七つの罪に操られし者達
お待たせして申し訳ありません...
今回、一番長い回です。分ければいいと思われそうですが...全部まとめたかったんですよね〜(遠い目
さて、コラボ...四話目?五話目?
投稿です!
皆バラバラにされ、別の場所に飛ばされた終始 終作は困惑していた。皆とバラバラにされたからではない。
なら何か? 自身の能力である次元を操る程度の能力が使えないのだ。何度やっても次元の狭間に移動することもできない。これではどこかに飛ばされた仲間と合流することができない。
「なんであんたと一緒の場所に飛ばされるのよ...」
「桜ちゃ〜ん! ちょっと冷たくない〜? 」
「日頃の行いが良ければもうちょっと優しく接してあげるけど?」
「なら無理で〜す!」
「もう...ふざけてる場合じゃないでしょ?」
終作を蔑む安倍 桜に小さくため息をする宇上 祭。どうやら終作と同じ場所に飛ばされたようだ。
「ひとまずここがどこか把握しないとね」
「そのことなんだけど〜なぁんかここ知ってるんだよな〜」
「と、言うと?」
「たぶん一度くらい来たことあるような〜ないような〜」
「ハッキリしなさいよ!」
怒鳴る桜に不気味に微笑む終作。何が起きようと終作は自分のペースを崩さない。だが、もし崩れるとしたら、それは彼ですら想定外のことが起きる時だ。
「あ〜! 桜お姉ちゃんだ!」
『!!』
その声が聞こえたことに三人は驚いていた。何故なら巻き込まれているとは思わなかったからだ。いや、近くにはいた。それを忘れていただけだ。
元気で無邪気な声の主は嬉しそうに近づき、抱きついた。
「お姉ちゃん! ここどこ?」
「な、なんであなたがここにいるのリティア!?」
「なんかイラと遊んでたら急に穴の中に巻き込まれて気づいたらここだった!」
「じゃ、じゃあイラも誰かと一緒ってことになる...」
「これは急いだ方がいいわね」
「そうね...終作! みんなの場所に移動できる?」
桜の問いかけに申し訳なさそうに笑い、両手を合わせて謝罪の念を込める。
「悪いけど能力が使えないみたいなんだ」
「嘘でしょう...?」
「もしかしたら次元の壁が消えたからじゃないかしら?」
祭の考えに桜は一人考察を始め納得した。
「そうゆうことか...次元の壁を一つの壁と考えていたけど壁ではなく全ての次元そのもの...故に魔王の集会中は次元という概念がない!」
桜の言う通り、次元の壁が消える。すなわち次元そのものが概念ごと消え去るということだ。終作の能力である次元を操る程度の能力は次元があってこその能力だ。
次元がない今、彼らには最強の移動手段がなくなったということだ。
「今はみんなの気配がある方に進むしかない」
「そうね。リティア私たちから離れちゃダメよ」
「うん! わかった!」
「それじゃあ行きましょうか」
「そう簡単に行かせないよ〜!」
何処からともなく明るい声が聞こえ、四人の前に謎の人物が強風を起こしながら舞い降りたのは天狗特有の装束を纏い。天狗の顔を模した仮面を頭の横に身に付け。黒い大きな翼を生やしたとても可憐な少女であった。
「あなた...何者よ...」
四人を前にしてニコニコと可愛い笑顔を見せる少女であるが、彼女から溢れる妖力は隠しきれておらずリティア以外の三人は後ずさりをする。
「私? 朝霞 悠飛だよ! よろしくね〜!」
「よろしく。それで、簡単には行かせないってどうゆうことかしら?」
「そのままの意味だよ? ニャルラトホテプ様に逆らう者は容赦しない」
可憐な笑顔であった悠飛から笑顔が消え、青く染まった瞳で四人を見つめ、自分の武器である天現渡剣を構えた。
いつもの余裕は無く真剣な面持ちで終作は目の前の敵を見据えた。
「ニャルラトホテプの刺客か。どうする? 桜ちゃん、祭ちゃん?」
「私とあんたで戦うわよ。祭様はリティアをお願い」
「わかった。行きましょうリティアちゃん」
「う、うん...」
祭はリティアの手を引き、その場から離れた。
「ふふふ....あなた達の命が欲しい...」
「強欲に飲まれてるな...」
「これもアルマの能力のせいね。どうやら、自我を失ってるところをニャルラトホテプに操られたみたい」
「なら正気に戻してあげないとな!」
「ええ、行くわよ」
強欲に塗れし流星の偶像天魔 朝霞悠飛
対
強欲の始祖神 終始終作 &
千変万化の術師 安倍桜
△▼△
幻真は急いでいた。一刻も早くアルマを助けるべく。その後を追うように佐藤快が追いかける。だが、二人の前に立ちはだかる者が現れた。
彼らの進行先に弾幕が撃たれる。急ブレーキをかけ、足を止める幻真と快。
「誰だ!」
「今のを避けられるとは思いませんでした」
二人の前に現れたのは銀の髪に右側に赤いメッシュ、左側には青いメッシュの髪を持つ短髪の女性。姿は何処と無く妖夢に似ていた。
「よ、妖夢!? いや...少し違うか」
「はい。私は魂魄 妖緋。妖夢は私の母です」
「べ、別世界の妖夢の娘ってことか...?」
「そうなりますね。さて、私お腹が空いて仕方がありません。なのであなた達の魂をいただきたいのですが?」
その言葉に快は戦闘体制に入るが幻真は別世界とはいえ、妖夢の娘であり彼女に似ている妖緋に戸惑いを覚えていた。
だが、その一瞬の迷いが死を呼ぶ。
幻真達の間合いをたったの一蹴りで詰め、神王剣・ケラウノスを抜き幻真の首へ切り掛かった。
油断をしていた幻真は反応が遅れていた。気づいた時にはもう妖緋の刀がギリギリまで迫っていた。
妖緋の一閃が幻真に放たれた。
「あ、あぶねぇ...」
が、寸でのところで快の判断力のおかげで妖緋の一閃をかわした。
快は幻真の膝の内側に蹴りを放った。その蹴りのおかげで膝カックンの要領で幻真は後ろに仰け反り一閃は鼻の先を掠るだけに済んだのだ。
「わ、わりぃ快...助かった...!」
「油断しないでくださいよ。例え妖夢さんの親族だったとしても目の前の人は今は敵。情を持ったら負けますよ...」
「わかってる...わかってるけどよ...!」
快の言葉はもっともだがそれでも幻真は自分の愛する人の親族を傷つけることはできそうになかった。
「あなた達を喰らえばニャルラトホテプ様の邪魔する者も減る。私も満たされる。一石二鳥というものですね」
妖緋の瞳は紫色に染まっていた。
「どうやら僕たちを排除するように操られてるのかな...?」
「まさか...アルマの能力か?」
「可能性はあるかと...」
「なら...目覚めさせてやろうぜ!!」
そう言い、幻真は真神剣を握り妖緋に迷いの無い目を向ける。
「とりあえず気絶させれば大丈夫だろ!」
「そ、そんな簡単に解けるものかな...?」
「とにかく行動不能にするのが一番だ。行くぞ快!」
「は、はい!」
暴食に溺れし混沌の剣聖 魂魄妖緋
対
龍を操りし者 幻真 &
暴食を秘めし人間 佐藤快
△▼△
ファラクとアマオは困っていた。全く初めての世界に呼ばれたと思えば、ろくな説明も聞けずにバラバラにされ、挙句の果てには...
「ねぇねぇ! 遊ぼうよぉ〜!」
リティアと同じく飛ばされてしまったイラが彼ら二人と同じ場所にいるのだ。
面識のまるで無い赤の他人の子供の世話をついでにしなければいけないようだ。
「なぜ我がこのような目に...」
「まあ何事も経験だと思うぞ。それよりも今は橋姫達と合流せねば」
「そうだな。小僧行くぞ」
「小僧じゃないよ! 僕はイラだよ!!」
「じゃあイラ。皆と合流するぞ」
「うんわかった!」
アマオの言う事を素直に聞いたイラはファラクに近づくと背中の上に乗った。
その行動にファラクは首を傾げ、イラに喋りかけた。
「なぜ我輩の背に乗る?」
「楽しそうだったから! ダメ...?」
「ふむ...まあよかろう。ただし落ちるでないぞ?」
「わぁい!」
「もういいか? それでは行こうか」
先導するように先頭を歩くアマオ。だが、数歩進んだと思えばピタリと歩みを止めた。そして、腕組みをする。
「戻ろうにも方角がわからん」
「確かにここの場所も我輩らは知らぬからな。とりあえず橋姫の気配がする方に向かうとしよう。我輩が先頭しよう。こっちだ」
「悪いがお願いする」
「ドラゴンさんゴーゴー!」
「全く肝の座った子だな...」
こんな状況でも元気に笑うイラに二人は呆れつつも励ましにもなった。だが、そんな三人の前に刺客が現れた。
前方からゆっくりと進んでくる者がいた。それに気づいたのはファラク。ピクッと体を震わすとこちらに近づく者の方を見据えた。
「どうかしたか?」
「何か強き者が近づいている...かなり強いぞ...」
ファラクの言葉にアマオは武器を手に取りいつでも戦えるように構えた。イラも何かを感じたらしく二人の目線の先を見つめた。
ゆっくり、ゆっくりと近づいてくる強者の姿が見え始めた。
細身であるが頑丈そうな体を持ち、額からは大きなツノが生えた女性であった。これだけで彼女が鬼だとわかった。しかし、彼女の瞳は赤く染まり、どう見ても正気ではなかった。
「貴様...何者だ」
「オレはァ....鬼神...破月...てめぇらをぶっ殺しに...きたァ!!」
「ということは敵だな。倒すぞファラク」
憤魔剣を取り出したアマオは破月に剣先を向ける。ファラクもブレスをいつでも出せるように炎を溜めていた。そんな二人にイラは大声で叫んだ。
「だめぇ!! この人は倒しちゃだめぇ!!」
耳元で叫ばれたファラクは一瞬、クラッとした。アマオは突然の声にビクッとし、イラに大声を出した理由を聞いた。
「ど、どうしたのだイラ」
「この人は悪い人じゃないよ!! 感情に飲まれてるだけ!!」
「感情に...?」
イラの言う通り、鬼神破月は憤怒の感情に飲み込まれていた。原因はやはりアルマの能力を得たニャルラトホテプ。元々、憤怒の感情が強い彼女を能力で更に昂らせ理性を失った隙に洗脳したのだろう。
「殺す...コロスゥ...!!ニャルラトホテプ様の邪魔をするてめぇらを殺すぅ!!」
「どうやら刺客のようだぞ。だが、イラの言う事が正しければ破月という女は操られている可能性がある」
「ふむ...なら止めるしかないな橋姫の子よ。少し離れておれ」
その場から離れるように促すファラクであったがイラは離れるどころか破月の前に立ち地面を踏みしめ大量の武器を作り出した。
「僕がこのお姉さんを止める!!」
「イラ! 全く...仕方ない援護するぞファラク」
「そうするか」
「殺す殺す殺す殺すぅぅ!!」
憤怒に飲まれし破壊と憤怒の鬼神 鬼神破月
対
憤激の武装兵器 桐月イラ &
支えし巨体の龍 ファラク &
魔界を収める魔人 アマオ・クレバリー
△▼△
時龍と絢斗はバラバラにされたが何故か仲良く同じ場所に飛ばされた。そんな彼らの前に金髪の少女が気だるそうに立っていた。
「おっ! 可愛い女の子がいるぞ絢斗!」
「なら行くっきゃないね〜!」
「おまえら女の子を見つけたら抱きつこうとするのやめたほうがいいぞ...」
変態二人の後ろには世界最強の男 博麗霊斗が呆れた表情で立っていた。
「目の前に女の子がいたのなら〜」
「行くしかないだろ!」
「はぁ...おまえらなぁ...」
「おやおや...見たことあると思ったら...久しぶりだね博麗霊斗」
先ほどまで離れたところにいた金髪の少女は気が付けば距離を縮め三人の前に立っていた。だが、霊斗は驚くよりも先に表情が徐々に強張っていく。
「てめぇは...何でここにいる! ルシファー!!」
そう。三人の前に現れた金髪の少女の正体は魔王の集会に出席している筈のルシファー・ドルイギアだった。
霊斗の反応を見てクスクスと小さく笑うと続けて喋り始めた。
「ただ見てるだけじゃつまらないじゃないか。自分も参加する方が楽しいだろう?」
「その言動はてめぇもニャルラトホテプの仲間ってとこか」
「七割正解! 補足すると感情の魔王を嵌めるように仕向けたのは私だ」
三人を嘲笑うようにルシファーは見下す。それを意に介さない霊斗は冷静に彼女の目的を問いただした。
「てめぇらの目的は何だ? アルマを嵌めた理由と繋がるのか?」
嘲笑っていたルシファーは今度は賞賛するように拍手を送った。
「鋭いね。確かに感情の魔王は今回の目的の最大の障害となる存在だ。霊斗。君以上にね」
「霊斗以上に? その様子だと強さってわけでは無さそうだね〜」
「そうだ。強さは関係ない。霊斗ほど強くても今回の私達の目的は止められないのさ」
「ルシファーちゃんにとってアルマって何だ?」
時龍の質問にルシファーはただ嬉しそうに...何かを喜ぶように微笑む。不気味の言葉がよく似合うほどの微笑みであった。絢斗と時龍は軽く寒気を感じた。
「感情の魔王...いやアルマは醜く、酷く、苦しめて殺したい男だ。目的の障害でもあり、私の玩具にしたい存在だ!」
「狂ってるな...」
「何とでも言えばいい! 私は目的を果たす! だから君らも邪魔だ」
「そうか。なら倒すまでだね〜」
刀を抜きルシファーに斬りかかろうとする絢斗。だが、ルシファーがパチンと指を鳴らすと、その斬撃は霊斗によって止められた。その光景にクスクスとルシファーは笑う。彼女が霊斗に何かしたのは一目瞭然であった。
霊斗はブツブツと小さく何かを呟いていた。時龍はよく耳を澄ましてみた。
「霊夢を傷つける奴は許さん...」
と、同じことを何度も呟いていた。何かの暗示のようにも聞こえた。絢斗と時龍は一旦距離を取るとルシファーを守るように霊斗が立ち塞がった。
「何をしたんだ?」
「私の色欲の罪とアルマの能力の結果さ。霊斗には私の姿が博麗霊夢に見えている。その上からアルマの能力で誑かしただけ」
「霊斗ほどの男がそう簡単に幻覚に騙されるわけがないだろ!」
そう叫ぶ時龍にルシファーは残念そうに笑った。
「残念だけど。私の色欲は幻覚じゃない。君たちの愛する者の姿に変わり、本物となりうる。アルマであればあの橋姫だったりな」
「なんで俺達には効いてないんだ?」
「......悔しいが君達二人は私よりも色欲が強いからだ。まあ、霊斗が術中に嵌っただけでも良しとしようか」
「よくわからないけど〜...おまえを倒せばいいってことだろ!!」
超技術の一つ縮地を使い、ルシファーとの距離を瞬時に詰め絢斗は斬りかかった。距離を詰められたルシファーは一瞬驚いたがすぐに不敵に微笑んだ。
「やめた方がいいよ。私は霊斗には霊夢に映ってる。意味はわかるよね?」
「そんな言葉に騙さーーーー」
「あぶねえ絢斗!!」
斬りかかろうとしていた絢斗を横から時龍が押し除けた次の瞬間、二人の間を巨大なレーザーが横切った。間一髪でかわした二人は攻撃を放った世界最強の男を見据えた。
「霊符 夢想霊砲」
「れ、霊斗...」
「霊夢を傷つける奴は絢斗...てめぇでも許さねえぞ...?」
「仲間同士で戦えばいいよ。それじゃあ私はこれで...」
その場から離れようとするルシファーを追いかけようとする絢斗だったが、その前に仁王立ちをし立ちふさがる霊斗は桃色に染まった瞳で二人を睨みつけた。
「行かせねえぞ?」
「...やるしかないね〜」
「ああ...行くぞ絢斗!」
色欲に誑かされし霊王 博麗霊斗
対
眠れる紫神 相沢絢斗 &
色欲の変態野郎 豊秀時龍
△▼△
白谷磔達は戦っていた。
突如として現れた少女 安倍千代春と名乗る九尾が襲いかかってきたのだ。
「何なんだおまえは! 急に襲いかかってきやがって!」
「名乗ったでしょう? 私は安倍千代春って」
「そうゆう意味じゃねえよ!!」
「落ち着いて磔。今は冷静になるべきよ」
磔と同じ場所に飛ばされた火御利が彼を宥める。
「ふむ。私はお主らのような下郎の相手をしてる暇はないのじゃが。ニャルラトホテプ様の為なら仕方ないかの」
「どうやら敵みたいだな...」
「じゃあ! ぶっ放してもいいですよね!」
「玉木...落ち着いて...」
落ち着きのない鍵野玉木にため息を吐き、冷静に金色に染まった瞳で敵を見据える。ユラユラと九本の尻尾を揺らし誘っているようであった。
「どうするの? 急がないとアルマが...」
「わかってる。だが...相手も中々手強そうだ...」
「先手必勝! 爆符 玉木ブラスター!!」
「何やってんだおまえは!?」
唐突に攻撃を開始した玉木は熱線を溜め込んだ花火筒を撃ち放つ。千代春に向けて放たれたが彼女の目の前で真っ二つに裂けた。熱線は横を素通りし、千代春は無傷で立っていた。
「そんなチンケな技でこの私がやられるわけがなかろうに」
「な、何をぉぉ! もう一丁!」
「まてまてまて!! 闇雲に攻撃すんな!」
「はぁぁ...」
暴走する玉木に呆れつつ、磔と共に火御利は玉木を抑え込んだ。
何とか暴れる玉木を抑え込んだ二人は律儀に待っていた千代春に向き直る。
「余裕だな。わざわざ待ってくれるなんてよ」
「何をしようと私が負けるわけないもの」
「さっきから傲慢な奴だな...!」
「だって私は強いもの」
傲慢に聞こえる言葉だが千代春から感じる強さがその言葉が虚飾で無い事を物語っていた。
彼女から漂う妖力はそこらの強者と比べ物にならない。磔でさえ軽く気圧されるほどであった。
「確かに強いな。だがな...俺はこんなところで止まれねぇ! おまえを倒してアルマを助けんだよ!」
「《俺》じゃなくて《俺たち》でしょ?」
「あたし達もいるんだから!」
玉木は自分の本体でもある花火筒を持ち、火御利は両手にナイフを。磔は真桜蒼剣・改を千代春に向けた。それでも傲慢な笑みは消えず不敵に笑う。
「さあ...行くぞ!」
傲慢に汚れし傾国の九尾姫 安倍千代春
対
何事にも動じない傲慢 白谷磔 &
ナイフの使い魔 火御利 &
天真爛漫の花火玉 鍵野玉木
△▼△
誰にでも怒りと言うものは存在する。それが例え、嫉妬心の塊とも言える水橋パルスィだろうと。
彼女から嫉妬以外の感情。憤怒が溢れていた。なぜなら目の前に突然現れたルシファー・ドルイギアがパルスィの怒りを煽ったのだ。
「あんた...今なんて言った...?」
「もう一度言うよ? 君のボーイフレンドは私の玩具となると言ったんだ」
「冗談が過ぎるわよ......?」
怒りに満ちたパルスィの左目からは炎が溢れていた。だが、いつもの緑色の炎ではない。憤怒の色である赤であった。
「感情解放・憤怒」
アルマの技である感情解放・憤怒をパルスィは使用した。攻撃力を底上げし、起爆性を帯びた弾幕や攻撃を行えるようになる。
「へぇ...アルマの技を使えるんだ」
「ずっと一緒に暮らしてたもの。嫌でも覚えるわ」
「そうかい。まあ今の君の相手は私じゃない。頼んだよ刹那」
「はいは〜い!」
ルシファーに呼ばれて現れたのは何処か軍隊のような迷彩柄の服。背中にスナイパーライフル、腰には短剣と二丁の拳銃と兵隊染みた黒髪ショートボブの少女 夕霧刹那であった。
「邪魔よ...!」
怒りに満ちたパルスィには誰が相手であろうと関係はない。片手で巨大な弾幕を作り出すと刹那に向けて放った。音速に域に達するパルスィの弾幕を刹那は背負っていたスナイパーライフルを手に取り狙いを定める。
そして、一発弾幕に向けて弾を撃つと二人の間で弾幕が爆発した。
「ふふん!」
「......妬ましいぃ!」
「パルスィさん! 落ち着いてください!」
「そうよ。冷静さを欠いては倒せる敵も倒せないわ」
「わかってるわよ......!!」
パルスィを宥めるのは磔の娘である綿月春姫とアマオの付き添い人であるシュラシュ・ミュラルト。二人の意見は最もだがパルスィの怒りは収まりそうにない。
憤怒の昂りを感じたルシファーは高揚していた。それが気に食わなかったパルスィは巨大な赤いレーザーを放った。
「おっとっと...! 危ないな。そこまで怒らなくてもいいじゃないか」
「うるさい! アルマを傷付ける奴は八つ裂きにしてやる...!!」
「怒りは収まりそうにないですね...」
「こうなったら補助に徹するしかなさそう。春姫...だったかしらいくわよ」
「はい!」
パルスィの補助をしようとする二人の前に刹那が立ちはだかった。
「あなた達の相手は私だよ...? ニャルラトホテプ様に仇なすあなた達が妬ましい...」
ルシファーに何かをされたのか瞳が緑に染まっていた。
「どうやら...正気じゃないみたい」
「操られてるようですね。シュラシュさんどうしますか?」
「倒すしかないわ。そうすれば正気に戻るかもしれない」
「そうと決まれば...やりますよ!」
春姫とシュラシュは嫉妬に堕ちた刹那と向き合い、それぞれの武器を取り戦闘態勢に入った。
「妬ましい...妬ましい...妬ましいよ...!!」
「はぁぁ...嫉妬に堕ちると酷いものね...」
「パルスィさん! ルシファーは?」
「逃げられた...妬ましい...! だからこいつを倒して居場所を聞き出す! 力を貸しなさい」
「わかりました!」
「いいわよ」
嫉妬に堕ちた科学と幻想の陰陽人形 夕霧刹那
対
地殻の下の嫉妬心 水橋パルスィ &
全てを繋ぐ嫉妬の少女 綿月春姫 &
魔人の付き添い人 シュラシュ・ミュラルト
△▼△
ニャルラトホテプはポツンと何処かの廃墟の椅子に座り高らかに笑っていた。全てが予定通りに進んでいるからであろう。不安要素はたくさんあったが第一の不安要素である桐月アルマを片付け、第二の不安要素である強者達の分担も成功。あとは待つだけ。
だったが、ニャルラトは面倒くさそうに目の前に現れた二人を見つめた。
「私は今、喜びに浸っていたというのに...邪魔しないでほしいね」
「知ったことではないな...」
「まさかこんなに早く元凶と出会うとは思わなかったわ」
ニャルラトの前に現れたのは既に武器を構え戦闘態勢に入った想起と冷徹な目でニャルラトを睨む霊奈であった。
まだ喜びに浸っていたかったニャルラトであったが面倒くさそうに立ち上がった。
「僕ちん戦いたくないけど〜仕方ないか〜八つ裂きにしてやるよ」
「こいつを倒せば全部片付くはずよ。気合い入れなさい」
「わかっている...」
二人の真剣な眼差しを見てニャルラトは笑いを堪えるように口を押さえたが堪え切れずに腹を抱えて笑いだした。
「何がおかしいの!」
「君ら...俺様が元凶だと思ってるの? ぎゃはははは!! 滑稽すぎて笑いが止まらん! ぎゃはははは!!」
「どうゆうことだ...!?」
目から涙を出すほど笑う彼に怒りと不気味さを感じる二人にニャルラトは不意に真剣な表情へと変わった。
「私は傍観者であり協力者。今回の事件は全て堕天の魔王の仕業だ。よって...おいらは元凶じゃないよ〜ん!うひひひひ!!」
「堕天の魔王...まさかルシファー!?」
「正解です! はい! 拍手ぅ〜!」
パチパチと一人大袈裟に拍手するニャルラト。だが、二人の反応がつまらないようですぐにやめた。
ふざけた態度のニャルラトにとうとう怒りが限界を迎えた想起に不気味にニャルラトの瞳が黒く光った。
「おまえが元凶じゃないとしてもだ...!ルシファーの目的ぐらいは知ってるだろう...!?」
「まあね〜! 教えて欲しけりゃ僕に勝ちなよ」
「言われるまでもないわ」
「そのふざけた態度...ぶち壊してやろう...!」
「さぁ...我を楽しませてみろ...?」
怠惰に侵されし這い寄る混沌 ニャルラトホテプ
対
幻想の可憐な巫女 博麗霊奈 &
若き鍛冶職人 想起
今回でやっと全員登場。
さぁ...影の薄い主人公はいつ出るのか...?