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東方魔人黙示録  作者: 怠惰のあるま
永遠の夜と竹林の兎
41/204

え?今日って大晦日? 後編


宴会が騒がしくなり外に逃げることにする。主に俺のせいなんだけど。

縁側でため息をすると横から声をかけられた。


「あら、ここで会うなんて奇遇ね?半人君」


すぐ横を見ると空間にスキマを作り、上半身だけを出して微笑んでいる紫だった。なんとなく、現れそうな予感がしてた俺はそっけない態度をとった。


「なんだ.....あんたか」

「ふふっ!冷たいわね、魔王様」

「うるせえな......今は魔王じゃねえよ」

「そうだったわね。で?宴会を抜け出してどうしたのかしら?」


この微笑みから察するにスキマから覗いてたな。相変わらず性格の悪い女性だこと、自分の存在がばれたことにクスクスと嬉しそうに笑う。そんな彼女を見て悪女だなぁと思う。


「それにしても.....貴方も隅に置けない男ね」

「隅に置けないってどうゆうことだよ」

「そんな感じだからあんな目にあうのよ?」

「って言われましても......」


あんな目に会えば誰であろうと冷静な判断を下せるわけがない。冷静沈着な奴だろうと絶対に下せないと断言できる。だから俺だけではないさ。

そう言っていると何処から取り出したかわからない時計を彼女は見せながら言った。


「そろそろ時間じゃないの?」

「時間?ああ、そうだな。あいつら呼んでくるか」


中に戻る時、紫の顔が少し笑ってた気がするけど気のせいか?

襖を開けると目の前に広がる光景は言葉を失うレベルに荒れた部屋と酔いつぶれた酔っ払い達であった。どうすればここまで荒れるんだよ。

変に感心しているとめんどくさい酔っ払いに捕まった。


「アルマだぁ!飲んでる〜?」

「魔理沙......お前飲み過ぎだ」


酒臭さが半端ない彼女を引き剥がそうとするが、さらに後ろから抱きつく酔っ払いがいた。


「アルマァ!どこ行ってたんですかぁ!私から離れちゃダメですぅ」

「お前もかよ!!てか離れろ!!」


妖夢ですらこの始末......誰か生存者はいないのか?と言うか離れてくれ!他の酔っ払いも這い寄って来て、もはやホラー映画になってるから!

必死に酔っ払い共を引き剥がすこと数分、救世主が俺の前に現れたのだった。


「すいません、遅れてしーーー何事ですかこれは?」


用事で遅れてしまった咲夜が惨状に驚きつつ、目の前でB級ホラーの撮影でもしているのか疑える状態のアルマを救出した。


「た、助かった......

「なぜ全員が酔ってるのですか?」


そういえばそうだ。なんでみんな酔ってるんだ?霊夢や魔理沙はともかく、あの妖夢ですら酔っ払いと化している。しかも、やけ酒でもしたレベル。


「あなたもわからないんですか」

「俺は外に避難してたからよくわからん」

「そうだったんですか、それよりもどうやって皆さんを起こしましょうか」


そのことについては大丈夫だ。簡単すぎて鼻血が出るレベルだ。

そのことを伝えると疑ったように驚く咲夜さん、そんなに驚くことですか?


「だって酔ってる人たちなんですよ?」

「生き物が酔う理由って言うのは理性を保つ、いわゆる意識が緩くなった状態なんだ。だから俺の能力で緩んだ意識を元に戻すんだ」

「そんなことできるんですか?」

「ああ、ちょちょいのちょいだ」


パチン!と指を鳴らすと酔っ払い達の動きが一瞬止まり、ヨレヨレだった動きが無くなり普通の状態となった。意識がしっかりしたが、緩んでいた時の記憶が曖昧となっている者と酒のせいで頭痛が起きる者が現れ始めた。

まあ、これで全員の意識がはっきりしただろ俺は自分の能力で酔いにくいから楽なもんだ。


「おいお前ら、もうちょいで年明けるぞ!」

「ほんとだ、あれ?アルマいつの間にいたんだぜ?」

「気にするな。さて、初日の出にーーー」

「結局......アルマと添い寝するの誰になったの?」


俺が喋っている途中でチルノが聞き捨てならないことを言った、おい誰が誰と添い寝するって?いや、それ以前に何かってに決めてんだよこいつら!


「はぁぁ!?」

『そうだった忘れてた』

「お前ら勝手になにやってんだよ!!」


俺の怒りを無視して射命丸がある提案をした。


「アルマさんがいるんですし、本人に聞きましょうよ」

「無視すんなって.....え?」

「それがいいわ。じゃあアルマ、この中で添い寝を誰としたい?」


こいつらは何を勝手なことばかり言っているんだ。本人の許可なく添い寝をする人間を決めないでいただきたい、それ以前に一番腹立たしいのが満更でもない俺がいることだよ!!

いろいろな葛藤をしていると魔理沙が急かすように問いただした。


「さぁ!誰と添い寝したいんだぜ?」

「拒否権なしか!?」

「いいじゃない、女の子と添い寝なんてそうそうできることじゃないでしょ?」


霊夢よ、そう言うがな俺は魔理沙と一回添い寝しているんだぞ。彼女の家に泊まらせてもらってる時点で結構な回数添い寝してますからね?しかし、そんな俺の意思を無視するように彼女らは主張を始める。


「お兄様はフランとだよね?」

「魔王様私と添い寝しましょうよ!」

「ぜ、全員交代で添い寝したら問題ないんじゃないかなぁ......なんて」


適当に言った意見に皆が一斉に声を発した。


『それだ』

「アルマにしてはいい考えね」

「じゃあ、添い寝する順番を決めましょうか」


口は災いの元とはよく言ったものだ......

俺はそのことわざを深く胸に刻み込むとともに年が明けたことに気づいたのであった。


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