寂しがり屋な閻魔様
寅丸を弄り飽きた。
パルスィはまだいじっていたいそうだから、怪我をしないようにぬえに見張ってもらい俺は指名手配されているらしい妖怪を探すこととしよう。
なんとなく、そいつのことが気になってしまった。弱小と呼ばれる種族で幻想郷を掻き乱したなんてすごいと思うだろ?それにもしかしたら理由があってやったことかもしれない、俺は本心が聞きたいんだ。
そんなわけでさとり様地上に来てください。
《嫌です》
一秒もせずに拒否されるとは思わなかったよ。地上の生き物が嫌いだからってそこまで嫌がらなくても......
《それではひとつ【貸し】を作るということでいいでしょうか?》
............背に腹は変えることはできない、わかりましたよ今回は貸し一つでお願いします。
《ふふふ......では、待っててください》
そんじゃあ......ゆったりと地底の入り口に向かうか。
あえて時間をかけるために人里を歩いていると聞き覚えのある声が聞こえた。しかも、説教くさい感じでだ。
声の発生源に近づくと、いつもの格好で悔悟の棒を相手に向けてクドクドと説教を垂れる彼女がいた。
「ーーーですから、あなたはもっと真っ当に生きるべきです」
「は、はい.........わかりました」
「そんぐらいにしてやれよ映姫」
「誰かと思えばあなたですか、こんなところでなにを?」
どちらかと言うとこっちのセリフだ、なんで地獄の閻魔がこんなところで説教を垂れてるんだよ。
「今日は休みです」
「閻魔に休みって.........」
「お仕事にはお休みが必要なものです」
確かにそうだけど閻魔の仕事って休みが一切ないイメージが強い。だって地獄の最高権力者だよ?二人いるけど......けど片方がサボってていいのか?
「サボってません、お休みです」
「お休みに説教を垂れて過ごすとか悲しい休日ですこと」
「う、うるさいです!説教じゃなくてありがたいお言葉です!!そうゆうあなただって堕らけきってるじゃないですか!」
「だから人の生活勝手に見るんじゃねえよ!!」
毎日監視されてるだけで参ってるのに生活指導をされた日にはストレスマッハで死ぬぞ俺。
思ったけど映姫がやってることって犯罪だよな、無断で人のプライベートを覗き見してるんだぜ?立派な犯罪だ。
「罪人を裁く閻魔様がストーカー紛いなことをしていいのかよ?」
「うっ......」
「そんなんで説教を垂れる資格ないと思いますが?」
「う、うぅぅ......だってぇ......」
ちょっと言い過ぎたか?目に涙が溜まってうるうるしてる、罪悪感はあるがたまにこいつ自身を説教しなくちゃいけない気もする。他人のフリして我がフリ直せと言うだろ?
「だってじゃねえだろ、なんか俺の生活を覗く意味でもあるのかよ?」
「だってぇ......だってぇ......アルマ全然会いに来てくれないんだもん............」
「......は?」
もしかして、ただ俺と会えなくて寂しいから姿を見るだけで我慢してたとか、そうゆう理由か?え、えーっと......俺が悪いのか?
確かに俺が会いに行かなかったのも悪いかもしれない......だとしてもダメなものはダメだよ。
「パルスィとばっかりいて......私のことほったらかし......」
「............わかったよ、極力会いに行ってやるよ、それに今日一日は一緒にいてやるから機嫌なおせ」
俺がそう言うと今にも泣きそうだった顔が少し嬉しそうな顔になった。
「えっ......?いいんですか?」
「ああ、これから俺は行くところがあってな、それを手伝ってもらう形になるがいいか?」
「大丈夫です。それと............ありがとうございます」
「?最後よく聞こえなかった」
「な、内緒です!」