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東方魔人黙示録  作者: 怠惰のあるま
小さい魔王と優しい橋姫
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橋姫の過去



あの日、私はどこにも行く当てがなく、たださまよっているだけの橋姫だった。


裏切られ、絶望し、怨み妬み、愛する人を殺した私は、鬼と化していた。


鬼になり、人に恐れられた頃、高名な僧侶と出会った。殺されるそう思った。


しかし、僧侶は私が鬼となった理由を知っていた。私に同情し、そして、泣いていた。理解できなかった。


人を妬むことしかできなくなっていた私は、僧侶の涙が理解できなくなっていた。


僧侶は、これ以上私が苦しむことのないように、鬼としての力を消し去ってくれた。だが、代償に私は妖怪の子供になった。


困った顔をしながら頭を下げていた僧侶に、私はお礼を言った。「ありがとう」と。その時の僧侶の顔は忘れない。


その後、人間に見つからないように、私は僧侶に森の中へ連れられ、別れた。そこで迷っていた時に、アルマと出会った。


その後は、家出をしたアルマと一緒にいることにした。


ー家出?ー

ー確か、親父の馬鹿さ加減にねー

ー・・・・・お父様はかわいそうなお方ですねー


まあ、その時は帰る場所があるアルマを毛嫌いしてた時期があった。それに、出会い方も最悪だったから尚更にね。


けど、アルマは気にもせずに私に優しかったなぁ。今と大違い。


ー今は優しくないってか?ー

ーそうだけど?ー


それから二、三日が経過して、私は熱を出した。尋常じゃない熱だったのよね?


ーうん。正直焦ったー


大慌てしながら、あんたは薬を持ってきてくれたっけ?すごく面白かった。そして、嬉しかった・・・・・・・。


ー?・・・最後聞こえなかったー

ー内緒ー


それからかなぁ。アルマと普通に接するようになったの。得体もしれない妖怪の私を助けてくれたから。


その時から、信用し始めて自分の過去を話した。そしたら、なんて言ったか覚えてる?ま、覚えてるでしょうね。


ー覚えてないかなぁ・・・・ー

ー遠い目で何を言ってるんだが、どうせ恥ずかしい行為ってそれでしょ?ー

ーうぅ・・・・ー

ーそんな恥ずかしいことを?ー

ーううん。むしろかっこよ・・・・ば、馬鹿らしかった!!ー


【私は、全てを語った。そして、二度と相手を妬まないようには、生きていけないと言うこと。けど、帰って来た言葉は予想外だった】


「私は妬むことしかできないの。一生ね」

「・・・・・妬むって悪いこと?」

「え?」

「誰だって心の何処かで妬んでる。僕だってきっとね。だから、別に普通に生きているのと変わらないんじゃないの?」


【ただただ、嬉しかった。そんな言葉を返してくれるとは思わなかったから、普通と言ってくれたから、人間の女の子のように接してくれたから】


「その能天気さが、妬ましいわ」

「えぇぇ・・・・」



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