年甲斐もなく喜びを分かちあった。あの頃の僕は、今よりもう少し若かった。


僕が病気になって君は悲しんでいた。それはしょうがないんだよ。男性の方が、女性より平均寿命は短い。タバコだって吸ったし、お酒だって飲んだ。


初めて会った時。友達だった時。彼女になった時。結婚した時。喧嘩をした時。年をとった時。

どんな時も、君は綺麗だった。


僕の人生で一番幸せなことは、君のいない世界で生きていかずに済むことだ。

僕の人生で一番不幸なことは、君のいる世界でこれから生きていけないことだ。


君は僕の手を取って、皺くちゃになって泣いている。君は今までで、一番綺麗な顔をしている。



今日も、君は綺麗だね。

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