《魔法使いと魔王の悪巧み》
目を開けると天井が目に入る。
ボーッとする意識の中ちぐはぐの記憶を辿るように少しずつ思い出してきた。
魔理沙と霊夢を脅迫する為だけに感情解放をしたはいいが、意識が持ってかれたようだ。
そうなるとここは永遠亭か。きっとてゐが運んでくれたのだろう。まだ重い体を起こしたとほぼ同時に戸が開かれ、そこにはてゐが立っていた。
「あ! アルマおはよ!」
「おはよう、てゐ」
「目が覚めてよかったね! 永遠亭に運んだ後、大変だったんだよ!」
どうやらご迷惑をおかけしたようだ。申し訳ないことをした。あとでみんなにもお礼を言っておかないと。
立ち上がろうとしたら、てゐに止められた。なんか永琳に目が覚めても、急に動かないようにと言われたらしい。いいじゃんこれぐらい、と思ったが、永琳に何されるかわかったもんじゃないから安静にしておく。
「あ! アルマ起きてるぜ」
「よう犯人」
「忘れて欲しいなぁ...」
「気分が良かったらな」
その言葉に「あうぅ」と項垂れる魔理沙であった。
「そういえば、さっき姫様が呼んでたよ」
「お前がこっちに来いって言ってくんね」
「はーい!」
トタトタ走っていくてゐの姿かわいいな。決してロリコンじゃねえぞ? 可愛いものは可愛いんだ。ここ重要。
「なあ、アルマ?」
「ん?」
「アルマの能力って《感情を弄ぶ程度の能力》だよな?」
「そうだけど。なんでまた」
「いや、感情を操れるならさ。その感情を昂らせることもできるのかな〜って思ったんだ」
感情を昂らせるか。やった事あるが...あれは被害者から異常な報復を受けるからあまりやりたくないんだよなぁ。
そもそも人の感情に干渉しようとすれば俺の体力がもたないと思う。まあけど。
「面白そうだな」
「だろ! だから、ちょっとその能力使ってさ!」
魔理沙の意見を聞いた俺は、面白そうな話でついにやけてしまった。だって想像以上にすごいことになりそうなんだもん。これが、にやけずにいられるか。
それにしても、魔理沙も悪いやつだな。なんて面白いこと考えるんだ! もう体だるくなってもいいや!
「いつやるんだ?」
「じゃあ、大晦日が過ぎたら、実行開始だぜ!」
「了解だ!」
この後、この二人の好奇心により被害を受けるもの達は、あんなことになることをまだ知らない。