壱 Must or Chance
学校へ行く時は、足が重たかった。
全てがめんどくさい。授業は面白くないし、先生は頭のおかしい人ばかりだ。
学校から帰る時は、足が軽かった。
ようやく家に戻れる。好きなだけゲームして、好きなだけ寝ることが出来る。
学校が楽しい人の気が知れなかった。
何が楽しいのだろう。何がそんなにワクワクするのだろう。勉強が好きなタイプか?ただのMなのか?
違う。彼らと私は、考え方が異なるだけだった。学校に行けば友達に会える。行事では予想もしていない楽しい事が起こる。学校でしか出来ない事が、存分に出来る。
私だって友達はいた。行事で面白い出来事もあった。しかし、それを何処かで認めたくない自分がいた。「あんなに勉強をさせて頭ごなしに怒鳴る場所が、こんなに楽しいわけがない」と考えていた。固定観念ってヤツだ。「学校は、面白くないもの」だった。そう思っていた。
結局、そういう人が自ずと成績も良くなるんだ。学校が楽しいから。勉強は、友達とバカ話しながら、少しずつやればいい。ガチガチに予定の組まれた行事も、その予定の中で楽しくやればいい。
あれほど遊びまくっているのに、成績まで良いのはずるい。それだけだった。一度そうやって理不尽な理由で叩くと、もう自分はあっち側には行けない。あっち側に行ったら、私は私が嫌いだった「学校を楽しみつつ成績も良い人」になってしまう。私は文句だけ言って、社会の駒になるためにしたくもない勉強をして、行くメリットなんて無いものだと考える人で良い、と。
何故、そこで割り切れなかったのか。
学校は、
「国が与えた好機」か。
「国が定めた拷問」か。
次の私は、どうか前者でありますように。
でないと、今みたいな惨めな結末が待っているぞ。
さあ、リセットの時間だ。