《新居にはベッドが一つ》
『神社に置けない』
そう霊夢に言われ、放心状態になりかけてしまいそうだった。
ここに住めないとなれば《家がない》つまりホームレス。
俺の脳裏にその単語が流れると共に叫んだ。
「なんでじゃぁぁ!!」
「神社に魔族を置いとけるわけがないでしょ!ましてや魔王なんか住んだ日には参拝者が減るわ!」
「本音が酷すぎるぜ」
「俺どこに住めばいいんだよ!」
俺は、もうどうすればいいんだ。
住む家が無くても生きていけるんだろうけど、流石に変なストレスが溜まっていきそうで嫌だ。
魔界に住みながらって考えもあるが遠い!遠すぎる!!故に幻想郷に家がないとまじで困るんです。
なんとも言えない怒りと絶望でたぶん俺は発狂している。
「な、なんかアルマが壊れた」
「可哀想ですけど。神社に魔族がいるとなるとなにがあるか...」
「でも家が......」
魔理沙が心配そうに言うと霊夢がさりげない提案をした。
「あんたの家に連れて行けばいいじゃない」
「え?」
魔理沙の家?
そうだ。魔理沙の家があるじゃないか。
あの本だらけで散らかって足場もない家が!魔理沙に期待の視線を送る。
「いやいや!私の家はダメだぜ!!第一、人が住めるような家じゃないぜ!?」
『人じゃないし』
「そうゆう意味じゃなぁぁぁい!!」
何が何でも断る魔理沙になんとかお願いする。
「魔理沙.......だめか?」
「だ、ダメってわけじゃないけど...」
「じゃあ決まりね」
「え!ま、待つぜ!まだいいって言ってない!」
「当の本人は喜びまくってるわよ?」
霊夢の指が指す方には大喜びで跳ね回る魔王の姿だった。
「うう.....わかったぜ....」
結局、魔理沙が諦めて住まわせてくれることに。
本当にありがたいです。魔理沙様ありがとうございます。
さあ、俺の新たな家に行こうじゃないか。
△▼△
魔法の森の魔理沙の家の前に来たんだけど、なんか外で待ってろって言われた。さっきから中でなにやってんだ?
「ああ!」とか「もう!!」とかって声は聞こえんだけどな。
「はぁ....はぁ.....入っていいぜ....」
「何すればそこまで息切れるんだよ」
「か、片付け.....」
「片付けで何があった!?」
まあ、許可をもらったので入らせてもらう。
中に入ってみると前にはあんなに積み重なっていた本の山が消え足元に散らかっていた物などが無くなりスッキリしています。
前よりは綺麗になったけどそれでも少し本が散乱してる。
「お前絶対捨てることできないタイプだろ?」
「だ、だって!勿体無いぜ!」
「貧乏性だなお前も。まあ住める場所をもらえるだけましか」
「そ、そうだぜ!感謝しーーー」
魔理沙が喋っていると腹の虫が家の中に響き渡った。
音はもちろん魔理沙から発せられた。
あーこれはね。うん。もうそんな時間だもんね。
仕方ないよ。魔理沙だって一人の人間だ。気にはしない。
「飯食うか」
「うん......」
やばい。恥ずかしがる魔理沙めっちゃかわいい。
あれ、よく考えたら俺、魔理沙と二人っきりって初めてじゃね?
しかも、これから住んでる間ずっと......どうしよう。
なんか、意識したらすっげぇ恥ずかしくなってきた。
恥ずかしさを紛らわすために自分が料理を作らせていただきました。
できた料理をテーブルに並べていると魔理沙にびっくりされた。
あのな?俺だって飯作れんぞ?嗜み程度。
「それでもなんか負けた感が凄いぜ.....」
「魔理沙飯作れないのか?」
「ちょ、ちょっとはできる.....」
作れない人や苦手な人の典型的なセリフだな。
まあ、魔理沙って魔法の研究ばっかで料理できなそうだもんな。
「これから住まわせてもらうわけだし、教えれる範囲でなら教えるぞ?」
「ほんとか!!」
近い近い近い!顔近い!!
喜んでくれるのは嬉しいが顔をもうちょっと、離して欲しいな。
仮にも君は女の子なんだから。
△▼△
夕食も残さず食べてもらいお褒めにあずかれたのでちょっと嬉しい。
作った本人としては美味しそうに食べてくれる人の姿を見るのは嬉しいもんだ。
さて、今日は色々とあったわけで体は疲れ切っています。
「今日はもう寝よう......寝る場所は?」
「ベットが一つ」
ベッドが一つって、俺たちは二人いるのにどうやって寝るんだよ。
まさか、添い寝でもしようってか?
ふざけてるんですか?
「真面目だぜ?私と添い寝は嫌かぜ?」
「そ、そういうわけじゃ......」
「しの後の言わず......ベッドに寝ろ!!」
マジかよ。
俺女の子となんて、寝たことないから恥ずかしいんだけど。
なんか、やましい事を無意識に考えてしまいそうだ。
この感情消しとこうかな。