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東方魔人黙示録  作者: 怠惰のあるま
混沌に集いし、強者共
168/204

強欲の手と傲慢の余裕

遅れて申し訳ありませんでした!!




「あひゃひゃひゃひゃ!!」


狂ったように笑い攻撃を避けているのは終始終作。襲い来る弾幕をおちょくるようにギリギリで全て避けきっていた。


「腹が立つ男ね...!!」


朝霞悠飛はギリギリと歯ぎしりをする。

攻撃を仕掛けてはこないもののずっとこちらをおちょくる終作に怒りを覚えたようだ。


「それには同感ね」


背後に回っていた安倍 桜は自分の得物であるソードブレイカーを振り下ろすが、簡単に防がれてしまう。

一旦距離を取るために桜は背後に飛びのく。その横には楽しそうに笑う終作がいた。気のせいか服装も全体的に変わり黒と赤を基調とした色となっていた。


「うひひひ...! どうする桜ちゃん。なかなかの強敵だけど?」

「その笑い方やめてくれない? まあ、じっくりと見させてもらったわ。そろそろ反撃ってところかしら」

「囮になった俺を褒めてくれてもいいんだよ」

「絶対に嫌よ」


終作の言葉を拒否し詠唱を始める桜。それに対し終作はいつも通りニヤニヤと笑いながら敵を見据えた。

その直後、先程まで距離が離れていた悠飛が目の前に現れるとともに拳を振り抜いていた。突然の攻撃であったために反応が遅れ終作の脇腹に右ストレートがめり込んだ。

メキメキ...! と生々しい音が桜の耳にまで届き、終作はばたりと倒れた。


「終作!! 」

「結構、手を抜いたつもりだけどいい感じに入っちゃったわね」


桜は詠唱をやめ、ソードブレイカーを握ろうとしたがそれを誰かの手が止めた。


「ダメだぞ桜ちゃん詠唱をやめちゃ」


止めたのは無傷で立ち上がる終作であった。

それには悠飛も目を見開いたがすぐに冷静になり、次の一手を与えた。


「界飛翔・ワールド!」


自分のスピードをフルに活かし終作を翻弄するように動き回る。それには終作も驚くが、すぐに不気味な笑みを浮かべ指を鳴らした。


「全方位「360」」


突如として終作を囲むように弾幕が現れた。一瞬スピードを緩める悠飛だがすぐにスピードを上げて弾幕を斬って飛び交った。

徐々に数を減らしていく弾幕をニヤニヤと見つめる終作は赤と黒を基調とした大鎌を取り出すと背中を守るように動かすと金属がぶつかる音が響く。そこに攻撃がわかっていたのか悠飛の武器と競り合っていた。


「なかなかやるじゃない」

「それほどでも〜」

「けど...私のスピードにはついてこれないみたいだね!!」


ヒュンッ!

風を切る音をたてまたもや目の前から消えた悠飛は先ほどと同じように終作の周りを飛び交った。

口笛を吹きながら余裕ぶっている終作だったが自分の体に異変を覚える。動きが鈍い。まるで空気が張り付いているかのようにゆっくりと動いているのだ。対照的に悠飛はさらにスピードが上がっていた。

ゆっくりと首を傾げ、もう一度自分の周りに弾幕を作り出した。だが今度は一瞬にして全ての弾幕が斬られ消滅。


「あっれれ〜?」

「とどめだ...!」


一瞬で背後に回った悠飛は終作の首に向け剣を振った。しかし、剣が終作に触れる前に不可解な現象が起こった。目の前から終作が消えた。だが、ただ消えたわけではない。いつの間にか剣を構え直し、すぐ横に移動していた終作に構えていた。

悠飛は集中し、高速で思考をしていた。速度は自身の能力で元の100分の1まで下げていた。逆に自分自身の速度は元の100倍。差は1万倍。避けれるはずがない。じゃあ、なぜ避けていたのか。そこで不可解な現象のことを考える。悠飛が剣を振った直後に自分は攻撃を終えていた(・・・・・)そう終えていた(・・・・・)のだ。

つまりは悠飛の攻撃が始まった直後から終えるまでの過程が消し飛んでいた。


「何をしたの?」

「気になる? 気になる? なら教えてしんぜよう。俺が結果だけを反映させた。俺が君の攻撃を避けたという結果をな」

「へぇ...じゃあこれはどうかな? 天飛翔・星之勾玉!」


異常な力を込められた勾玉が大量に出現。そばにあった岩に触れた途端、小さなクレーターが生まれた。

勾玉はゆったりと終作に近づく。


「高威力! けど俺には関係ないな!」


パチン! と指を鳴らすと勾玉が全て消え去っていた。


「勾玉が全て爆発し消滅したという結果を反映」

「あなた面倒ね...止まりなよ!」


カチッ!

時計の針が止まる音が聞こえた。

終作は完全に止まっていた。死んだように動かない。だが、死んではいない。まるでこの世の時の流れから除外されたように...

勝ち誇ったように笑みを零す悠飛は天現渡剣を構えた。


「最初からこうすればよかったね! さぁて...その命を貰うよ...!」


終作に向け悠飛は天現渡剣を振った。

首元へ迫る刃があと数センチというところで止まった。攻撃を止められたことに悠飛はキッ! と止めた本人である桜を睨んだ。


「邪魔しないでよ! 私はこいつの命が欲しいのよ!!」

「こんな男の命なんて手に入れるほど良いものじゃないわよ?」

「うるさい! 欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい!!」


狂ったように同じ言葉を叫ぶ悠飛。

気のせいか叫ぶ毎に彼女の翼が蒼炎に包まれていく。

いや、気のせいではなかった。彼女の強欲の感情に反応するように蒼炎が翼を完全に覆い、両手から蒼炎の爪を生やした。

メラメラと燃え上がるのは感情の炎である強欲の蒼炎。


「スベテ...ガァ......ホシ...いぃィィィぃぃ!!」

「正気を失いかけてるわね。終作いつまで演技してるの?」

「バレちゃったか。さっすが桜ちゃ〜ん!」

「...癪だけどあんたのおかげで終えれたわ。少しぐらいは感謝してあげる」


ズズゥン...という音がいろんなところから聞こえた。まるで何か巨大な壁が築かれたように。


「準備は出来たわ。反撃しましょう」

「グヒヒヒヒ! これで本気を出せるってもんだぜ!!」


ゆらゆらと幽鬼の如く迫る悠飛。

終作は狂気の笑みを浮かべ次元の狭間(・・・・・)へ移動した。

姿は見えないが終作の笑い声だけが周囲に響いていた。


「いやぁ...落ち着くねぇ...」

「気持ち悪い笑い声を出してないでさっさと反撃するわよ」

「ほいほ〜い! 反射 乱反射ダイアモンド!」

「神羅 知を貪るもの!」


次元の狭間からひょっこりと頭を出しながらポケットから取り出したダイアモンドをいくつかポイっと投げた。

それに対し、桜は終作のダイアモンドに向け両手を構えた。バチバチと青いイナズマが桜の手の中で放電。威力を高め放出させた。その威力は、もはやレールガン。

桜のレーザーがダイアモンドに触れると不規則に反射。同じように他のダイアモンドにも乱反射。反射しあったレーザーは一つの結界と化す。


「我ながらおっそろしいね〜」

「あまり効果はなさそうだけど」


不規則に反射するレーザーを悠飛は淡々とかわしていた。しかも、強欲の蒼炎が全身を包み込みそうになっていた。


「感情の炎に包まれつつあるな。感情解放ってあんなもんだったっけ?」

「それほど感情解放というのは自身の身体に支障を来すってことじゃない? 自分の感情を解放して理性を保てる生き物がいるとも思えない」

「それを平然と使うアルマは流石というべきか」

「そうかもね。さて、無駄話は終わり。ケリをつけましょう」


終作は次元の狭間から不気味に悠飛を見つめ、桜はソードブレイカーを彼女に向けた。

もはや言葉を発することも出来ぬほどに強欲に理性を奪われた悠飛は獣の如く唸り声を上げていた。その姿はもはや強欲の獣。

悠飛は蒼炎によって生成された爪で二人に切りかかった。終作は狭間に逃げ込み、桜は何重にも結界を張り防御する。しかし、悠飛が結界に触れた途端、桜を守っていた結界が消えた。悠飛の手には桜が張ったであろう結界が握られていた。


「嘘でしょ...!?」


一瞬の隙が生まれた桜に悠飛は爪を振り下ろした。


「その爪を貰おう」


だが、振り下ろす前に悠飛から爪が消え去った。爪が無くなり攻撃が当たることはなく爪のない手が空を切る。

悠飛は本能的に自分の爪を奪ったであろう人物を唸り声を上げて睨む。

始強となっていた終作の手には先ほど悠飛に生えていた爪と同じような蒼炎の爪が生えていた。しかし、蒼炎の爪を奪ったはいいが終作も悠飛同様ゆっくりと蒼炎に侵食され始めた。


「うぐっ...これは意識が遠のきそうだ...!」

「だ、大丈夫なの?」


珍しく心配そうな表情を見せる桜に終作は意識を保つように首を振り、笑顔を見せた。


「今のところは大丈夫だが...さっさとケリをつけた方が良さそうだ...!!」


唸り声を上げて自分の得物を振り回す悠飛。もはや完全に理性は失われていた。自暴自棄の如く暴れる悠飛に終作は蒼炎に包まれた右手を向けた。


「イノチ....ヨコセェェェエェェ!!」

「なら俺は...その感情を貰おう」


ギュッ! と向けていた手を握ると悠飛は頭を押さえ苦しんだ。小さく呻き声を上げると自身の体を包み込んでいた強欲の蒼炎が消え去った。

強欲の縛りが無くなった悠飛はその場に倒れ伏した。


「勝った...の?」

「そうだね〜...ふぅ...」


奪った強欲の蒼炎を終作は握り潰し鎮火した。


「さぁてと...この子も俺が強欲を抜き取ったから洗脳は解けたはずだ。あとはみんなと合流するだけ」

「すぐに術式の展開を始める。あんたは休んでなさい.........が、頑張ったんだからね」

「ん? ん? なになに? もう一回言ってくれないかな〜!」

「うるさい!!」


その後、桜の弾幕を受けた終作は回復するまで動けなかったそうだ。









△▼△









ここでは花火のような弾幕が何度も打ち上げられていた。


「くっらえ〜!」

「だから闇雲に撃つなって言ってるだろ!?」


先ほどから花火を打ち上げているのは九十九神である鍵野玉木。どれだけ避けられようと、周りに甚大な被害が出ようとも闇雲に打ち続けていた。

それに対し声を荒げているのは白谷磔。ほぼ被害にあっているのは彼だ。闇雲に打っているはずの玉木の花火がほとんど命中しているのだ。もはや、意図的にやっていると思われても仕方がないほどに。


「もういっちょ〜!」

「だ〜か〜ら〜!! なんで俺に飛んでくるんだよ!?」

「...あなた達、何をしてるの?」


そんな二人を呆れた様子で見ていたのはナイフを手に戦っている火御利であった。今もナイフで敵を応戦している模様


「俺は悪くない! どうみても玉木が悪い!」

「私だって的に向かって撃ってるだけだい!!」

「おい今、的って言ったか?」


漫才かのように言い合いをする二人に呆れる火御利。そんな三人を見下すように傲慢の九尾 安倍千代春は不敵に笑う。


「余裕ぶりやがって...! すぐにその笑みを消してやるよ! 縮地!」


磔は超技術の一つである縮地を使い千代春との距離を一気に詰め、真桜蒼剣・改を構えた。それを容易にかわし磔に向けてお札を飛ばした。

ペタリと張り付いたお札は爆という文字が浮かび上がった。とっさに危機を感じた磔はお札を剥がそうとしたが、千代春が指で陣を組むと張り付いたお札が爆発した。


「ぐあっ!?」


ギリギリでお札を剥がすことができたが距離を取ることができず爆発に巻き込まれた。多少の火傷で済んだがお札が張り付いたまま爆発していたかと思うと...磔は軽い寒気を覚えた。


「ほぉう。反応が良いのぅ...今のでお主は死んだと思うたが」

「悪いがそこまでヤワじゃ無いんでね」

「そうか。なら、これはどうじゃ?」


ブツブツと何かを唱えると磔たちの周りの風景が一変した。

先ほどまでいた場所とは一転、マグマが煮え滾れる溶岩地帯に移り変わった。

幻術の一種かと思われたが気温が急激に上がったことから幻術ではなく現実であることが理解される。


「あ、あっついよ!!」

「瞬時に風景が変わった...? まるで想起の能力みたい...」

「どうじゃ? 私の力を持ってすれば簡単に世界の一部を作り変えることも容易じゃ」

「だからどうした! これぐらいじゃあ俺たちがお前に勝てない理由にはならないぜ!」

「ふむ。なら...これはどうじゃ?」


千代春は先ほどと同じようにブツブツと小さく呟いた。


「また作り変える気か! これ以上アルマの世界を弄らせるか!!」

「待って磔! 不用意に近づいたら!!」


火御利の制止を聞かず磔は詠唱に集中している千代春に斬りかかると同時に千代春の詠唱が完了した。


「九十九 世界九化」


パァン! と千代春が手を鳴らすと世界から重力が消えた。

急激な重力変化に戸惑う磔にペタリと先ほどと同じお札が貼られた。そして、千代春が指で陣を切った。

今度は衝と言う文字が浮かぶとお札から衝撃が発生。磔は後ろに吹き飛ばされた。


「磔!」

「すごい吹き飛んだのう。重力が無いせいか? まあ良いか。さて、次はお主らじゃ」

「く、喰らえ! 火符 火炎童の火祭り!!」


袖から合計八本の手持ち花火を取り出し点火。勢いよく噴き出す炎から大量の弾幕が発生した。それを振り回し、千代春に攻撃をする。

目の前を埋めるほどの弾幕が迫る中、今も余裕の表情で千代春は立っていた。


「無駄じゃ」


指で陣を組むと目の前に透明な壁が現れ、玉木の弾幕を全て受け切った。透明な壁は傷一つ無かった。


「う、嘘...? 私の攻撃で傷一つ無いの!?」

「そんな遊び道具で私が殺られるわけないじゃろう? ほれ王手じゃ」


パチンッ!

その音を合図に気付かぬうちに玉木の足元に仕掛けられていたお札に凍の文字が浮かんだ。お札から発生した冷気により玉木は一瞬で凍りついた。


「あとはお主だけじゃ。降伏すれば楽に死ねるぞ?」

「すると思ってるの...?」

「じゃろうな。生意気にもまだ勝てると思ってる様じゃしのう」

「あなたこそ勝った気でいるみたいだけど。そう簡単には殺られないわよ」

「戯言を...お主が私に勝てるわけなかろう!!」


傲慢故に見下していた者から自分の力を弱く見られた千代春は怒り叫んだ。彼女の尻尾に金色に燃える炎が灯った。

お札を両手に持ち火御利の周りにバラまいた。札にはバラバラに字が書かれ爆や衝。凍、雷など多種の文字が浮かんでいた。


「これでも勝機はあるか!?」

「霊符 闘弾隼」


火御利は自分の周りに弾幕を出現させ、ばらまかれたお札を撃ち落とした。そして、千代春に接近。ナイフを振り下ろす。

だが、寸でのところで千代春の尻尾に防がれてしまった。


「無駄じゃ無駄じゃ!! 私に敵うわけがなかろう!!」

「さっきの言葉。勘違いしてるみたいだけど、簡単に殺られないっていうのは私のことじゃないわよ?」

「何を言ってーーーーーーっ!?」


千代春は背後に迫っていた殺気に気付けなかった。気づいた時にはもう既に避けることも叶わない距離だった。

背後にいた者は千代春に背中に向け拳を振り抜いていた。


「連符 ネイルシュート!」


千代春に吹き飛ばされた磔は気配を消しながら背後に回り縮地によって高速接近していた。それに気づいた火御利は自分に矛先を向けさせ怒りによって冷静さを欠けさせるように煽っていたのだ。

攻撃を受けた千代春だがすぐに踏ん張り立て直そうとするが少し遅れて磔に殴られた所に殴打を食らった。

それは何十回も続いて止まった。


「だいたい70連位かな? どうだ。効いただろ」

「ぐっ...! この....ガキドモメェェェェ!!」


千代春の尻尾で燃えていた炎が一気に侵食し彼女の全身を包み込んだ。金色に淡く燃え上がる感情の炎に飲み込まれた。傲慢の幽鬼が立っていた。

その目に映るもの全て見下しているかのように冷たい金色の瞳であった。


「お、おいおい...これって感情解放か?」

「そうみたいね。でも、アルマと違って全身が炎で覆われてる...まるで制御できていない」

「我は...私は....ワラわ...はァァぁ!! コンナ炎にィィ!! 操られルカァぁ!!」


咆哮にも似た叫びが辺りに響いた。途端に磔と火御利の体が意思とは関係なく跪こうとしていた。


「クソッ! 体が勝手に...!」

「私の...前では! なんびトタリともアラがってはならんのじゃぁぁ!!」


まともに動けない二人に千代春は妖術で作り出した金色に燃える炎弾を放った。


「くっ! 斬符 命切舞遠間!」

「防げるか...!? 肉鎧!」


火御利はナイフで疾風を巻き起こし、さらに十数個の弾幕で相殺を試みる。磔は火御利を庇うように超技術の一つ肉鎧で全身を硬化させた。


「無駄じゃ無駄じゃ無駄じゃ無駄じゃ無駄じゃ!!」


ダメだしを与えるかのように千代春は炎弾を増加。その数、ざっと数百強。

この数は防ぐことは不可能。どう考えても絶望的だった。


「さあ! 死ぬが良い!!」


どうにか相殺を試みる二人であったが傲慢の力により完全に体が跪いてしまった。もはや、諦めかけたその時。パァぁ....んと花火が打ち上がった。

空高く打ち上がった花火玉は綺麗に咲いた。そして、巨大なしだれ桜となって火花が降り注いだ。

それは強固な火花の壁となり二人を守った。


「火符 爆裂しだれ桜!」


花火を打ち上げたのは先ほどまで凍り付いていた玉木であった。


「玉木! おまえ凍ってなかったか?」

「こんな熱い場所で氷が解けないわけないでしょ! というかなんで跪いてるの?」

「相手の能力よ。あなたはなんで効かないの?」

「たぶん...傲慢に似た何かが千代春より強かったんだろ。アルマの能力は使用者より強い感情を持った相手には聞かないからな」


磔の言う通り、玉木は虚飾の感情が色濃くある。傲慢と虚飾は同じであるため玉木には千代春の傲慢が効かなかった。それが彼女の傲慢の炎に油を注いだ。


「許さない...許さない...許さない...」

「な、なんか私を見てない?」

「私のぉぉ....マエデデシャバルナァァァ!!」


完全に傲慢の炎に飲み込まれた千代春は理性を失い自暴自棄となって妖術やお札をばら撒くように暴れていた。


「自棄になったらこっちの勝ちだ! 解放 ハイパーソウルモード!」


磔はハイパーソウルモードとなり、千代春に接近した。理性を失っても本能的な何かで危機を感じたのか妖術で自身の周りに結界を何重にも張り、迫る磔に炎弾を飛ばして応戦した。

だが、それでも磔は止まらず自身の武器であるアルジェントカーテナをに霊力を込めた。


「終わりだ。絆符 マスターソード!!」


霊力を込めたアルジェントカーテナの刀身は三倍近く長くなり、何重にも張られた結界を中にいた千代春ごと斬り裂いた。

結界は音もなく消え、中にいた千代春を覆っていた傲慢の金炎も消え去った。

千代春はその場に倒れ込み気絶した。


「お、おわったの?」

「そう...みたいね。感情の炎も消えてるみたいだし、千代春も解放されたんじゃないかしら?」

「ああ、結界と一緒に感情も斬ったから洗脳も解けただろ。さて、少し休憩してからみんなと合流しよう」


磔が地面に座り込むと同時に次元が揺れた。


「な、なんだ!?」

「地震...いや! この次元が揺れてる!?」

「あ、あわわわ...!」


数秒、次元が揺れ続け少しずつ揺れが弱まっていき収まった。

突然の異変に戸惑う三人であったがその数分後に終作と桜、祭とリティアと合流し次元の壁が一時的に復活したのを知った。


「じゃあ、今の揺れは桜が次元の壁を再生させたんだな?」

「そうゆうこと。これで終作の能力が使えるから皆とも合流できる」

「桜お姉ちゃんすごぉい!」

「そ、そう...? ま、まあこのぐらい簡単にできるわ」


キャッキャッと喜ぶリティアに癒されている桜。

だが、現状はまだ深刻。次元の壁は一時的に治ったにすぎない完全に壁を復活させるにはニャルラトを倒すしかない。


「さぁて...他のみんなと合流しないとな。それにアルマも探さないと」

「その事だが! 俺はアルマを見つけたぜ! さぁ褒めろ!」


終作は威張るかのように胸を張ったが磔に思いっきり殴られた。


「ならさっさと言え!!」

「そ、そんな...頑張って見つけたというのに...!」

「まあまあ落ち着いて。それでアルマはどこにいるの?」


火御利は磔を宥めつつ終作にアルマの居場所を聞いた。すると終作は足元を指差した。


「真下」

「真下!?」

「真下と言っても相当地下深くだ。それと何かと一緒にいる。レベル的に言うとニャルラトと同等かそれ以上」

「そ、そんなのと一緒にいるの!?」

「なら急いだ方がいいんじゃないかしら? アルマって子は能力を奪われてるんでしょう?」


祭が少し心配そうに言うと終作と磔、桜はアッケラカンとした表情で口を揃えて言った。


『大丈夫だろ(でしょ)アルマだし』

「そ、そうなの?」

「まあ居場所が分かってるなら迎えに行くか。現状を知りたいし」

「そうね。終作お願い」

「はいは〜い! んじゃあアルマの所へレッツゴー!」


パチンッ! と指を鳴らし終作達は次元の狭間へと消えた。








△▼△








「万物を欲する強欲と全知全能と騙る傲慢の封印が消えた...あと四つ...」





はい。次回も遅れると思います。

本当に申し訳ありません!

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